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インタビュー

負けたくないと思うから、自然に考えるようになる――猶本光選手(浦和レッズレディース)

2012年12月 4日

キーワード:なでしこ浦和レッズ

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1つ年上のお兄さんがサッカークラブに入っていたことで小学校1年生からサッカーを始めた猶本選手。6年生にもなると「なでしこジャパン」に入ると宣言するまでサッカーにのめり込んでいきました。今回は、そんな猶本選手の中学校から現在に至るまでに受けた影響や、印象に残っている両親からの言葉、今後の目標についてお届けします。
 
 
<<前編・サッカーを始めたきっかけや、子どもの頃のエピソードを読む
 
 

■トップチームが近くにあったことで、大きな目標を持ってサッカーに取り組んだ日々

――中学校では学校のサッカー部ではなく、クラブチームでプレーしています。
 
「地元の中学校のサッカー部は人数がとにかく多くて、1年生はボール拾いという感じだったんです。だから、そこでは絶対にサッカーはしたくないと思って(笑)。近くでサッカーができるところを探していたところ、福岡女学院でできることを知ったんですが、そこのサッカー部が福岡J・アンクラスの下部組織のようになっていたので、気が付いた時には私もそこでプレーをしていたという感じです」
 
――小学校時代までと大きく変化したことは?
 
「トップチームが近くにあったことで、大きな目標を持ってプレーできるようになったと思います。とにかく限られた時間に集中して練習に取り組む。高校になってからは、全体的な練習とは別に、毎日体幹トレーニングを行うようになりました」
 
――体幹トレーニングを毎日行うようになったのは?
 
「U-16日本代表に呼ばれ、同年代のレベルの高い選手たちとプレーするようになってから、“手を抜いたらまずいな”という気持ちが芽生えたんです。最初にU-16日本代表合宿に行った時は本当に衝撃的でしたね。負けず嫌い魂に火が付きました(笑)」
 
――勉強とサッカーはどのように両立させていましたか?
 
「まずは授業に集中して、あとは昼休みや授業の合間の10分休みに勉強していました。他の部活であればテスト休みのようなものがあるんですが、サッカー部はまったくなかった。でも、そこでもテスト休みのある人に負けたくなかったので、頑張っていたような気がしますね。サッカーでも勉強でも、絶対に手を抜くことだけはしたくなかった。また、母からも“女子サッカーでは食べていけないから、サッカーをするなら勉強をしなさい”とよく言われていましたからね」
 
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■「やりたいことをやりなさい」と、そっと背中を押してくれた両親

――サッカー選手にとって“自分で考える”ということはとても重要なことだと思うのですが、猶本選手はそのような力をどのように養いましたか?
 
「小学校の時はやはり知識をいっぱい身につけるというか、(知識を)得るために、しっかりとコーチの言っていることに耳を傾けることが大事で、その中で自分の考えが自然と生まれると思います。あとはそれをグラウンドでいかに発揮、表現できるかどうか。私自身がそうでしたが、負けたくないと思ったら、自然と考えるようになると思います」
 
――それを親御さんはどのようにフォローすれば良いと思いますか?
 
「私の場合は、サッカーにしても習い事にしても強制されることはなかったですし、“やりたいことをやりなさい”と、両親はそっと背中を押してくれたような気がします。あと両親が毎回試合を見に来てくれていたんですが、父が試合のビデオを撮ってくれていて、その日の夕食を食べながら録画した試合のビデオを見て、いろいろ話すということはありました」
 
――ご両親の言葉で印象に残っているものはありますか?
 
「いろいろあるのですが、強いチームと対戦する時に、私は引いてしまうというか、“勝てない”と弱気になり、それがプレーにも表れてしまう時期があったんです。そんな時に母がかけてくれた言葉が印象に残っていますね。当時、リフティングを毎日欠かさず練習していたのですが、『リフティングだけやるのなら、そういう芸を披露する人になればいいんじゃない?』って。“そうじゃないよ!”と自分を奮い立たせられた言葉でした」
 
――高校生ぐらいになると、リアルに自分の将来を意識し始めると思うのですが、猶本選手がサッカーを続けていくと覚悟したのは?
 
「もう、サッカーをするというのは決まっていたというか、自分の中では当たり前のことになっていましたね。その気持ちに迷いはなかった。ただ、どこでサッカーをするのかということだけは迷いました。なでしこリーグでプレーするのか、大学に行くのか――。高校生の頃からずっとなでしこリーグでプレーしていたので、せっかく日本最高峰のリーグでやっているのに、他に行く必要はないと思いました」
 
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■大学進学、チーム移籍、U-20女子W杯出場と、学ぶことが多くてレベルを上げることができた1年

――しかし、同時に筑波大への進学を決断します。
 
「大学には絶対に進学すると決めていたんです。親に言われたからではなく、自分の将来のことを考えた場合、セカンドキャリアを作っておきたいという気持ちが強く、それならば大学に進学するのがベストだろうって。その中で筑波大を選んだのは、中高と私立だったので、大学はお金のかからないところへ、という気持ちが強かった。さらに、熊谷(紗希)さんがなでしこリーグで戦いながら筑波大に通っていると聞き、自分もそれにチャレンジしてみようという気持ちになりました」
 
――実際、両立は大変ではないですか?
 
「一人暮らしにもなったということで、最初の頃は大変でしたね。今ではすっかり慣れましたが、通学に(片道)1時間半かかりますからね(苦笑)。でも、興味がある勉強ばかりなので全く苦だとは感じていません。テスト時期だけはやはりしんどいですけど(笑)」
 
――今年は、浦和レッズレディースに移籍して1年目のシーズンでもありました。
 
「この1年間は学ぶことも本当に多くて、壁を感じたというか、うまくいかない時期もありましたが、様々な面でレベルを上げることができたと思います」
 
――そういう時期にU-20女子W杯が行われたことは、猶本選手にどのような影響を与えましたか?
 
「いい意味で自分自身を取り戻すことができましたし、何よりも思い切りプレーできたことが大きかった。(U-20W杯までは)自分のプレーを忘れてたというくらいうまくいっていなかったので、本当に代表でプレーすることができてよかったなと思います」
 
――これからの猶本選手の目標は?
 
「大きな目標はなでしこジャパンに入って活躍すること。直近の目標で言えば、間もなく始まる皇后杯でレッズレディースの選手としてしっかりと戦って結果を残したい。まだ、チームではなかなか勝利に貢献することができていないので、皇后杯ではチームに貢献するようなプレーができるよう、勝利に導けるよう頑張りたいと思います」
 
 
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猶本 光//
なおもと・ひかる
MF。1994年3月3日生。福岡県小郡市出身。浦和レッズレディース所属。小学校1年生の時に、兄の影響でサッカーを始める。2007年、福岡J・アンクラスの下部組織であるアンクラスFC Paso Doradとの2重登録という形で、13歳でトップチームに登録された。2010年、トリニダード・トバゴで開催されたFIFA U-17女子ワールドカップでは全6試合に出場。2得点を挙げるなど、日本の準優勝に貢献した。2012年、筑波大学への進学を機に、浦和レッズレディースに移籍。8月から開催された2012 FIFA U-20女子ワールドカップでは、U-20サッカー日本女子代表としては初めての世界レベルの大会でのメダルとなる3位の成績を収めた。
 
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取材・文/石井宏美 写真/新井賢一

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