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ファウルだろ! その一言が子どもに逃げ道をつくる

2014年8月26日

キーワード:審判育成

サッカーグラウンドにこだまする「ファウルだろ!」という声。振り返ると、子どもの試合中に主審の判定に文句をつける親の姿がありました。サッカー少年(少女)を子どもに持つ親なら、誰もが一度は見たことのある光景です。こういった親のアピールをどう感じますか? そして子どもの成長にどのような影響があると考えていますか? ひょっとしたら、あなたの子どもが所属するチームにもそのような親がいるかもしれません。一緒に考えていきましょう。
 
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取材・文/石井紘人
 

■メキシコの選手たちがタフな理由

先日、静岡県トレセンU-12の選手たちが、メキシコ遠征に行きました。
 
一昨年のロンドン五輪での金メダルをはじめ、近年、育成年代の躍進が目立つメキシコですが、練習に様々な工夫がされているそうです。たとえば、メキシコの育成年代のトレーニングマッチでは、ビブスを着用するのではなく、頭に着けるヘアバンドの色でチーム分けをします。顔を上げて、周囲を見てプレーしなければ、味方を判別できないようにさせるためです。
 
遠征に同行したコーチは、「さまざまなことが勉強になりましたが、一番驚いたのはボールに対する執着心です」と教えてくれました。
 
メキシコは貧富の差も激しく、けっして治安もよくありません。苦しい生活を強いられている子どももいます。そこから抜け出すために、子どもたちが夢を見るのがプロのサッカー選手になることです。プロに進むためのトレーニングということもあり、子どもたちは常に100%のプレーをします。
 
では、日本ではどうでしょうか?
 
「この苦しい生活から抜け出すために、サッカー選手になるんだ」という発想を持つ子どもは稀です。『日本人に生まれただけで世界トップ10%に入る恵まれた人生』と分析する識者が多いように、メキシコの子どもたちと同じハングリー精神を持つのは難しいでしょう。日本では、生活環境からタフな選手は育ちにくいとも言えるかもしれません。
 
だからこそ、サッカーの環境を整えることが重要になるのではないでしょうか。
 
そういった狙いを持ってスタートしたのが、ジュニア年代での一人審判制です。
 
審判員が一人になるということは、正確な判定を下せないことが多々起こります。つまり、審判員を見ないでプレーすることが必要になり、そこからタフな選手を生み出そうという試みです。指導者たちは、こういったテーマの元、試合に臨むようになっているように感じます。
 
 

■審判批判が子どものタフさを失わせてしまう

一方で、保護者が理解しているとは言い難いでしょう。
 
応援するチームの子どもが倒れると、「ファウルでしょ!」とついつい声を出してしまう。こういった声がタフにプレーする気持ちを失わせてしまうのではないでしょうか。
 
サッカーというスポーツは、上手くいかないことがほとんどです。
 
足は手のように器用に動きませんし、ピッチはコンクリートのように平らではなく、イレギュラーバウンドすることもあります。チームスポーツのため、自分のプレーが良くても、11人がハーモニーを生み出さないと勝てません。また、同じフィールドに相手選手が存在するスポーツなので、多くの接触が起きます。その接触が正しいものかどうかを見極めるのは、人間の目、つまり審判員です。実際はファウルだったとしても笛が鳴らないこともあります。
 
サッカーは、プレーする選手の思い通りにいかないことがほとんどです。
 
こういった条件を『受け入れて』その中で100%のプレーをすることで、サッカー選手は成長していきます。
 
しかし、この『受け入れる』というのは難しいことです。私が子どもの時もそうでしたし、恥ずかしながら今でもサッカーをやるとそうですが、敗因を誰かの責任にしたくなります。それが人間です。「○○が悪い」と責任転換することで、悔しさを紛らわせたいのです。
 
しかし、その「ファウルでしょ!」という一言が、子どもに逃げ道をつくります。「ぼくが負けた訳じゃない。レフェリーが悪かった。アンラッキーだった」と、結果から逃げるきっかけを与えてしまいます。
 
プロの選手でも、自分のプレーが上手くいかなくなると、試合中に審判員に異議ばかり唱える姿を見かけます。しかし、それは選手の成長を止めます。たとえば、川崎フロンターレに移籍し、大活躍をみせている大久保嘉人選手ですが、以前のように審判員に異議を唱えることは減りました。福田正博氏は「今まで審判員に向かっていたエネルギーが、ゴールに向かっている」(スカイパーフェクトTVにて)と姿勢を評価します。
 
このように「レフェリーが悪い」というスタンスは、選手に何のプラスも生み出しません。それは世界のトップ選手たちに、執拗に審判員に纏わりつくようなアピールを繰り返す選手が少ないことが物語っています。
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文/石井紘人

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