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サッカー豆知識

天才選手が多い? サッカーにおける左利きの謎について

2014年1月23日

キーワード:キック

 メッシにロッベン、ギグスにエジル、カシージャスとツェフ。これらの選手に共通することはなんでしょう? 正解は「左利き」であること。サッカーに限らずスポーツ界では、絶対数の少ない左利きは有利とされています。過去に遡ればリバウドやリベリーノ、そしてマラドーナと名前を挙げただけでも“特別”な左利きの選手たち。日本人選手でも名波浩選手、中村俊輔選手らファンタジスタと呼ばれる才能豊かな選手たちが左利きのプレイヤーとして知られています。
 今日は、サッカーにおける左利きについて考えてみましょう。
 
フリーキック
 

■左利きは約1割 サッカー界では優遇されるレフティ

 サッカー王国ブラジルには「同じ質の選手がいたら左利きの方を選べ」という格言があります。ブラジル人である日本代表のジーコ監督が当時、玉田圭司選手を重用していたことがこの格言と無関係ではないのかもしれません。
 近年では、中央に切れ込んでシュートを打たせるために左サイドに右利き、右サイドに左利きの選手を配するフォーメーションも見られるようになりましたが、ゴールの中心を分岐点にしてピッチを左右に区切ることのできるサッカーでは、右サイドに右利きを、左サイドに左利きを配置するのが理想とされてきました。左利きの選手が左サイドにいればクロスボールを上げやすく、左足でボールを保持していれば中央の様子も探りやすいというのがその理由です。
 
 左利きのお子さんを持つ親御さんはいますか? また、お子さんのいるチームに左利きの選手はいますか? 「左利きは少ないから左で蹴ることができればレギュラーになれる」なんて話を聞くこともあります。実際に“利き足”という観点から見ても左利きは希少だといいます。
 利き足の前に、より研究が進んでいる利き手のお話をしましょう。左利きと一般的に言った場合は、利き手が左の人を指します。左利きの人は古今東西を比べてみても、全人口の1割程度なのだそうです。
 
 

■天才が多い? 左利きの不思議

 絶対数が少ないかわりに、利き手が左の人は芸術性に優れ、天才が多いと昔からよく言われています。レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ベートーヴェン、ピカソ、現職のオバマ大統領をはじめ、アメリカの歴代大統領にも左利きが多いことがよく知られています。これは左利きの人はイメージやひらめきを司ると言われている「右脳」が発達しているからという説があります。
利き手と脳の動きの関連性は古くから指摘されていて、左右の脳の働きを研究するラテラリィという学問では右脳と芸術や音楽、スポーツの才能の関連性が研究されているそうです。
 利き手の違いが生まれる原因については、脳の働きとの関連の他にも、体内の臓器が右側に偏っているからという説、遺伝説や突然変異説など様々な説があるようですが、いまのところ決定的な理由はわかっていません。
 中村俊輔選手のように利き手は右、利き足は左という人もいて、利き手と利き足は厳密に言えばまったく同じではないようですが、利き足が左の選手を並べてみると確かに芸術的なプレーをする選手が多く見られ、もしかしたら右脳をよく使っているのかなあなんて思ってしまいますよね。
 
中村俊輔選手
日本を代表するレフティの一人、中村俊輔選手 (写真:松岡健三郎)
 

■利き足を調べる方法

 利き足を調べる一般的な方法としては、両足を揃えて立った状態で後ろから背中を押して、とっさに出た足が利き足という方法があります。子どもたちに試してみたら、実は利き足が左利きだったなんてこともあるかもしれません。しかしこれも100%正しいわけではないようなので、決め付けは禁物です。科学的な診断方法があるわけではなく、結局はボールを蹴りやすい方が利き足ということに落ち着くようです。
 左利きは少数派なのでスポーツにおいては有利ですが、社会が右利き前提で動いているために、生活面で不便があります。足だけの場合はそんなに気になりませんが、お箸を持つ手やハサミを持つ手を矯正されたという左利きの人もいるのではないでしょうか。科学的根拠には乏しいようですが、矯正が原因で吃音になったり、ストレスのせいで寿命が短いなんて説がまことしやかに語られていた時代もありました。
 
 反対にスポーツの世界では子どもの頃からの訓練で、利き手と逆の動きを手に入れた選手もいます。イチロー選手や松井秀喜選手が左打ちに、テニスのラファエル・ナダル選手がサウスポーに、自らの努力で変わったという例は有名でしょう。
 バレーボールの強豪校では、両手を等しく使えるようにお箸を左でも使える訓練をしながら食事をするといいますし、サッカーでも左右差をなくすための練習をするというのが一般的です。
 
 

■左利きはその才能を生かして 右利きは両利きにチャレンジ

 使いやすい、蹴りやすいという利き手、利き足は、自然に決まるものです。無理な矯正はストレスになるためよくありませんが、サッカーではなるべく左右差なく使えるようにしておくのがいいようです。
 もし、左利きのお子さんをお持ちならば、それを尊重してあげること。希少価値のある左利きはそれだけで才能と呼べるのかもしれません。かつての名選手、マラドーナのようにどんな体勢でも左足一本にこだわった天才もいます。日本を代表するレフティ、名波浩選手は「右足はつっかえ棒」と公言し、DFが左足の方に回り込むのを「誇りに思う」とまで言っていました。
 
名波浩さん
2008年に引退した名波浩選手も左足で多くのファンを魅了した(写真:新井賢一)
 
 なでしこジャパンの宮間あや選手や田中陽子選手のように角度によってFKを蹴る足を変えられる両利きの選手もいます。これができたら大きな武器になるでしょう。マラドーナや名波選手のような選手に反論するわけではありませんが、常に向上心を持ってサッカーに取り組んでいた中田英寿選手は「もし左利きのマラドーナが右足も使えるように練習していたらもっと凄かったはずでしょ?」と、彼らしい合理的な名言を残しています。右利きの子どもは両足の差がなく蹴るように練習するのもいいでしょう。
 
 運動能力と大きな関連があると言われているもののなかには、利き手、利き足のほかに利き目、利き耳、利き脳なんて考え方もあります。特に利き目に関しては見え方が変わってくるので、知っておいて損はない考え方ですので次の機会に詳しくお話したいと思います。
 
 
大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹 写真/松岡健三郎・新井賢一

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