インタビュー

2011年9月27日

『イニエスタのすごいところはバランスと人間性』元チームメイトが語るイニエスタの少年時代

「FCバルセロナキャンプJAPAN 2011」で来日した、チャビ・モンデーロコーチは、かつてバルセロナのカンテラ(下部組織)でプレーしていました。当時のチームメイトに、いまや世界有数のMFになったイニエスタ選手がいたそうです。そんなイニエスタ選手について、チャビコーチが語ってくれた、特別インタビューをお届けします。

■なにをさせても素晴らしい選手だった

「わたしは14歳から16歳まで、カテデB、カテデA、フベニールBのカテゴリーで、イニエスタと一緒にプレーしていました。イニエスタの実家は遠く離れた町でしたので、たまにわたしの家に泊まりにきたりもしていました。当時、イニエスタよりも優れた選手が2人いました。それも普通の『良い選手』ではなく『とても良い』選手です。しかし、2人のうち1人はメンタル面が原因でうまくいかず、もうひとりはパスポートの問題があって、チームに残ることはできませんでした。その意味で、イニエスタはなにも問題のない選手でした。家族ともうまくやっていたし、毎日の練習をきちっとこなしていました。彼が良かったのは、普通だったことです」
イニエスタは、12歳から親元を離れ、バルセロナの寮に入りました。当初はホームシックにかかったこともあったようです。彼は控えめなキャラクターですが、ピッチに立つと雄弁になり、すばらしいプレーを連発します。足に吸い付くようなトラップ、ボールコントロール、正確なパスは、子どもの頃から特徴的だったのでしょうか? 
「プレーの面でなにかが特別に優れていたというよりも、なにをさせても素晴らしい選手でした。テクニックも、持久力も、フィジカルトレーニングでも、チームでナンバーワン。小柄なのでそうは見えないのですが、ボールを奪う技術も優れていました。ボールを持ち、ピッチの中でもっともベストの選択ができる選手でした」

■人間性がすばらしく、チームメイトも一目置く存在

ピッチでまばゆいばかりの存在感を放つイニエスタ。チームメイトも一目置く存在で、キャプテンをつとめていたそうです。
「彼はとても賢い選手でした。味方に指示を出し過ぎることもないし、かといってなにも言わないわけでもありません。ちょうどいいバランスで、チームメイトに指示を出していました。彼はキャプテンをつとめていたのですが、ピッチの外では、それほど喋るタイプではありませんでした。ですが、イニエスタのことを悪く言う人は、だれもいませんでしたね。彼は素晴らしい人間性を持った選手でしたから」
バルセロナのカンテラ(下部組織)では、人間育成を重視すると言います。シャビを育てたことでも有名な、元下部組織監督のジョアン・ビラ氏はこう言います。
「人間として指導するのは、基本的なことだと思います。ただ、技術、体力、戦術を教えるのではなく、時間を守ることや、仲間を大切にする、チームで戦うことなども教えています。カンテラを経て、バルサのトップチームで活躍している選手たちは、サッカー選手としてだけでなく、人間としてもすばらしい選手が多いです」
インタビューに答えてくれたチャビコーチも、とてもすばらしい人間性の持ち主でした。やはり、サッカーだけがうまくても、トップレベルに到達するのは難しいようです。それはメッシやシャビ、イニエスタなど、カンテラ育ちの選手を見れば、よくわかります。
次回のインタビューでは、チャビコーチがイニエスタと一緒に国際大会に出場したときの話を中心にお届けします。お楽しみに!
チャビコーチインタビュー次の記事へ>>
チャビ・モンデーロ//
FCバルセロナ(スペイン)のスクールコーチを務める。同クラブのカンテラ(下部組織)出身で、少年時代はイニエスタと同じチームでプレーしていた。先日、日本で開催されたFCバルセロナキャンプJAPAN2011にコーチとして来日。
取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan

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