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インタビュー

「ミスなくやらなきゃ」が緊張を生む! ガンバ大阪・遠藤保仁選手に聞く常にいつもの力を出す方法

公開:2019年6月 6日 更新:2023年6月30日

キーワード:セルフプロテクトプレッシャーマイペースメンタル承認欲求緊張しない遠藤保仁

ガンバ大阪の遠藤保仁選手は、20年以上Jリーガーとして第一線で活躍すると同時に、どんな時も自分らしさを失わず、シンプルかつナチュラルな生き方でも知られています。メンタルトレーナ―の浮世満理子先生は、遠藤選手を『決して無理をせず、誰に対しても媚びることなくフラットで、自然体でありながら、どんな場所でも自分が心地よくいられる環境を整えている』と表現されました。

そんな"遠藤選手らしさ"はどういう行動力、思考、メンタルで支えられているのかを、浮世先生が遠藤選手との対話を通してメンタルトレーナ―の視点から分析し、遠藤選手のようなメンタルに近づくために、私たちにできるいくつかのメソッドを紹介するのがこの本、『「マイペース」が引き出す可能性~常に自分らしくいられる簡単メソッド~』なのです。この本について遠藤選手へのインタビューをまじえて、本の一部内容を前・後編に分けてご紹介します。
(取材・文:貞永晃二、写真:平木千尋)

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大舞台でも緊張せずいつでもマイペースで自分の力を出せる遠藤選手のメンタルが手に入るメソッド本

 

■プレッシャーは自分が作る心理的圧力

『大きな試合でもプレッシャーはない。「これだけ大勢の人に自分のプレーを見せられる」という喜びの方が強い』

遠藤選手は、「(プレッシャーに強いのは)昔からですね。もちろん試合を軽く考えていたわけではなくて、特にワールドカップ予選などは突破して当たり前という周囲からの大きな期待もありますから大変です。ただ、あくまでもサッカーをやるだけなので、普段通りにやればいい」とあっさりとした答えでした。

浮世先生によれば、「プレッシャーとは、己の思考が勝手に作り出してしまう"心理的圧力"」であり、「その場が自分にとって大事な場だと意識し、ミスなくやらなければ、と考えると気持ちがどんどん追い詰められていって、体や心がこわばっていつもどおりのパフォーマンスができなくなる」わけです。

メソッドとしては「"ココが大事な場面だ!"という思考を一旦捨ててしまうことであり、具体的には①今、自分は何をしているかを確認し、②自分の役目は何かを考え、③その役目をやることに集中する」ことなのです。


『すべての人からいい評価をされるなんてありえない』

ブログやツイッターなどSNSもされている遠藤選手ですが、嫌なコメントもあるのではないかと思いましたが「気にしませんね。100%すごいと言われる人はいないですからね(笑)。なにかしらネガティブな事を言う人はいるのでそれを気にしても仕方がないです」と返されました。

浮世先生は本の中で、「好意的なコメントを求める心理は、自分の価値を他者に認めてもらいたい"承認欲求"の表れで非常に危険。スペシャルな存在でなければと自分を追い詰めてしまう」と述べられています。そして、遠藤選手には「自分にとって不要な情報はスルーして、自身の心を安定させる"セルフプロテクト力"があり、メンタルを強くするために欠かせない要素のひとつ」だといいます。

このような周りの評価に流されないためには、「SNSの公開範囲を制限したり、コメント機能をオフにすること」そして日常生活では周囲の人の中で「誰の言葉を聞くべきか自分の中で整理する」ことが大切になるのです。

■ピンチ=チャンスではない

『ピンチはチャンス、じゃない、ピンチはピンチ』

遠藤選手は、「ピンチに焦るのは当然だと思います。でも冷静に行けば大丈夫でしょうと思ってしまう自分がいます。昔からかな......。そうですね、例えばサッカーで(試合終盤に)パワープレーをよくしますけど、有効かというと全く有効でなくて、逆に相手にボールをとられて時間をつぶされてしまう。それと同じで、あわてる必要はないと思うんです。こっちがピンチだと、相手に余裕が出来てスキが生まれやすいのは分かりますけど、ピンチを乗り越えたからこそチャンスがくるわけで、ピンチイコールチャンスだとは思えないです」と具体例を挙げてくれました。

浮世先生は、「自分はできて当たり前だと油断している人は、思う通りにならないと動揺して、焦ってグダグダになる」といいます。

メソッドとしては、「起きうるピンチを想定し、対処法を2~3個決めておくこと」だそうです。あがってしまった時の例として、「①ゆっくりと3回深呼吸、②椅子や床に座る、③温かいお茶を一口ずつゆっくり飲む」を挙げておられます。

■イメージリハーサルをしておくことで本番でパニックにならない

『プレーしている時の頭の中は、常に「白紙」。僕の中で「白紙」と「考える」は紙一重』

遠藤選手は本の中で、「白紙」の中に10個ほどの選択肢があって、プレー中はそこから一つを瞬時に選んでいると話しています。サッカーにはあれこれ考えている時間がないことを示す言葉なのです。ここまでになるにはどういう過程を経ているのでしょうか? 遠藤選手の答えは、「最初は意識して考えながらプレーしていましたけど、対応力というか、瞬時にいろいろなアクシデントを乗り越えて考えていかなければいけないのでね。いろいろな考えが一瞬で浮かんで、そこから最善を選択するという意味では、やっぱり何も考えないというか、決めつけないでやっていくということ。中学くらいからちょっと意識してやり始めていたので、そこからの積み重ねだと思います」というものでした。

浮世先生の解説では、「白紙=何もないわけではない」そして、「いい状態の自分を無意識で出せるハイレベルな境地」だといいます。

即座にベストの判断ができるようになるためには、「本番のための準備として"イメージリハーサル"」を勧められています。それは、事前に現場でシミュレーションをして大まかな流れを脳にインプットするというものです。そうすると脳は本番でパニックを起こすことなく働くわけです。

後編では、ルーティンを決めることの意味や、プライドと自尊心の違いなどについて紹介します。

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取材・文:貞永晃二

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