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インタビュー

子どもたちを様々な面から理解して、人としての成長を促すACミランの指導メソッド

公開:2012年10月24日 更新:2023年6月30日

キーワード:育成

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世界でも有数の人気クラブ、ACミラン。ここ日本では愛知と大分にACミランサッカースクールが常設されています。今回はこのACミランのスクール部門責任者であるミケーレ・フェラリスさんにミランの育成哲学などについてお聞きしました。
 
 
<<前回の記事(「ACミラン」のプロジェクト)を読む
 
 
――新しいミランのプロジェクトの中心に子どもたちが据えられていました。子どもを中心にした意味を教えてください
 
「子どもたちに様々なサービスを提供したいというのが新しいミランの基本コンセプトです。ミランのファンはもちろん、まだファンではない子どもたち、イタリアの子ども、外国の子どもたち・・・・・・。育成や選手養成というよりも、ミランをサポートしてくれるファンになってもらうという、マーケティングの意味からも子どもたちからの声援や応援は大切だと考えています。もうひとつ、“ミラン・ラボ”のようなサービスでも表現されていると思いますが「身体と心によいことをする」というのがミランのクラブとしての哲学です。育成の核となる“ミラン・アカデミー”で指導者を育て、ミランの哲学を子どもたちに伝える“良き指導者”を育成する。コンセプトの中心にいる子どもたちへのアプローチとして“ミラン・アカデミー”での指導者養成は非常に重要ですね」
 
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■プレーヤーとしてだけでなく、人間としての成長を促すのがミラン流

――アカデミーでは指導者にどんな教育をしているのですか? またミラン・ジュニアやスクールではどのような哲学で指導しているのか教えてください。
 
「まずアカデミーでの指導者への教育ですが、子どもたちを指導するには多くの知識や経験が必要です。当然、年齢によってアプローチも違ってきます。概略的な話になりますが、サッカーの技術やテクニックだけではなく、子どもたちをよく理解し、導ける能力、たとえば児童心理学を学ぶ、医学的、栄養学的知識を身につけるだとか、指導に当たってのベースの部分をとても大切にしています。日本ではそんなことはないと思うのですが、欧米では子どもの肥満が社会問題になっています。そういった問題もトレーニングの中だけでなく毎日の食事に気を配らなければいけませんし、それに対処する正しい知識が必要です。
 
肥満と同じく、街で育った子どもたちの体力低下というのも問題です。友達が作れないといった、社交面の問題も最近はよく見られるようになりました。ミランではプレーヤーとしてだけでなく、人間として成長するための教育に力を注いでいます。アカデミーでは体力面、精神面での成長を適切に促すことのできる指導を身につけるために、様々なプログラム、カリキュラムが組まれているのです」
 
――日本でもスクールを開校して指導されています。日本の子どもたちはいかがですか?
 
「とてもいいですよ。愛知と大分でスクールを開校しましたが、かなり多くのみなさんにご参加いただいて、指導内容、プログラムに関しても生徒さんから満足の声をいただいています。このような反響をいただけることは私としてもとてもうれしいです。大分校は5月に開校したばかりですが、これからさらに発展していくと思います。
 
ミランスクールでは、コーチ陣にミラン独自のトレーニングマニュアルを準備しています。コーチからの指導を通じて、ミランのビジョンがわかっていただけるのではないかと思います。先ほどお話ししたように、やはり子どもたちの指導においては、コーチの能力が非常に重要だと考えています」
 
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――日本の他にもアジア各国でスクールを開いているそうですね
 
「ええ、もちろんです。香港、マカオ、オーストラリアのシドニー、クウエート、11月にはインドネシアのジャガルダ、中国でも近々スクールを開く予定になっています」
 

■厳しい外人枠をはねのけ、ミランで日本人選手が活躍する日が来るかも?

――スクールの拠点を置くことと、スカウトは別だと思うのですが、お隣のチームには日本人の長友選手もいます。ミランで日本人選手が活躍する可能性については、いかがでしょう?
 
「せっかくの質問ですから正直なお話をさせてもらいましょう(笑)。セリエAにはEU以外の選手の制限枠があります。この厳しい枠を勝ち抜くには相当な実力が必要です。現在ミランのトップチームではやはり強力なFW選手、特に南米の選手が第1選択肢になっています。もちろん将来、これを読んでいるみなさんがこの1枠に入ってくるような選手になってくれれば、ACミランで日本人選手が活躍する日も来ると思いますよ」
 
 この日の朝、来日したばかりのミケーレさんでしたが、日本の子どもたちとサッカーをするお子さんを持つ親御さんのためにと、快くインタビューに応じてくれました。ひとつひとつの質問に、丁寧に答えてくれたミケーレさん。ACミランの哲学、理念はすでに開校しているサッカースクールなどを通じて日本にもすでに伝わっています。こうしてまかれた種が、いつの日か欧州の舞台で戦うトップチームで花開く日が来るかもしれません。
 
ACミランサッカースクール愛知
ACミランサッカースクール大分
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取材・文/大塚一樹

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