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楽しむからうまくいく!ポジティブ心理学で良いプレーを引き出す

ゼロをプラスにする。サッカーにも活かせるポジティブ心理学とは

2014年3月20日

キーワード:コミュニケーション親子

ポジティブ心理学をご存知ですか? ハーバード大学のマーティン・セリグマン教授の講義が話題となり、現在、ビジネス誌などにも引っ張りだこのこの学問は、親子の関係をより良くする手段にもなり得ます。当連載で、サッカーにも応用できるポジティブ心理学を学びましょう。
 
試合中
楽しむことが良いプレーに繋がります
 
 

■良いプレーは楽しいときに生まれる

「ああ、今日はプレーを楽しめているなぁ」
「ボールを蹴るのが楽しくて仕方ないって顔してるよ」
 
一生懸命にボールを追う子どもたちのプレーを観ていると技術的なことはわからなくても「楽しそうにプレーをしている」「自然と笑顔でプレーできている」など、その充実ぶりが伝わってくることってありませんか? 練習には苦手なこと、嫌なこともあるかもしれませんが「良いプレー」をするには、まず子どもたち自身が「楽しむ」ことが必要です。
 
 

■幸福感でうまくいく! ハーバードのエリートも殺到する講義

みなさんもなんとなく感じているこの感覚は、じつは心理学的にも正しいことだったのです。
 
ポジティブ心理学という分野では「幸福だと感じる人が成功する」「楽しい気分のほうが、想像力が働きいい結果が望める」という統計が出ています。
 
「人の心を豊かにする心理学」と呼ばれるポジティブ心理学は、1990年代に成立した比較的新しい概念です。幸せな気分に意味を見出す「幸福優位」の心理学として近年注目を集め、ハーバード大学やケンブリッジ大学でいまだかつてない聴講者を集め、学生が受けたい授業、受けてよかった授業として絶大ない支持を受けています。『ハーバードの人生を変える授業』という本が日本でもベストセラーになっているので、ご存じの方もいるかもしれません。
 
今回はサッカーの上達だけでなく親子関係、コミュニケーションにも大きな効果を生む新世紀の心理学、ポジティブ心理学をサッカーや日常生活に活かす方法を考えます。教えてくれるのはコミュニケーション学、心理学の専門家、ポジティブ心理学の正しい普及を推進する青木みちるさん。
 
サッカーや親子関係の事例に沿ってお話いただきましたので、心理学は難しそうというあなたもまずは読んでみてください。きっとすぐにでも実践したくなることがたくさんあるはずです。
 
 

■普通の状態を豊かにしてくれる「私たちのための心理学」

「ポジティブ心理学はゼロをプラスにする心理学です」
 
青木さんによると、従来の心理学は人間の負の感情や精神状態に目を向けて、これを正常な状態に持って行こうとするものが中心でした。「心理学」と聞いたときに「自分には関係ない」と思う人が多いのも、“問題を抱えた人たちの学問”というイメージがあるからかもしれません。
 
ポジティブ心理学
ゼロをプラスにするのがポジティブ心理学
 
「普通の状態の人、つまりみなさんがさらに幸せに、より良く生活するための心理学がポジティブ心理学です。そういった意味ではとても身近なもので、世界の学生たちがこぞって受講したというのも頷けます」
 
「面白い統計データがあります」
 
そう言って青木さんが教えてくれたのは、お金持ちについてのある調査のお話でした。「自分は幸せだ」と答えた複数のお金持ちに、いくつかの心理テストを行いました。私たち庶民から見れば「お金持ちなんだから幸せでしょう」と思ってしまいがちですが、テストの結果、興味深い傾向が見えてきます。
 
多くのお金持ちは、お金を得たから幸せなのではなく、幸せだからお金を得ることができたというのです。幸福を感じる理由は人それぞれですが「幸せ」と感じられる状態で仕事をした結果、いい仕事ができ、効率や生産性も上がり、結果としてお金を手にすることができるようになる。実はこの統計はサッカーをする子どもたちにも、保護者の人たちにもとても役立つ重要なヒントが隠されています。
 
青木みちるさん
ポジティブ心理学を研究する青木みちるさん
 
 

■楽しさが生む爆発的な集中力

「集中する」とはどういうことだと思いますか? サッカーをする子どもを持つ親御さんへのお悩みアンケートでいつも上位に来るのが「やる気が続かない」やる気スイッチを教えて」「どうしたら自主的にやってくれるようになるのか」というものがあります。サッカーは大好き、でも集中力が続かない。ときに気まぐれやわがままに見えてしまう、こうした子どもたちの行動は周囲の大人を困らせる要因でしょう。
 
ポジティブ心理学では、幸福感を引き出すことによって集中あるいは上達できる状態、試合中ならば最高のパフォーマンスを発揮できる状況を作り出せるといいます。
 
「“夢中”という言葉がありますが、あたりが暗くなったことにも気づかず、ボールを蹴り続けていた。リフティングの練習をしていたら、時間が経つのも忘れて気づいたら汗だくになっていた。楽しいことは夢中になってするものです。これがサッカーにおける幸福感、サッカーが楽しいという気持ちが集中力を高め、上達を促しているのです」
 
有名選手の子どもの頃の話を聞くと、友達が帰った後も犬と一緒にボールの取り合いをしていたロナウジーニョの例を挙げるまでもなく、必ずと言っていいほど、周りから見たらびっくりするような爆発的な集中力を発揮したエピソードが出てきます。こうした状態になるためにはいくつかの方法があるそうですが、そちらの方は連載の2回目以降で詳しくご紹介しましょう。
 
今回はポジティブ心理学のイントロダクションとして、おおまかな概要を説明しました。イントロダクションの終わりに、青木さんが「これは誤解しないでほしい」と強調していたことをご紹介します。
 
「ポジティブシンキングという言葉があります。ポジティブ思考、志向は決して悪いことではないのですが、日本では今の自分の状態に関係なく、ひたすら前向きに行動することのように思われ、その意味が定着しているような気がします。『ポジティブ心理学』と聞くと、『ああ、なんでも前向きにというのは なしでしょう?』『落ち込んでいる時だってあるのに前向きって言われても…』という違和感がある人もいるはずです。
 
「ポジティブ心理学は前向き思考のポジティブシンキングとは別のものと思ってください」
 
青木さんによればポジティブ心理学は、子どもたちとサッカーの関係、子どもと親、親とコミュニティ、をより良くするための研究、そしてこうしたコミュニティをより豊かにするための手助けをしてくれる方法を示してくれるものだといいます。
 
次回はサッカーの上達に役立つポジティブ心理学をご紹介します。
 
 
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青木みちる
国際基督教大学教養学部国際関係学科
コミュニケーション学・心理学専攻
マーティン・セリグマンによって提唱されたポジティブ心理学を研究、日本に正しく紹介、普及させることを使命に活動する。PwCコンサルティング株式会社(現日本IBM)人事業務の改善、システム導入のコンサルタント株式会社エル・ティー・エスでは複数部門の責任者を経験し、現在はマーケティング部 部長 兼 新規事業開発の責任者
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取材・文/大塚一樹 写真/サカイク編集部

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