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『情熱的な一撃』高校サッカー選手権・準決勝マッチレポート

2015年1月14日

【前橋育英 1(5PK4)1 流経大柏】

強豪同士の対戦は、前橋育英がPK戦の末に流経大柏を下し、決勝進出を決めた。敗退寸前だったチームを救ったのは、仲間も驚いた鈴木徳真の情熱的な一撃。そこには「サッカーの本質」が見られた。(取材・文 平野貴也)

1点を追う試合終盤、前橋育英の山田耕介監督は、アディショナルタイムが何分あるのかを気にしていた。そして同時に、何がいけなかったのかと寸前に迫った5度目の準決勝敗退について頭を悩ませていた。ところが、後半終了の直前に奇跡が起きた。途中出場の小泉佳穂が左からロングパスを放り込むと、相手のクリアを拾ったMF鈴木徳真がトラップから思い切ったシュートをたたき込んだ。ゴール前には相手選手が何人もおり、GKも反応していた。

 
鈴木は「入れと思って打った。相手は見ていなくて、ゴールしか見ていなかった。とにかく思い切って振り切ろうとだけ思って打った」と話した。ただ、ミートだけを心掛けたもので、決して「コースを狙った素晴らしいシュート」ではなかった。コースもGKの手前で相手選手に少し当たって変わっていなければ、得点にはならなかっただろう。しかし、その一発が同点弾となった。ほどなく試合が終わってPK戦となり、前橋育英はPK戦5-4で流通経済大柏を下して初の決勝進出を決めた。
 
同点弾は、意外な一発だった。鈴木はU-16やU-17といった年代別日本代表でも主力になるほどの実力を持っている。ゴール自体は不思議ではない。精度の高いミドルシュートも打てる。ただ、鈴木の長所と言えば、プレーの選択肢を豊富にする技術の正確さ、そして試合全体を見渡してプレーを選択できる判断力だ。クレバーな選手という表現で間違いない。こぼれ球を拾ったとき、誰もがシュートを期待する場面でフリーの味方を見つけていて、ラストパスというシーンも十分にあり得たように思う。シュートコースが見えていたという結末もありそうだ。ところが、鈴木はコースも見ないで打った。そして、決めた。仲間も驚くシュートであり、ゴールだった。
 
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【星稜 3対0 日大藤沢】
 
準々決勝で静岡学園を破り勢いに乗る日大藤沢と、ここまで失点0ながらギリギリの戦いを勝ち抜いてきた前回ファイナリスト星稜。初の埼スタ開催の準決勝で、星稜が日藤に見せた経験値の差とは。(取材・文 篠幸彦)
 
試合後の記者会見、日大藤沢の佐藤輝勝監督は「試合巧者だった」と、幾度となく口にした。
 
前半22分、日藤はハンドにより、星稜にPKのチャンスを与えてしまう。
 
PKはGK鈴木孔明がセーブしたものの、こぼれ球に反応した星稜・前川優太が山なりのボールをゴール前に送ると、日藤・小野寺健也が懸命に触るもオウンゴールとなってしまう。
 
そこから歯車は狂い出した。
 
いや、初めから両者には決定的な差があったのかもしれない。
 
「埼スタという舞台に少し受け身になっていた」
 
ベンチで戦況を見守っていた日藤キャプテン・吉野敬には、仲間たちの姿がそう見えていた。
一方、星稜の大田賢生が「すんなりと試合に入れた」と語れば、相棒の森山泰希は「緊張というより、やったるぞ、という感じでした」と笑顔で話す。
 
スタートラインから両者のメンタルは大きく異なっていたのだ。
 
先制してから13分後、星稜が左サイドをきれいに崩し、流れの中から追加点を決める。
 
「切り替えろという声はあったんですけど、簡単にやられてしまった」(日大藤沢・吉野)シーンに、佐藤監督は星稜の勝負強さを感じ「試合巧者な部分が見られた」と繰り返した。
 
星稜は2点をリードしても、前回大会で2点差をひっくり返され優勝を逃した経験から、気持ちのスキを見せることはなかった。
 
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