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目の前の子どもが倒れたとき、あなたには何ができる!?

2014年6月 3日

キーワード:AEDサッカー

大切な命を救う『AED』(自動体外式除細動器)を、みなさんご存知ですか?
 
近年は公共施設などを中心に目にする機会も増えています。じつはこのAED、日本に導入されてから今年で10年。それ以前は「医師以外の医療行為」ということで問題視され、海外で普及が進んでいたにもかかわらず、日本で使用できなかったそうです。サカイク読者のみなさんにとっても他人ごとではありません。
 
目の前の子どもが急に倒れてしまったら? 意識がなかったら? 心停止の可能性があったら? あなたはどうしますか?
 
AEDの使用方法を知っていれば、子どもたちの命を救えるかもしれないのです。
 

今日は、世界標準の救命方法だったAEDの一般解禁をいち早く訴え、日本に普及させる活動を続けている「減らせ突然死」実行委員長でもある三田村秀雄先生にお話を聞きました。
 

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photo by halfrain AED
(取材・文/大塚一樹)

 

■子どもたちにも起こり得る突然死

「突然死というと、老人や成人に起こるものと思いがちですが、子どもたちにももちろん起こり得ます。スポーツをやっている子どもたちには心臓の真上に衝撃が加わったときに“心臓震盪(しんぞうしんとう)”が起きる可能性があります。野球ボールやサッカーボールなどが胸に当たり、心室細動を起こす心臓震盪はほかにもいろいろな球技や格闘技で起きています」
 
三田村先生によると「突然死」は子どもたちにも無縁ではなく、スポーツをしている子どもたちにいつ、どこでこうした危険が襲ってくるかわからないと言います。
 
「一般的に心臓に負担がかかる運動中と運動直後は心室細動が起こる可能性が高まります。心筋症や冠動脈奇形による不整脈など、もともと心臓に疾患を持っている子どもたちはもちろんですが、心臓震盪のように持病がなくても突然起こることもあります。だからこそ、すべての人が突然死に備える術を持って欲しいのです」
 
「そこで重要なのがAEDです」
 
AEDは電気ショックにより心臓の働きを戻す機器です。ここ数年で街角のさまざまなところで見かけるようになったので目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。心臓突然死で亡くなる方は日本国内だけでも年間約7万人と言われています。AEDの普及により、多くの命が救われるようになっていますが、同時に「AEDの使用法がわからない」「適切な場所に設置されていなかった」などの理由で、目の前の「助かるはずの」命が失われていくという悲しい事例も後を絶ちません。
 
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■目の前の命をAEDで救うために

「スポーツの現場、特にサッカーをやっているときというのは、たとえば心臓震盪が起きても助けることができる環境です。まず、親御さんが一緒にいることが多い。多くの大人がいる。子どもも含めて異変に気づく人が多い。こうした場では、何かが起きてもすぐに対処できる準備があれば、かなりの確率で命を助けることができます」
 
AEDを使用した場合の救命率は1分で1割ずつ低下していくと言われています。倒れてか
らの時間、スピードがとにかく重要。つまり、事前に「何かかが起きても大丈夫」な備えをしておくことが大人に求められているのです。
 
「AEDはあるけれど、設置されている場所が遠かった。練習場所の学校にはあるけれど、校内の鍵のかかった場所にあるから使えない。普及が進んだとはいえ、こうした使用時のことを考慮した“設置の質”が考えられているかというとまだまだ改善の余地があります。だからこそ、指導者の方や親御さんにもAEDの存在を常に意識する習慣をつけて欲しいのです」
 
下の表は東京マラソンの過去8回のAEDを使用した心停止救命のデータです。タレントの松村邦洋さんが救命されたことが大きく報じられましたが、8大会で7人が心停止に陥り、全員がAEDによってその命を救われているのです。
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「東京マラソンの例を見ていただければわかるように、準備をしていれば救命確率は高められます。東京マラソンでは、15ヵ所の救護所に加え、コース途中1kmごとに36の救護チームが常駐して計51台のAEDが設置されていました。さらに大きかったのが、コース全体をカバーするモバイルAED隊の存在です」
 
東京マラソンでは自転車に乗ったモバイルAED隊が22台のAEDを背負って常にコースを巡回していたのです。東京マラソンでは合計73台のAEDがスタンバイ状態にあったのです。
 
「周到に準備をしていれば救命率100パーセントも夢ではありません。サッカーのグラウンドにもAEDが設置してあると思いますが、その設置場所の確認、誰がどうやってとりに行くか、救急車を呼ぶのは誰か、こうした役割分担を決めて対処法を練っておくことも大切です。最近ではレンタルAEDも普及し始めていますから、チームでAEDを持つという選択肢もあるでしょう」
 
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「AEDの普及には、わが子を亡くされた親御さんの想いがありました。AEDが認められるほんの数ヵ月前、大阪の高校でスポーツテストの1500m走を走っていた17歳の少年H君、同じ1500m走で亡くなった札幌の中学生S君。残されたご両親は原因や責任について深く悩まれましたが、誰にでも起こりうるのが突然死です。だからこそ、起きたときに何ができるかですべてが変わってしまうのです」
 
H君とS君のご両親はその後、AEDを学校に寄贈され、普及の活動にご協力されたそうです。こうした活動からAEDによって命を救われた例がたくさん生まれているのです。
 
「AEDの存在は、ずいぶん浸透してきた感はあります。設置台数も十分とは言えませんが、いろいろなところで目にするようになってきました。AEDを『本当に使える』ものにするために、設置場所の精度を高め、使用方法をできるだけ多くのみなさんに知ってもらうことが次のステージとしてやっていかなければいけないことです」
 
次回は、いよいよ実践編に入ります。目の前で倒れた子どもたちを救うためにできることは、学ばなければできるようになりません。他人ごとだと思わず、身につけたいことのひとつです。AEDを使えるようになりましょう。
 
 
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●三田村 秀雄 みたむら ひでお
1974年慶應大卒。心臓病、とくに心電図、不整脈に魅せられ、1981年から3年間、米国留学。1991年母校の講師、94年助教授を経て、99年同心臓病先進治療学教授。不整脈が専門と称しながら、その最終形である突然死の防止に非力なことから、日本循環器学会内にAED検討委員会を組織。委員長として国を相手にAED認可に向けて奔走。一般解禁を果たした2004年から東京都済生会中央病院に副院長、2013年より国家公務員共済組合連合会立川病院院長。2014年にAED解禁10周年を着に発足させた「減らせ!突然死使おうAED」プロジェクトの実行委員長慶應大学客員教授、日本不整脈学会副会頭。
 
 
 
 
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取材・文/大塚一樹 写真/田川秀之・大塚一樹

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