運動能力

2013年2月20日

しなやかな「サッカーで使える筋肉」作り――元横浜Fマリノスの遠藤彰弘さんが教えるトレーニング

キック力をつけるために、足が速くなるために...、みなさんはさまざまな目的を持って筋力トレーニングに励んでいると思います。
そのような筋トレに関して「痛ければ痛いほど、辛ければ辛いほど効果がある」と思い込んでいる方はいないでしょうか? 薬の場合でも、「苦ければ苦いほど効く」という迷信があったりします。どうしても感覚的にそう思ってしまう方は少なくないのではないでしょうか。
しかし、特に成長中の子どもに対する筋力トレーニングには注意が必要です。
間違った方法で行われた筋トレは、けがをしやすい歪んだ体を作ってしまうリスクがあり、それは大人になってから直そうと思ってもなかなかうまくいきません。
筋トレはどのようなコンセプトで行えばいいのか。今回は2008年に現役を引退した元サッカー選手の遠藤彰弘さんから、体作りのトレーニングメニューを教えてもらいます。
遠藤さんの実弟は日本代表の遠藤保仁選手。鹿児島実業高校卒業後、Jリーガーとして横浜マリノスなどで活躍し、96年のアトランタオリンピックでは日本の10番を背負ってブラジルを破る『マイアミの奇跡』にも貢献した遠藤さん。現在は子どもたちの指導の現場に立っています。
遠藤さんは今、子どもの体作りを重視して指導を行っているそうですが、その理由は...?
「僕は現役のころ、すごくケガが多くて苦労をしました。体のバランスが悪いので小指の骨を折ったりしましたし、フィジカルも自信がなかったので身体能力が高い人に一歩のスピードで出遅れたりとか、いろいろなところで支障がありました。それは僕のコンプレックスで、"もうちょっとこうしておけば良かったな"と思う、自分に足りなかったものを今の子どもたちには身につけてほしい。そう思って体作りを教えています。後々、大人になってからひざが痛くなったり、腰に負担がかかるとか、みんなにはそういう苦労をしてほしくないのです」(遠藤彰弘)
少年時代は何よりもボールにたくさん触り、楽しむことが大切です。遠藤さんも四六時中ボールを蹴っており、子どものころにボールに触った量は本当に多かったとか。その習慣が遠藤さんのプロとしての卓越した技術を身につけたわけですが、その一方で、体を正しく鍛える筋トレを並行して行えば、より効果的にサッカーの能力を高められるはず。
さっそく、遠藤さんの体作りのメニューを聞いてみましょう!

■小学生の筋トレは、自分の体重による負荷をかけるだけで充分

まずは一つ目のメニューです。
「すねの筋肉はすごく大事です。外国人の選手はすねの筋肉がボコッと盛り上がっていることが多いですが、ボールを強く蹴り出すときに重要な部分です。今の子どもたちは和式トイレを使っていないので、すねの筋肉を使う機会が減り、弱くなる傾向があるので意識して鍛えなければいけません。すねの辺りが強くなると足首をねんざすることも減ります」

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