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運動能力

2012年10月 9日

いつ、どこへ、どれくらいのスピードで?サッカーで求められる理想の「走り」とは

キーワード:コンディショニングトレーニングフィジカル

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サッカーはボールを使ったスポーツですが、プレーの大半を占めるのが「走る」ことです。それでは質問です。選手たちの足が試合終盤で止まってしまい、最後まで走り切ることができませんでした。この状態をどう分析しますか?
 
1:練習量が足りないので走れない
2:練習をしすぎて、疲労がたまっているので走れない
3:試合中、どの場所へ、どのタイミングで走ればいいかがわからないので走れない
 
おそらく、多くの指導者が1の「練習量が足りないので走れない」と分析するのではないでしょうか?しかし、実は2と3が原因となっているケースがよく見られます。
 
2の「練習のしすぎで疲労がたまっている」ことについては、以前の連載でも取り上げました。試合後に「後半、足が止まっていたから、走り込みだ!」などと言って長い距離を走らせてしまったり、練習量を増やしてしまったりすると、さらに疲労が蓄積されて身体は重くなり、どんどんコンディションは落ちていきます。他にも「気合が足りないから、ダッシュ20本!」とやってしまうと、筋肉系を痛める選手が出てきて離脱。チームとしてのパフォーマンスがさらに落ちる……という悪循環にはまってしまうのです。このことから、指導者の見極めがいかに大事かが、わかっていただけると思います。
 
3つ目の「どの場所へ、どのタイミングで走ればいいかがわからないので、走れない」。これはフィジカル的な問題ではなく、戦術的な問題です。サッカーは陸上競技と違って、「いつ、どこへ、どのぐらいのスピードで走るか」が重要なスポーツです。短距離走を繰り返した結果、スプリント(短距離ダッシュ)を繰り返すことのできる能力が身についていたとしても、脳が身体に「いつ、どこへ、このぐらいのスピードで走れ」とうまく司令を出すことができなければ、せっかくの走力も活かしきることができなくなってしまいます。
 
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■ただ走り込むのではなく、判断する状況を作り出すことで効果的な走りにつながる

瞬時に正しい判断をして、走るべき場所に適切なタイミングとスピードで走る。それができるのがいい選手です。このことから、ただ走る能力だけを高めるのは、サッカーに合ったトレーニングとはいえません。育成年代においては、試合中、「いつ、どこへ、どのぐらいのスピードで走る」という、戦術的な面で知るべきこと、身に付けることがたくさんあります。その部分がすっぽりと抜け落ちた状態で、ただ単にダッシュ20本、長距離10kmなどの走るトレーニングをしても、サッカーの競技特性から離れているので、効果的なトレーニングとはいえないのです。
 
サッカーにおける判断がともなったトレーニングの中で、走力やスピードを身につける。そうすることで、フィジカルだけでなく、判断などのインテリジェンスの部分も同時にトレーニングをすることができます。たとえば、クロスボールが上がるときに、いつ、どこへどのスピードで走りこむか。それを繰り返すことで、走力と判断力を磨くトレーニングになります。
 
フィジカル的なコンディションがよくても、判断ができないと効果的な走りはできません。走力はあるのに、判断力が劣っていることで自分のしたいプレーができない、パフォーマンスが上がらない選手は多くいます。サッカーで有効な走りを身につけるためには、脳から適切な指令が出るようなシチュエーションを作って、トレーニングをすることが重要なのです。
 
そして、運動量に関しても、量が多ければよいというものではなく、大切なのは質です。判断ミスをすると、走って戻らなければいけなくなります。無駄に走れば量は増えるのです。ヨハン・クライフは「正しいポジションをとっていれば、走る必要はない」と言っていましたが、判断が適切にできればエネルギーのロスも減り、大事なところでパワーを発揮することができるようになります。
 
運動量を評価する視点は、『自分たちがやりたいサッカーができているかどうか』です。その観点から試合を見てみてください。そうると、すべきトレーニングが浮かび上がってくるはずです。
 
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谷真一郎(たにしんいちろう)//
愛知県立西春高校から筑波大学に進学し、蹴球部に在籍。在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。 
引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年よりヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。 
『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』(2012年10月現在)
 

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取材・文/鈴木智之 写真/サカイク編集部

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