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インタビュー

国内外でプレー経験豊富なカレン・ロバートが語る、海外で生き抜く上で必要な技術

公開:2019年3月26日 更新:2023年6月30日

キーワード:Jリーガーアイルランドオランダカレン・ロバートトレセンローヴァーズ下部組織市立船橋柏レイソル海外移籍

先日現役引退を表明したカレン・ロバート選手。

カレン・ロバート選手と言えば、柏レイソルの下部組織で中学まで過ごし、高校では名門である市立船橋高校に入学する。天皇杯横浜Fマリノス戦で活躍するなど高校生のうちから頭角を現すと、高校卒業後、ジュビロ磐田に加入。国内で活躍した後にオランダのVVVフェンロに移籍、海外でも活躍したことでも有名です。

ただ、海外挑戦は簡単なものばかりでは無かったといいます。では具体的にはどのようにすれば、海外でも生き抜くことができるのか。その術を明かしてくれました。

(取材・文:内藤秀明)

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海外でプレーするために大切なものを教えてくれたカレン・ロバート選手

 

<<前編:中学でのバスケ部経験も糧に! カレン・ロバートが今でもサッカーが好きでいられる理由

■ロバート家の教育方針

そもそもウチは滅茶苦茶厳しかったんですよ。例えば、自宅でテレビを観る時間は1日1時間くらいでした。あらかじめ新聞で観るテレビの番組を決めてその時間しか観れない。ゲームも長いことしていたら捨てられましたし。あとお金の管理はめちゃくちゃ厳しかったです。友達とのお金の貸し借りがバレた時は本当にぶん殴られました(笑)。人として当たり前なことは植え付けてくれましたね。

余談ですけど、親としては英語が話せるとサッカーで大成しなくても仕事に困らないと思っていたらしく、イギリスへ留学させる気満々だったようです。小学校6年生に全日本少年サッカー大会で優勝をしたこともあり、姉さんと兄さんは小6でイギリスの学校に留学していましたが僕だけ日本に留まりました。サッカーがなければ今頃イギリスにずっといたかもしれません。

ただサッカーに関しては基本的に何も言われませんでした。口を出されるようになったのが逆にプロになってからですかね。「悪い人生になるのは酒、女、ギャンブルにハマってしまった時だ」「彼女なんか作ってるから活躍できないんだよ」なんて(笑)

個人的にはインドア派でサッカーのことを考えすぎていたとことを反省しているくらいです。VVVフェンロ時代の同僚だった吉田麻也にもインドアだったことを弄られたりするくらいですから。ショッピングもしませんし、そんなに趣味も無かったので家でテレビを観ていました。

休むことは大切だと分かっていましたが、逆に休みすぎていましたし、サッカーのことを考えすぎていたということもメンタルに響きました。どんどんネガティブな方向に進んでしまっていました。女性関係のトラブルありませんでしたし、お酒を飲むのもそこまで好きではありません。夜飲みに行くのも疲れるし、胃がそこまで強くなかったのもあって飲むのは好きではありませんでした(笑)

■プロとしての苦難

その後、ジュビロ磐田、ロアッソ熊本などでプレーしてその後オランダのフェンロに移籍しました。海外に行って、まず、日本との評価基準があまりにも違っていて環境に合わせるのに時間がかかりました。「守備しなくてもいいからゴールを狙え」といった風で、献身性やハードワークではなくとにかく結果が重視されました。相当苦戦しましたね。

助っ人としてプレーする感覚。こういう部分は行ってみないとわからない気がします。日本に来る外国人が苦戦する理由も今ならわかります。日本の場合は連動とかグループという意識が強くて、外国人がいきなり日本のチームに入って全体に合わせるのは難しと思います。ブラジル人はよく日本に来ますし日本のサッカーにも対応できているように見えますが、日本人ではありませんからサッカーの文化背景も異なるし、なかなか難しいなか頑張っているみたいです。

全員守備は前提といった部分は日本は変わっていると思います。僕はフォワードでしたが日本にいたときは攻撃と守備を鬼のようにしなければいけませんでした。ただオランダではそういったチームとしての前提はなかったです。オランダだと一対一が重要視されました。日本ではそれをあまり重視しない傾向が強いです。ですから、日本の場合は個人の成長の伸びが小さいのだと思います。

当時のオランダは、フォーメーションは4-3-3で、ウィンガーはとにかくサイドバックに勝つといった風に役割分担が明確だったので、より日本との違いを感じられました。僕の場合は守備も頑張っていて相手のウィングに対して2人で守備をしていました。

しかし、攻撃が強いチームではなかったので段々と攻撃が疎かになっていきました。結果として、守備はしなくても迫力がある選手にポジションを奪われてしまいました。そのあたりの評価基準について日本人は早く気づいた方が良いかもしれません。

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オランダでは個人の役割分担が明確だったと語ります

■まずは指導者が変わらなければならない

日本でできることでいうと、まずは指導者が変わらなければならないですね。

特に結果を求めるチームは多いですが我慢を覚えることが大切だと思います。チームの中で個人の役割をはっきりさせたら、別の枠組みなかでも自分の表現がしっかりできるようになると思います。

チームとしての動き方だけではいざトレセンなんかに選ばれたときに上手くいかないケースが多いです。なので、指導者は選手に明確な役割を与えると一選手として飛躍できると思います。僕も「ローヴァーズFC」という自分のチームを持っているので、そこでは役割を与えることを実践しています。具体的にはポジション毎にどんな選手を置くといったことを明確にやっています。オランダの真似ですけどね(笑)。でもそれでいいかなって思います。グループサッカーは3ヶ月くらいで勝手に身につくと思うので、個人として細かなプレーを意識するということも忘れていけないと思います。

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国内外での経験を生かして、子どもたちへの指導を実践しているそう

 

■小学生へのアドバイス

小学生にアドバイスするなら、ボールにたくさん触ることと、とにかくサッカーを楽しむことでしょうか。最近は小さなコートとかも多いですから苦手な点を克服したりするのも良いと思います。ただ思いっきりボールを蹴ることは重要だと思います。代表でもキックが苦手な選手は少なからずいますよね。遠藤保仁選手や中村俊輔選手のようなプレースキッカーが減りました。

少し前までは学校のグラウンドとか公園でサッカーをしていましたが、今では狭いフットサルコートでプレーすることが増えてますよね。細かい局面における大切なスキルは身につけられますが、ロングキックはやはり別で練習しておくべきです。

あとはやはり色んなことを経験した方が良いですね。自分は、中学時代はバスケをしていましたし、サッカー以外ではピアノや絵を描くことを楽しんでいた時期もありました。いろんなことがあってサッカーに辿り着いているわけです。

■子どもが親をしきりに見るようになったら黄色信号

親御さんも熱心なのは良いとは思いますが、悪い雰囲気を子どもに与えないことだと思います。子どもたちが親のほうをしきりに見るようになってしまったら黄色信号かなと思います。これは指導者にも言えることだと思います。大人の顔色を窺ってしまうのは、良くないと思いますね。

サッカーをしているなかで、いろんなことを体験を通じて勝手に成長に結びついて行くと思います。なので躍起にならずに、サッカーはスポーツ(遊び)ですし気持ちの上では「エンタメ」=楽しむもの だと思って楽しませてあげて欲しいです。

前編でもご紹介した通り、カレン選手は親御さんとの関係性がとてもいいご家庭に育ったことも、素直にいろんなことを吸収して成長できた理由でしょう。近年、試合中ピンチになった時にベンチを見る子ども、それも指導者でなく親の顔を見る子どももいると言います。子どもを伸ばしたいなら、自分で考えて動ける力をつけることが大事です。

実際にチームを運営しているカレン選手のアドバイスを、ぜひ参考にしてみていただけると幸いです。

<<前編:中学でのバスケ部経験も糧に! カレン・ロバートが今でもサッカーが好きでいられる理由

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文:内藤秀明

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