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親子でチャレンジ

育成年代GKの保護者・指導者に知ってほしい「言葉で人を生き返らせることもできれば、ダメにしてしまうこともできる」

公開:2020年7月28日 更新:2020年10月 5日

キーワード:ゴールキーパー澤村公康

サカイク主催の「GKスペシャルキャンプ」。メインコーチの澤村公康さんに、キャンプに向けた意気込みをうかがいました。日本代表のトップレベルの選手からジュニアまで、すべての年代のGKを指導した経験を持つ澤村さんの「GKに対する考え方」「育成年代のGKに対する想い」を存分にお届けします!(取材・文・写真:鈴木智之)

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――サカイクには、GKをするお子さんを持つ保護者の方から、「試合でミスをした子どもに対して、どう接すればいいのでしょうか?」という相談が届きます。ジュニアから日本代表選手まで、あらゆる年代のGKを指導してきた澤村コーチは、試合でミスをしたGKに対して、どのような声をかけますか?

私がかつて、Jクラブのアカデミーで指導をしていたときのことです。GKをするお子さんをお持ちの保護者の方に向けて、講習会をしたことがありました。そこでは、あるJリーガーのミスで失点した場面を見せて、「この選手が、あなたのお子さんだったとしたら、ミスをして帰ってきた選手に対して、どのような声をかけますか?」とたずねたことがありました。

――どのような声が返ってきたのでしょうか?

「何で取れなかったの?」「あれは取れたんじゃない?」「次は取れるように頑張ろうね」などのほかに、「何も言わない」という意見も出ました。映像で見せたのは、前半にしてしまったミスの場面でした。その試合で、GKコーチがその選手に対して何と声をかけたかというと、前半のミスには一切触れず、良いセーブについてだけ「ここが良かった」「あそこが良かった」と話し、「後半もチャレンジしていこう」と言って送り出しました。試合後、ミスをしたGKに話を聞くと「ハーフタイムの言葉ですごく救われた」と言っていました。

――良い話ですね。

このエピソードからわかるのは、言葉で人を生き返らせることもできれば、ダメにしてしまうこともできるということです。GKのミスをあげつらい、このプレーがだめだ、これができていなかったと指摘するのは簡単です。でもそればかりになると、次からその選手は「ミスをしないように」という後ろ向きのマインドになってしまいます。これはジュニアの選手にすごく多いケースで、とくに保護者が熱心な場合に起こりやすいです。

――ミスから学ぶ段階である育成年代において、チャレンジしないプレーのマイナスは計り知れません。

そうなんです。失敗しない方法は、チャレンジしないこと。できることだけを無難にこなすことです。それでは、なにも成長につながりません。保護者の方、GKコーチがすべきことは、その逆で「ここが惜しかった」「次はこうすればいけるんじゃない?」と、子どもがチャレンジしやすいように、背中を押すこと。さらに専門的な知識を持っている保護者であれば、それにプラスして、テクニックやポジショニングなど、前向きに取り組むことができるようなアドバイスをしてあげてほしいと思います。

――ジュニア年代だと、サイズのない子がゴールに立っていて、何でもないロングシュートが入ってしまうことがあります。そのときには、何と声をかければいいですか?

そこで「なんで取れないの?」と怒っても、「いや、背が低いからだよ」としか言いようがないですよね。それならば、どうにもならないことを指摘するのではなく、「背が大きくなって、ハイボールに強くなるためにも、ご飯をたくさん食べようね」と言って、栄養のある食事をさせてあげたほうが、よっぽどその子のためになります。

――とくにGKに関しては、必要以上にミスを責めたり、失点について責任を負わせる傾向が強いと感じています。

それはありますね。実際に、私が指導する高校生、大学生に「今日の練習はどうだった?」と聞くと、「これができなかった」「ここがだめだった」と、できなかったことばかりに目を向けるんです。それはプロ選手であっても同じです。なぜそのような考え方になるのかというと、彼らはいままで、練習や試合が終わったあとに、ミスやできなかったことばかりを指摘されてきたからなのではないか。そう思います。

――「できなかったこと探し」が、プレーの振り返りだと思ってしまっているんですね。

はい。それは反省であって、フィードバックではありません。GKとしてレベルアップするためには、反省も時には必要かもしれませんが、それよりも何ができて、何ができなかったのか。さらに向上するためには、どうすればいいのかを考えることそのために必要なのはミスの指摘ではなく、ポジティブなフィードバックです。練習や試合の中では、「できなかったことだけでなく、できたこともあるはず。」にも関わらず、できなかったことだけにフォーカスすると、気持ちがネガティブになってしまいます。それが、知らずしらずのうちに思考のクセになってしまっているのです。これは非常に良くないと思います。

――澤村さんはサカイクのGKセミナーなどを通じて、「GKは前向きで、ポジティブなポジションなんだ」と言い続けていますね。

はい。GKは試合中、常に前を向いています。ボールを取るときも、前に手を伸ばしてキャッチします。そして何より、受け身ではなく、常に予測、判断をして、能動的にプレーをするのが、良いGKだと思っています。GKは前向きなポジションだということを理解してもらいたいですし、自分から率先して、周囲に前向きな、ポジティブな影響を与えられる人になってほしいと思っています。私は選手によく言います。「味方が良いプレーをしているのに、なんで褒めないの?」と。そう言われた選手は「えっ? 褒めていいんですか?」と面食らうことがほとんどです。でも、目の前で味方が良いプレーをしたのだから「ナイスプレー!」というのは自然なことじゃないですか。日本の多くの指導現場では、良いプレーはできて当たり前。ミスをしたときだけ、声をかけられることが多い気がします。

――「GKの声は神の声」という言葉がありますが、ポジショニングなどプレー面の指示の他に、後ろから「ナイスプレー!」など言われると、勇気づけられますよね。

GKが積極的にポジティブな声を出すことが大事ですし、周りもGKが良いプレーをしたら、積極的に褒めて、盛り上げてほしいと思います。それが、チーム全体を前向きにさせることになります。私は昨年までサンフレッチェ広島のトップチームでGKコーチをしていましたが、ベテランの林卓人選手も、若手の大迫敬介選手も、トレーニングではポジティブな声をたくさん出してくれました。それも、フィールドプレイヤーが驚くぐらいに(笑)。そうやって、GK陣が良い取り組みをして、エネルギーを発していると、フィールドプレイヤーにも良い影響があり、お互いを認めあえるようになっていきます。それが発展して、良いチームになっていくんです。

――澤村さんの教え子には現役の日本代表、Jリーガーだけでなく、GKコーチとして活動している人もたくさんいます。いわば「GKに対する価値観、考え方」を学び、GKというポジションの素晴らしさに魅了されている人を生み出してきたわけです。サカイクキャンプでは、子どもたちにもそのような経験ができそうでしょうか?

はい。僕が子どもたちに教えたいのは、「GKとは前向きで、素晴らしいポジションなんだ」ということです。おそらく多くの子ども達は、自チームのトレーニングでコーチから褒められることや、仲間からポジティブな言葉をかけられる経験が少ないのではないかと思っています。サカイクでやらせてもらうキャンプは、常にポジティブな雰囲気の中で、仲間とコーチとコミュニケーションをとりながら進めていくので、いままでしたことのない経験ができる場になると思いますそしてキャンプで学んだ、ポジティブで、前向きな考え方を、自チームや日常生活、学校生活で活かしていってほしいです。たとえば、「なんでそのボールが取れないんだ」と言われたら、言葉をポジティブに受け取って「よし、次は取ってやるぞ」と変換し、行動に移すといったように。その考え方を、GKというポジションを通じて身につけていくことができるように、僕も全力で子どもたちと向き合いたいと思っています。

▼サカイクGKスペシャルキャンプの詳細▼
【関西:通いキャンプ】
2020年12月27日(日)~29日(火)
【冬休み大阪開催】元サンフレッチェ広島GKコーチによる「GKスペシャルキャンプ」

澤村公康プロフィール
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ゴーリースキーム 代表
青山学院大学 GKアドバイザー、専修大学 GKアドバイザー
【指導歴】
1995年 - 1997年 鳥栖フューチャーズ 育成GKコーチ
1997年 ブレイズ熊本 育成GKコーチ
1998年 - 2003年3月 大津高校 GKコーチ/JFAナショナルトレセンコーチ
2003年4月 - 2008年1月 浦和レッドダイヤモンズ育成 GKコーチ/女子日本代表 GKコーチ/JFAナショナルコーチングスタッフ
2008年2月 - 2011年 川崎フロンターレ育成 GKコーチ/青山学院大学 GKコーチ
2012年 - 2014年 浜松開誠館中学校・高等学校 GKコーチ
2003年,2013年 日本高校選抜 GKコーチ
2015年 - 2018年 ロアッソ熊本 GKコーチ
2019年 サンフレッチェ広島 GKコーチ

【著書】
守護神 育成トレーニング―ゴールキーパー専属コーチが伝える!チームを守る全てがここにある!
ゴールキーパー「超」専門講座

【公式Instagram】
ゴーリースキーム公式Instagram


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