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サッカー豆知識

度重なるケガを強い精神力で乗り越え戦い続けた "ワンダーボーイ"マイケル・オーウェンの名言

2013年3月22日

キーワード:イングランド欧州サッカー

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 サッカーの名言からサッカーを学ぶ。今回は今季限りの引退を発表した『ワンダーボーイ』、マイケル・オーウェンの言葉からサッカー選手のキャリアについて考えてみましょう。
 
 

■“ワンダーボーイ”誕生

 1998年、世界は一人の少年に度肝を抜かれました。フランスW杯、決勝トーナメント1回戦。相手は強豪・アルゼンチン。この日が初先発となった18歳の少年はベッカムの後方からのパスをトップスピードを維持したまま受けると、さらに加速。ACミランでも活躍したアルゼンチンのDF、チャモをみるみる引き離し、待ち構えていたアジャラをワンフェイントでかわしてシュート一閃。この貴重なゴールを決めたのはリヴァプールから抜擢されたまだあどけなさが残るマイケル・オーウェン。“ワンダー・ボーイ”誕生の瞬間です。
 
 シメオネの挑発に乗ったベッカムが失態を犯した試合としても知られるこの名勝負は、PK戦を制したアルゼンチンに軍配が上がりましたが、この日世界に鮮烈な印象を残したのは、オーウェンでした。
 
 そのオーウェンが今シーズン限りでの引退を発表しました。かつてのワンダーボーイもすでに33歳。希望に満ちたキャリアのスタートとは裏腹に、近年はケガに苦しめられ、思うような結果が残せていなかったオーウェン。彼が残した言葉から稀代のスピードスターのサッカー人生を振り返ってみましょう。
 
 
「ストライカーは決して自分のスイッチを切ってはいけない」
    マイケル・オーウェン(イングランド)
 
 
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■「どんなときでもスイッチは切らない」ストライカーの誇り

 プレミアリーグでは2度の得点王、2001年にはバロンドールに輝いたオーウェン。あまりに衝撃的な形で世界の舞台に飛び出したため、過小評価されがちですが、10代にしてあれだけの活躍を見せた選手はサッカーの歴史の中でもほんの一握り。一瞬輝きを放っても、花火のように表舞台から姿を消していく選手も多いのが現実です。
 
 オーウェンはストライカーにとって大切なことを問われて「スイッチを切らないこと」と答えています。スペースさえあれば、誰にも追いつけないスピードで悠々ゴールを陥れてしまう。アルゼンチン戦でのゴールも、カウンターからベッカムのパスに反応し、動き出したときに、シュートへの道筋が紡ぎだされていました。
 
 そのスピード故なのか、オーウェンも多くの快速FWたちと同じようにハムストリングに慢性的な故障を抱えていました。
 度重なるケガにもめげない精神的タフさでたくさんのクラブを渡り歩くオーウェン。ケガについては、こんな言葉を残しています。
 
「幸運なことに私は精神的な強さに恵まれています。辛い経験から学び、さらにそれを糧に選手として、人としてより良い方向に向かえると信じています」
 
 キャリアの終盤はケガだけでなく、自身の過去の残像とも戦い続けることになります。最後の在籍チームはプレミアリーグ・ストークス。「こんなはずじゃない」「自分はもっとできたはずだ」と自問自答しながら、どのチームでも、いつ出場してもいいように自分のスイッチだけは切らずにいたオーウェン。
 
 巷のサッカーキッズたちの中にも「神童」「天才」と呼ばれたのに、調子を落とすと「早熟だった」で片付けられ、そのまま消えていってしまう選手も少なくありません。そんな選手たちには、サッカーを諦めてしまう前に、もう少し踏みとどまってみて欲しいのです。オーウェンはこんなことも言っています。
 
「自分自身を信じられなくなったら、真のフットボーラーにはなれない」
 
 自分を信じ、どんなときもスイッチを切らなかったマイケル・オーウェン。16歳からスタートしたプロサッカー選手としてのキャリアに終止符を打つ決断を下しました。年齢的にはまだまだできそうな気もするのですが、本人が「今がキャリアを終える適切なタイミングだと感じた」と言っている以上、そろそろ彼のストライカーとしてのスイッチをオフにしてあげるときなのかもしれません。
 
 
大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹 写真/サカイク編集部(JA全農杯チビリンピック2012大会より)

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