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インタビュー

「親が放っておく時間に子どもは育つ」宮澤ミシェルの子育て論

2014年11月26日

前回記事『宮澤ミシェルの子育て論「子どもの好きにさせればいい!」』では、自身の親としてのスタンスを語ってくれた宮澤ミシェルさん。今回は、一流の音楽家だった父親のことや、パッション(情熱)が子どもと接する際にいかに重要であるかを熱く語ってくれました。
 
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取材・文 杜乃伍真 写真 田丸由美子
 

■親父から逃げようとした幼少時代

ぼくの子育て論というのは、親父を反面教師にしているところがあります。親父はフランスでは有名なアコーディオニストでした。ぼくが子どものときに『なにがやりたいんだ?』というからピアノと答えたんだけど、それが失敗だった。そこからずっとスパルタ指導。小学校が終わると、おやつよりもジュースよりもまずピアノ。だから、ぼくの頭には逃げることしかない。親父から逃げようとして近所のピアノ教室に通うことになるんだけど、親父がついてきて「そうじゃないだろ?」と言ってくるくらいだった。そうやって親父は、ぼくや兄貴の音楽の指導で失敗した。ぼくとしては、親父という悪い見本がいたから、自分の子育てはその反対をいこう、と心に決めていました。子どもに強制したってなにもいいことがないことを、身を持って体感しているわけですからね。
 
でも、親父は最後にひとり、素晴らしい弟子を育てたんです。桑山哲也さんというヨーロッパの音楽会にも呼ばれる有名な音楽家です。桑名さんは、ぼくが大学に行っているころ、実家に3年間も居候として修行していました。なぜ桑山さんを一流にすることができたのか。それは師匠と弟子という間柄ではありましたが、一緒に生活をしてほとんど親子のような関係になって、愛情をたっぷり注いだからだと思うんです。音楽が大好きで、その道を極めようと自ら学ぼうとしている弟子からすると、親父のそういう姿は「本当に自分に教えようとしてくれているんだ」と感じるだろうし、そこまでの関係に至ることで、初めて弟子に対する師匠の愛情表現が成り立つのだと思うんです。
 
それと、親父は生活がかなりだらしない人だった。楽器引きなのに指をケガして帰ってきたり、一日のうちにバイクと車をなんと同時に購入してくるような人で、母親はいつも泣いていました。二日酔いで考えられないくらい呑んだくれてしまうことも頻繁にあった。そういう醜態をすべて弟子にも見せていたことが、逆によかったんじゃないかなと思うんです。それがヒューマンという感じがあるじゃないですか。人間の血が流れている感覚が伝わってくるでしょう?
 
コーチと教え子となると、一般的には四六時中一緒にいるわけじゃないからなかなか難しいんだけど、厳格なコーチだって人間だし、冗談が好き。教えている子どもがおもしろいことをしたら、「おもしろい!」と言ってひっくり返って笑うくらいのことがあってもいいんです。両者が深い部分でつながっていれば、たとえひっぱたいても大丈夫だと思うんです。まあ本当にひっぱたくのはよくないですけどね。ただ、ぼくたち兄弟は、親父にひっぱたかれて育ったけど、なにも思っていないですからね。
 

■パッションの重要性

いいコーチの要素は「教えること」だけではないと思うんです。もちろん素晴らしいコーチもたくさんいるし、高いレベルの技術を教えているようなスクールやクラブもある。でも、本当に重要なのは、そこにパッション(情熱)があるかどうか。
 
ぼくもスクールの指導をやらせてもらえる機会があるときはパッションを大事にしていて、子どもたちの様子をみながら、冗談が必要だと思ったらいきなりじゃんけんから始めて子どもを和ませたり、ちょっと子どもが偉そうな感じにしているようなら、頭にボールを乗せて歩いたりすると、子どもはみんな黙って注目してくれる。「すげえ!」と言って。
 
でもそれが子どもでしょう? そういった意味で、セルジオ越後さんのサッカー教室は本当にすごかった。見せ方が全然違うし、本当にうまい。そういうことで子どもを引っ張っていかないと。その場にハイなテンションが生まれるかどうかが、すごく重要なんだと思うんですよ。
 
コーチのテンションの高さでいえば、やはり外国人は熱すぎるもので迫ってくるんですよ。ぼくが現役のころ、英国人の監督と一緒に戦ったときには、その熱さに心を持っていかれました。あまりにも強烈にくるからビビりましたね。言われたことをやるしかないと思ってしまったんです。でも、その英国人監督が連れてきた外国人選手たちは監督のいうとおりにはやらないんですよ。「うんうん」と頷きながら、試合中は勝手にやる。でも、日本人は監督がいうとおりにやらないと試合で使ってもらえなくなると思ってしまう。その感覚は、日本人の母親を見ているとわかります。でも、フランス人の親父は、「関係ないよそんなこと」という感じで勝手にやる。どちらの血も受け継いでいるぼくは、どっちの感覚もわかるんです。
 
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