健康と食育

2016年6月20日

東洋大学サッカー部トレーナー直伝!オスグッド病を防ぐ4つのエクササイズ

子どもの成長期に遭遇しやすいケガの代表格が、オスグッド病です。正式名称は、オスグッド・シュラッター病といいます。
 
オスグッド病は、膝の下あたりに痛みが発症することが特徴ですが、一度痛みが出てしまったら身長などの成長の伸びが止まるまでうまく付き合っていかなければなりません。
 
 
では、極力痛みが出ないようにするためには日頃からどんなことに気をつけて生活すればいいのでしょうか。また、もしも痛みが出てしまったらどう対処をすればいいのでしょうか。
 
これらの疑問について、東洋大学サッカー部で活躍する山浦伊吹アスレティックトレーナーに解説してもらいました。(取材・文 杜乃伍真 写真 八木竜馬 協力 スポーツマッサージNazoo)
 
 

■オスグッド病って、なに?

まず、オスグッド病とはどういうものなのでしょうか。
 
「子どもが成長する段階で発症しやすい関節痛です。子どもの成長期には身長が急激に伸びる時期がありますが、このとき骨の発達に対して、筋肉の発達が追いつかず、硬くなった筋肉が無理に靭帯の付着部を引っ張ってしまうことで炎症が生じて痛みが発症します。成長期の子どもの身体には、普通の骨とはちょっと違う成長軟骨という骨があり、オスグッド病は、膝の下の脛骨粗面という部位にくっついている成長軟骨が、硬くなったふとももの筋肉に無理やり引っ張られ、炎症を起こしてしまうものです」
 
オスグッド病には個人差もありますが、一般的には小学5年生から6年生、中学生になる頃の成長期にかけて、もっとも起きやすいものだと考えられています。
 

■オスグッド病を防ぐ4つのエクササイズ

では、オスグッド病になることを極力予防するためには日頃どんなことに気をつければよいのでしょうか。
 
「一つは、ふとももの前の部分の柔軟性が保たれるように普段からしっかりストレッチする習慣を身につけることです。また、膝ばかりに負担が大きくかかるような動きを繰り返しているとオスグッド病になりやすいので、身体全体の柔軟性を保つことが大事な予防策になります。そのための身体の使い方や筋力トレーニングなどが効果的ですね」
 
では、オスグッド病を予防するために有効な身体のエクササイズをご紹介します。
 
以下に動画を交えて解説しますので、これらを家庭でも、お父さんやお母さんたちも子どもたちと一緒になって無理のないように実践してみてください。
 
1. ふとももの前をほぐすストレッチ
 
まず横向きになって寝ます。身体の上側の足を前に出して曲げて、右手で左足の足首を持ちます。そして左足を右手で引っ張って、左足のふとももの前を付け根から膝にかけて伸ばしましょう。この姿勢を20秒間ほど維持してください。
 
[ONE POINT]
伸ばす足と逆側の手で足首をもって、筋肉を伸ばす力を調整しよう
 
2. ひざ下に負担をかけない!ふとももの付け根を伸ばすストレッチ
 
立った状態から片足を前に出します。背筋を伸ばすことを意識しながら、前へ体重をかけていき、ふとももの付け根が伸びてきたら左手を上に伸ばします。この姿勢を20秒間ほど維持してください。
 
[ONE POINT]
左右に身体がブレることなく地面と垂直になるように姿勢を保とう
 
 
3. お尻の筋肉(大殿筋)のトレーニング
 
床に仰向けになって寝ます。両足を肩幅に広げて、両膝を曲げます。そして両足のつま先を上に向けるように上げます。両腕は身体から45度ほどの角度をつけて開きます。この体勢になったらお尻を上げて、下げる、という動作を10回繰り返します。このとき、腰が反って曲がらないように、まっすぐになるように意識してください。
 
[ONE POINT]
腰を上げすぎないこと。膝と肩の直線状に腰がくるようにしよう
 
4. お尻の横の筋肉(中殿筋)のトレー二ング
 
横向きに寝ます。このとき身体は一直線になります。身体の上側の手で地面を抑えて、身体が動かないように固定します。この体勢になったら、身体の上側の足を上げて、下げる、という動作を10回繰り返します。
 
[ONE POINT]
腰が反って曲がらないように、まっすぐになるように意識しよう
 

■子ども自身がセルフチェックする習慣を

そして、もう一つ大事になるのがセルフチェックです。
 
ひざのお皿の下にある脛骨粗面を押して痛みを感じるようならオスグッドの可能性あり。成長期の子どもは毎日セルフチェックしよう
 
「身長が急激に伸びるような時期になってきたら、なるべく痛みを早く察知して症状を悪化させないためにも、毎日オスグッド病の患部を自分の手で押してもらい、痛みがあるかどうかチェックをしてください。このとき、もしも痛みを察知した場合は、すぐにアイシングをすることが大切です。そして痛みが引くまでは練習や試合に参加するのは控えるのがベストです。右ひざに痛みがあるのにかばいながら無理にプレーを続けていると、たとえば、逆側の左ひざに大きな負担がかかり、身体の動きに変な癖がついてしまうこともあるので注意が必要です。そのような変な癖が、その後学年が上がったときにパフォーマンスが上がらない原因になったり、新たなケガに繋がったりすることもあります。オスグッド病の痛みが発症した場合は基本的に身体を休ませることを心がけてください」
 
オスグッド病は成長期の一過性のもの――。そんなふうに甘くみていると、あとになって思わぬハンデを背負うことにもなりかねません。そうならないためにも、オスグッド病に対する正しい知識と、何より日頃の心構えがとても大事になります。
 
 

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