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保護者と指導者 より良い関係作りを目指して

まずはお互いを知ることから 保護者と指導者の良い関係への第一歩

2013年10月 7日

キーワード:コミュニケーション指導者監督

保護者と指導者、子どもたちにとって身近な大人の存在は、ときに大きな力になり、ときにせっかくの成長を妨げる障害にもなり得ます。
 
「指導者の指導が子どもに合っていないと感じることが多い」「もう少し選手一人ひとりを見てほしい」
 保護者アンケートでも、面と向かっては言えない指導者に対する不満が目に付きます。
 
 一方で、育成現場、とくに小学生年代の指導において問題になっているのが「保護者の過干渉」です。よく指摘される試合中の過剰な声援、コーチの指導を無視した技術指導、「自分の子どもがレギュラーから外されたのはなぜか?」と詰め寄る行為……。
 
 冒頭にもお話したように保護者と指導者は子どもたちにとって最も身近な大人です。「環境が人を作る」と言いますが、サッカーがうまくなるかならないか、サッカーを通してより良い人間に育つかどうかは、サッカーをプレーする環境、つまり保護者と指導者の関係によって決まる! と言っても過言ではありません。
 
 この連載では「保護者と指導者」をテーマに、両者のより良い付き合い方について考えます。
 
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■指導者からのお願い「まずは見守ってほしい」

「子どもたちのために」その思いは同じはずなのに……。保護者と指導者の関係性はお互いへの理解が欠けていることから溝が深まってしまうケースが少なくないようです。
いずれにしても、お父さん、お母さんとコーチの間でその小さな心を痛め、板挟みになってしまうのは子どもたち。この問題は「指導者だけ」でも、「保護者だけ」でも解決しないのが厄介なところです。相互理解には、まずお互いの思いを知ることから。連載の第1回目は、それぞれがそれぞれの声に耳を傾ける場にしましょう。
 
「できるだけ子どもたちを見守ってあげましょう」
 指導者たちに「保護者へお願いしたいこと」を聞くと、必ず挙がるのが、この言葉です。指導者から保護者に一番伝えたいことが、この言葉に詰まっています。
 
「荷物を親が持ち、子どもは手ぶらでやってくる。『集合!』と声をかけると、ボールを持ってピッチの中までついてくる親もいる」
 過保護にもいろいろありますが、保護者の行き過ぎた干渉が、子どもの自立を妨げるというのは、近年特に言われていることです。親が子どもの先回りをしてしまい、お膳立てをしてしまう。「自分のことは自分でやろう」と教えている指導者は、まず子どもと親を切り離すことから考えなければいけなくなります。
 
 応援の際に熱くなりすぎる。レフェリーや相手チームを批判するなどの行為も子どもたちが取り組む「フェアプレー」とはほど遠い行為です。応援ですから、熱くなるのはわかりますが「審判、ちゃんと見ろよ!」「こんなチームに負けるなー」という暴言が聞かれることも、いまだにあるそうです。
 
「シュート打てー」「走れー」
 普段は「サッカーを知らない」と言っていたお母さんたちが、試合となると突如名監督に変身!? 大声で選手に指示をはじめます。お母さんたちにしてみれば「応援」のつもりですが、優しい子どもたちはお母さんの「お願い」に耳を傾けてしまいます。指導者は「子どもたちのプレーや判断を尊重してあげてほしい」と声を揃えます。
 
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■口出し無用? でも手助けは希望?

 一方、保護者は指導者に「サッカーのことは口出し無用」と言われてしまい、少し疎外感を感じている人もいるようです。両者の関係がうまく行っているチームでは「コーチはサッカー、保護者はそれ以外のサポート」という協力体制ができています。しかし両者の境界が曖昧なチームも多く、「意見を言うなと言われている気がする」「指導者がいつも正しいわけではない」と言った声も少なからず聞こえてきます。
 
 どんな現場でもそうですが、特にジュニア年代のサッカーは保護者の協力なくして成立しません。当番や係を設けず、指導者だけで完結するように運営されているクラブチームであっても、何らかの協力を仰ぎながら「子どもたちのためにベストを尽くす」のが本来の姿でしょう。「『口出しはしないでください』でも『協力はしてください』では、気持ちよく協力できない」という保護者の意見も、ごもっともです。
 
 そこで重要になってくるのがコミュニケーションです。保護者と指導者の関係がうまく行っていないチームでは、保護者と指導者の話し合いがなく、見えない壁で隔てられているケースが多いのではないでしょうか。本音を話す雰囲気も場もないチームでは、小さな不満がくすぶり続けることになります。くすぶっていた火種がやがて大きな炎になる。そうなる前になんとか対策を講じなければいけません。
 
 保護者の考え方と指導者の方針にあまりに開きがあり、チームを変わるという選択をしたというお話を、当事者であるお父さんから聞いたことがあります。親御さんは指導者の考えを理解しようと最大限の努力をしたそうです。それでもどうしても納得がいかずに別のチームに移ることになったのですが「子どものために最善の決断だったのだろうか?」と、いまでも悩んでいます。
 
「子どもはチームに残りたかったのかもしれない」子どものためを思って下した決断でしたが、真逆の考えが頭をよぎることがあるそうです。「コーチと自分の対立に気づいて、子どもが傷ついたかもしれない」「もっとできることがあったのでは?」と自問する日々。
 
 このお父さんは、どうしたら良かったのでしょう? 本当の意味で「子どものため」になる行動とはどういうものでしょう。
現在こうした問題に直面している保護者の方もいるかもしれません。この連載ではこうした問題で悩む子どもたちを一人でも減らすためにも、保護者と指導者の関係について考えていきたいと思います。
 
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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取材・文/大塚一樹 写真/新井賢一(第37回全日本少年サッカー大会決勝大会より)

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