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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2015

なぜ、アルゼンチンの大人たちは何度注意されてもピッチに入るのか

2015年9月17日

キーワード:アルゼンチンカミオネーロス球際の激しさ

果敢なスライディングタックルに、ファウルを厭わない激しいプレー、勝負所とみると全員で鋭い攻めに転じる。大会初日、ウェイトオーバーかと思われる選手が数人いたアルゼンチンのデポルティーボ・カミオネーロスは、アルゼンチンサッカーのエッセンスを加えてくれる今大会の台風の目となりました。
テクニックで勝るJリーグ下部組織のチームが、なんだかよくわからないうちに追い込まれ、気がついたときには身体を寄せられてボールを奪われる。ときには削られながら。
 
「なんであの選手に?」
 
やられた気がしないうちに時間が経ち、ボールを持って攻める普段のサッカーができなくなっていく。カミオネーロスと対戦したチームは、バルセロナと対戦したときとはまた違う意味で、“世界”を体感していました。(取材・文 大塚一樹 写真 鈴木蹴一)
 
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「私たちにとってサッカーは"情熱"です」。大会運営サイドから何度か注意をうけるもエキサイトしてピッチ内に入りそうになるホルヘ・ルベン・デウーさん
 

■大会に旋風を巻き起こした"情熱のカミオネーロス"

サカイクでは大会期間中、ワールドチャレンジにアルゼンチンの風を運んでくれたカミオネーロスのコーチ、ホルヘ・ルベン・デウーさんにお話を聞く機会に恵まれました。アルゼンチンサッカーと日本サッカーの違い。あの激しさはどこから来るのか? 日本の子どもたちにアグレッシブさは教えられるのか? デウーコーチは、さまざまな問いに、ときにユーモラスに、ときに情熱的に答えてくれました。
 
――今回のワールドチャレンジでは、南米のサッカー、アルゼンチンのサッカーを存分に見せつけてくれています。私たちはデポルティーボ・カミオネーロスというチームについてあまり多くの情報を持っていません。まず、チームのことを教えてください。
 
はい。デポルティーボ・カミオネーロスは6年前にできたばかりのチームです。歴史は浅いですが、いま一番勢いのあるチームだと思っています。豊富な資金力を背景にどんどん成長を続けていて、トップチームは現在3部リーグにいます。
 
――それはすごいですね。トップチームの成長に合わせてスタッフも充実して、育成年代にも力を入れるようになったと聞きましたが、この大会に参加した理由を教えてください。
 
この大会は以前日本にいたアルゼンチンコーチから紹介されたんです。ワールドチャレンジというとてもいい大会があると。それで、詳しく聞いてみると、バルセロナや欧州の強豪チームも参加する大会だという。こんなに素晴らしい経験ができるならぜひ! と参加の意思を表明したわけです。
 
――選手たちにとってはかなりの長旅になりますよね?
 
アルゼンチンの外に出て、日本という遠い異国の地でサッカーをプレーする経験は得難いものになると思いましたし、実際に今日まで日本で経験したことは素晴らしいものだと感じています。しかし、私たちは経験を積みにきているのではなく、勝ちに来ているのです。これは選手もスタッフも全員が忘れてはいけないことです。
 
――選手、コーチの他に家族、関係者で40名を超える大所帯で来日しています。ずいぶん賑やかですね。
 
これはすべてクラブの会長の理解と協力があってのことです。この環境に満足しない選手、スタッフはいないし、サッカーに集中するために協力を惜しまない会長には感謝しかありません。
 
――大会の印象についてはいかがでしょう?
 
素晴らしいオーガナイズですね。とても快適に大会を戦えています。日本のチームについては戦い方がとても組織的で、ボール回しの技術、戦術は、はっきり言ってびっくりしました。
 

■ときにやり過ぎてしまうこともあるんだけど、わざとじゃないんだ

――その技術のある日本のチームを球際の激しさで追い込み、好勝負を演じるカミオネーロスですが、あの激しさはどこからやってくるんですか?
 
私たちにとって、サッカーは情熱なんです。私たちは有り余る情熱を持ってプレーしています。はじめに謝りたいのですが、その情熱が燃え上がるあまり、ときにリスペクトを忘れてしまったかのような行動をとってしまうこともあるのです。これに関しては、良くないことですから、落ち着いたときに謝っています。わざとルールを乱すようなことをしているわけではないことはわかってください。
 
――監督自身、テクニカルエリアを踏み越えてしまってだいぶ注意を受けていましたね。あの後審判に謝ったということでしょうか?
 
申し訳ないとは思うんだが、チームには選手たちがいてファンがいて、その期待に応えなければいけない。審判は一人だが、私はそうは行かないんだ。
 
――ルールのことは別として、日本の選手はアルゼンチンの選手のアグレッシブさに面食らっていました。技術ではかわせるはずなのに勢いでボールを持って行かれ、結果として引き分けや僅差の勝負が続きました。ああいう選手たちのアグレッシブな姿勢は元々選手が持っている資質に左右されるものですか? それとも指導してできることなのでしょうか?
 
試合後の会見でもいいましたが、アグレッシブさや球際の激しさは指導してできるものではありません。サッカーは情熱ですから。しかし、技術を教えることはできますし、その技術の使い方をアグレッシブさや球際の激しさに生かす方法に変換することはできます。ひとつは“刺激の仕方”です。そこはコーチや周りの大人が言わなければ変わらない。コーチが熱量を持って試合に近い状態で練習をするように促す。とにかく『強く、強く、強く』と選手に求め続けることが大切です。アルゼンチンの文化や環境がそうさせるというよりは、コーチがどんなときでも情熱を持って選手に強さや激しさを求め続けるんです。
 
次ページ:日本の子どもたちにも、プレーの激しさは教えられる
 

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