健康と食育

2022年3月10日

つらい目のかゆみ、鼻のグズグズにさよなら! サッカー少年を悩ます花粉症は治る時代。その方法とは

花粉症の季節がやってきました。すでに目がかゆい、鼻がグズグズするなどの症状が出ているお子さんもいるのではないでしょうか。花粉症はサッカーのときも厄介ですよね。

近年、大人だけでなく子どもも、花粉症に悩まされているケースが多いようです。サッカーをするお子さんの場合、山の麓のグラウンドや風の強い河川敷など、花粉が舞っている状況でサッカーをする場面がたくさんあります。

医療法人つばさ会 高座渋谷つばさクリニックの武井智昭院長に伺った花粉症対策後編。サッカーの場面での対策、腸活など日常生活でできる体質改善、近年注目されている、花粉症が治る治療法などについて、話は進んでいきます。
(取材・文:鈴木智之)

※2021年3月25日に配信した記事に一部加筆

 


 

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■症状が出たら医師の診断の元、薬を処方してもらうのが一番

この記事が公開されているいまは、花粉シーズンの真っ最中。前回の記事でもお伝えしましたが、花粉症対策の一番の方法は、病院に行き、花粉症の薬をもらうことです。武井院長は言います。

「飲み薬、点鼻薬、目薬と、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどを軽減する薬を服用することで、症状をある程度、抑えることができます。花粉症で咳が出ることもあるので、その場合は医療機関を受診して、咳止めを処方してもらうと良いでしょう」

 

■アレルギー症状を抑えるために腸内環境を整えることも大切

花粉症はスギやヒノキのアレルギー反応によって起こります。近年、花粉症のほかに、食物アレルギーや気管支喘息など、子どものアレルギーの病気が全体的に増えてきているそうです。

「原因として挙げられるのが、食生活の欧米化です。アレルギーの病気や免疫の病気、感染症にも言えることですが、人間の白血球やリンパ球などの免疫に関わる細胞は、多くのものがお腹の中にあります。『腸活』をして、善玉菌が含まれているヨーグルトや食物繊維などを摂ることで、腸内環境を整え、アレルギー症状を抑えることが大切です」

『腸活』は腸内環境を整えて、健康な体を手に入れるために行うものです。アレルギー症状を軽減させるためには、脂っこい食事やジャンクフードなどを控えて、7時間以上睡眠をとるといったように、生活習慣を見直し、アレルギーを起こさないための体質にすることが重要なのだそうです。

「最近の小学生は食生活の欧米化や、野菜をあまり食べなくなってきているので、摂取する食物繊維が少なくなっています。さらにコロナ禍で外遊びが減り、運動時間の減少も見られます。腹筋の筋力が落ちると排泄機能も低下します。便通が良くなることで腸内環境は改善するので、食物繊維を摂ることと適度な運動を心がけてみてください」

 

■汗の処理にも気をつけよう

花粉症に関しては、激しい運動をすることで悪化するおそれがあります。アレルギー症状は、血のめぐりが良くなると発症しやすくなるからです。とくにサッカーなどをして、ぜえぜえと呼吸をすると、その分、花粉をたくさん吸い込むことになります。

少年サッカーは山の麓や河川敷のグラウンドなど、花粉が多く舞っているところでプレーすることも多いので、できる限り予防をして臨みたいところです。

「サッカーがある日は普段より多めに花粉症の薬を飲んだり、頻繁に目薬をさすと良いでしょう。目や鼻を練習の合間に洗浄するのもひとつの方法です。休憩時間に、水のあるところに行って、目を洗い、目薬をさす。鼻うがいをするなどして、花粉を洗い流しましょう。コンタクトレンズをつけている場合は、一度外してから目を洗うようにしましょう」


 

さらに、こう続けます。

「気をつけてほしいのが汗の処理です。汗をかくと、タオルなどで拭く時に、顔などを触ってしまい、タオルに花粉が付着し、それを手で触って目や鼻についてしまうことがあります。目のかゆみの原因にもなるので、なるべく顔を触らないように心がけましょう」

 

■アレルギー症状を抑えるためにはクールダウンで体温を下げるのも効果的

お子さんのサッカーを観戦する保護者の方も、基本的な対策は同じです。病院で処方された薬を飲む。マスクやメガネをつけて目と鼻をガードする。コンタクトレンズよりもメガネの方が、花粉から目を守ることができます。また、帽子をかぶると、髪の毛に花粉がつくのを防ぐことができるのでおすすめです。

「身体の血流が良くなるとアレルギー反応が出やすいので、身体を冷やすのも効果的です。水分を多く摂る、冷たいものを飲むなど、身体を冷やすことを意識してみてください。お風呂は普段どおり入っても大丈夫ですが、できればぬるめの方が良いと思います」

と、可能であれば練習後にクールダウンを行って体温を下げることを実施すると良いと教えてくれました。

花粉症の都市伝説として「一定量以上の花粉を浴びると、コップから水があふれるように花粉症が発症する」というものがありますが、武井院長によると「医学的見地からは、あまり関係がない」そうです。

「3歳、4歳の時点で発症する子もいますし、遺伝的な要素、食生活の変化も影響していると考えられます。アレルギー検査をすると、原因が何かを知ることができますし、保険適応のものは39項目まで調べられるので、アレルギーかな?  花粉症かな?  と思ったら早めに検査し、対策をしましょう」

 

■今や花粉症は治る! 悩んでいる方は医師に相談を

近年、花粉症の治療で注目を集めているのが『舌下免疫療法』です。花粉のオフシーズンから1日1錠、薬を飲み始め、3年ほど続けると8割ほどの人に改善が見られるそうです。

「費用的にもそれほど高価ではなく、保険適応です。花粉以外のアレルギー、ダニやハウスダストにも効果があるので、舌下免疫療法を選ぶ人も増えています。5歳以上から、花粉の飛散がない6月から12月に開始します」

2月頃からスギ・ヒノキの花粉が飛び始め、夏を経て、秋にはブタクサ、ヨモギの花粉が飛散します。花粉症になると頭がボーッとしたり、集中力が続かないなど、日常生活へ支障が出てしまうので、なるべく早く対処をして、健やかに日々を送ることができるようにしましょう。

 

武井智昭(たけい・ともあき)
医師。慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院 にて小児科研修、2005年から平塚共済病院小児科医長として勤務、2020年に「高座渋谷つばさクリニック」院長就任。
専門は小児科・内科・アレルギー科。

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