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インタビュー

『試合に出る選手は、出られない選手の思いや責任も背負っている』酒井 宏樹(柏レイソル)

公開:2011年11月 4日 更新:2023年6月30日

キーワード:Jリーグレイソル五輪日本代表

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■頭をよく使ってプレーすれば、いろいろなものが見えてくる

――現在、柏レイソルでレギュラーとしてはもちろん、U-22代表、そして10月にはA代表にも選出された酒井選手ですが、今、プレーするにあたって“この出来事が大きかったな”というようなポイントになる瞬間はありましたか?
 
「サイドバックに転向したことはもちろんですが、直近だと今年の東日本大震災の後のキャンプですね。それまではずっとサブで、しかもセンターバックでプレーしていたんですよ。でも、練習中に1度、スタメン組の右サイドバックに入って、熊本との練習試合で2アシスト決めることができて。そして、震災後初の公式戦となった大宮戦(4月23日)でも、右サイドバックのスタメンで出場することができました」
 
――プロ3年目の今年、自分の中でどんなビジョンを持ってシーズンに臨んでいますか?
 
「(プロ)1年目は、過去の経験から考えても、正直試合に出るのは難しいと思っていたので、プロ2、3年目で結果が出せるかどうかが重要になると考えていました。だから、そういう意味では2年目から少しずつ試合に出させてもらって、今年3年目でこのように多く試合に出場することができていることは、理想的な展開ですね」
 
――昨年までの自分と今年の自分、何か一番変化していると感じますか?
 
「去年はレギュラーの選手が出場停止の時に出ていることが多かったので、『うまくこなそう』とか『勝てるように頑張ろう』というような気持だったけれど、今年は自分がどう活躍するか意識するようになりましたし、自分が結果を出して勝ちたいという思いも強くなった。そういう意味では勝利に対しても、自分自身にも、とにかく貪欲になりましたね」
 
――貪欲さは自信の表れだと思いますが。
 
「やっぱり試合に出て、アシストなりそういう形で結果が出ることは自信につながりますね」
 
――活躍することで、相手に研究されたり、マークされることも多くなったと思いますが、どのような対策をされていますか?
 
「確かに常に相手が(自分に)ついてくるというか、なかなかフリーにさせてもらえないけど、そういう中でも自分のプレーを出して結果を残さなければならない。いろいろ考えている途中ですが、方法はたくさんあると思いますし、頭をよく使ってプレーすればいろいろなものがまた見えてくるかな、と。それが成功すればまた自信にもつながるでしょうし。やっぱり試合から学ぶことは本当に多いし、大きいです」
 
――今、酒井選手が理想としているサイドバック像は?
 
「運動量は絶対的に必要ですが、90分間、常に走り続けられるわけでもない。だからこそ、“抜きどころ”がわかるような……しっかりポジションをとりながらも、上手に休むというプレーができるような選手になりたいですね。ユースまでは常に100%でプレーしていて、今も時々100%に近い感じでプレーして、すぐに疲れてしまうことがあるので(苦笑)」
 
――まだ、その“抜きどころ”は完全に自分のものにできていない感じですか?
 
「そうですね、それは1,2年ではわからないことだと思う。そういうことを考えているうちは、(海外)移籍なんかも考えられないですね。まだまだ土台作りが大事です」
 
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■楽しむこと。そして試合に出ていない選手の分までプレーすることが大事

――A代表の両サイドバックの長友佑都選手(インテル/イタリア)と内田篤人選手(シャルケ04/ドイツ)は現在、海外で活躍しています。そういう姿を目の当たりすると、自分も……と思いませんか?
 
「サッカー選手としてゆくゆくは……という気持ちはありますが、まだ自分はそういう力を持っていないと痛感していますし、現実的に、冷静に考えても、『行きたい』という気持ちだけではダメだなと思いますね」
 
――そういう意味では、来年開催されるロンドン五輪という世界大会をどのように位置付けていますか?
 
「本当にもう1つ上のステージにいける、成長できる大会だと思っています。プレッシャーのかかる試合になりますが、その中でもしっかりと五輪出場を決めたい。そして、本大会で活躍することはもちろんのこと、そのような舞台でいろいろな経験をしたい。きっと最終予選以上にプレッシャーのかかる試合が続き、学べるものも多くなるでしょうから。まずは予選突破することが重要なことですが、今からわくわくしますね」
 
――では、五輪出場を目指す酒井選手からジュニア世代の選手たちへのメッセージをお願いします。
 
「試合に出たら試合を楽しむということは、僕自身、今もいつも考えてプレーしていますね。楽しめているということは、調子がいいということでもあるし、『行ける!』と思っている証なので、僕はそういう状態を作るようにしています。“楽しむ”ことが成長の一番のカギになると思いますから。また同時に、試合に出ている選手は、出てない選手の思いや責任も背負っている。僕もユースの頃に監督からずっと言われ続けてきましたが、それは忘れないでほしいですね。小さい頃にそこまで感じることは難しいかもしれませんが」
 
――酒井選手がサッカーを“楽しむ”ことの大切さを知ったり、ご自身が成長する中で最も影響を受けた方はいますか?
 
「小さい頃の監督もそうですが、やはり中2からユースまで、ずっと僕を見続けてくれた吉田達磨(現:柏レイソル強化部長)さんですね。吉田さんはあの時代からいい意味でプレッシャーをかけ続けてくれたし、プロ意識のようなものを教えてくれていたんじゃないかと思います。試合に出る時の心得もそうですが、僕たちはレイソルのエンブレムをつけて戦っているんだぞ、というような話を。日立台で試合をするときは、「ここはホームだから、絶対に負けられないんだ」とおっしゃっていたことを思い出しますね」
 
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酒井 宏樹//
さかい・ひろき
DF。1990年4月12日生。千葉県柏市出身。183cm/70kg。柏レイソル所属。ロンドン五輪を目指すU-22日本代表。2011年10月にはA代表にも招集された。右足から繰り出すピンポイントの高速クロスはワールドクラスとの呼び声も高い。今後の躍進が期待される大型サイドバック。
 
■酒井選手のプレーを見に行こう!『柏レイソル
 
【関連リンク】
柏レイソルアカデミーディレクター吉田達磨さんに聞く「"子どもに考えさせる"コミュニケーション術」
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取材・文/石井宏美 写真/新井賢一

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