運動能力

2010年12月 6日

【第3回】子どもに間違ったトレーニングをさせていませんか? U12世代のフィジカルトレーニング

■こどものための筋肉の基礎知識

3種類ある筋肉のうちトレーニングによって鍛えることができるのは「骨格筋」です(残りは心筋と平滑筋)。
成人だと全身の約40%を占めますが、こどもはそれよりもずっと少ない比率です。15歳でも33%と言われています。前回と前々回でお伝えしてきたように、こどもに筋トレは不要ですが、筋肉がサッカーにおいて、どこの部分でどのような役割を果たしているかは知っておく必要があります。引き続き、立教大学の沼澤先生に解説していただきました。

・下半身の筋肉で重要な部分:
「サッカーのために、あるいは速く走るために必要な正しい姿勢を維持する、股関節、膝関節、足関節を起点とする筋肉で、ほとんどの筋肉が当てはまります」

・走るのに大切な筋肉:
「接地時に地面からの反力を逃がさないために、いわゆる体幹の筋肉である、腹筋群、背筋群、脊柱起立筋などがあげられます。また、脚を引き上げる筋肉である、腸腰筋、大腿二頭筋なども走るのに大切な筋肉です」

・当たり負けしないための筋肉:
「バランスを考えれば、体幹と下腿の大筋群である大腿二頭筋、四頭筋ですが、当たり負けしないためには筋のボリュームではなくポジショニングが重要で、相手にたいして重心を低くしてコンタクトしたときにパワーが出るポジションを作れるかどうかで決まります」

・強い筋肉と早い筋肉:
「強い筋肉、早い筋肉は、素早い動きに働く速筋ですが、U12世代ではまだ十分には発達していません」
「筋繊維は、筋肉が縮む速さによって"速筋"と"遅筋" の2つに大きく分けられます。U12世代は体のほとんどを遅筋が占めています。持久力に優れ疲れにくいため、こどもは何時間でも遊び続けることができ、筋肉痛も起こらないのです。速筋は早い子で小学生高学年から発達してきます。強いシュートを蹴れるようになったり、目を見張るようなダッシュができるようになるのも速筋によるものです。ただ、この2つの筋繊維の割合は生まれつき決まっており、トレーニングによって変えることはできないと言われています。

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