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運動能力

【コンディショニング第9回】日本人に多い「あがり」を解消する練習システム

2011年12月26日

キーワード:コンディショニング連載

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 今年ももうあとわずかですね。皆さんにとってこの1年、どんな年だったでしょうか?そして、いよいよこの「サッカー選手のためのトータル・コンディショニング」も最終回を迎えました。「運動」、「食事」、「休養」という3つのコンディショニングの考え方から始まり、食事の摂り方、トレーニングやストレッチ、姿勢のチェックから予測されるスポーツ障害の予防法など基本的なお話をさせて頂きました。これらは全て日常生活での過ごし方がサッカーに繋がるということにお気づき頂けたでしょうか?今回は「こころ」の部分に少し触れてみたいと思います。
 
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■「あがってしまう」のは練習システムに問題あり

 スポーツでは昔から「心」、「技」、「体」のバランスが重要だと言われてきました。現在のスポーツ科学では、「メンタルトレーニング」、「コーチング」、「フィジカルトレーニング」という形で研究され、スポーツ選手のパフォーマンス向上や怪我予防に生かされています。「こころ」は目に見えません。だからこそ、様々な形で見えないものを評価したり、強くしようとしてきました。
 
 日頃から練習したことがいざ本番であがってしまい、日頃の練習通り身体が動かないということは誰もが経験したことがあることです。ジュニア選手も例外ではありません。「あがり」とは心理的な過度の緊張によって身体中の筋肉が硬直し、思ったように動かせない状態です。日本人選手はどの競技においても、この「あがり」が多いと言われています。その理由として練習システムの問題が挙げられます。
 
 本番でパフォーマンスを最大限発揮するには次のようなことを工夫する必要があると言われています。
 
 ①本番同様の環境設定
 ②実戦的な練習プログラム
 ③メンタルリハーサル
 

■『本番同様の環境設定』をトレーニングで行う

 まず、①本番同様の環境設定。これまでの「サカイク」の記事でも同じような記事が取り上げられたかもしれませんが、「日本のサッカー選手のテクニックは世界でも大変高いレベルでありながら、実戦で通用しない」と言われます。私がFCバルセロナのコーチ陣に聞いた話では、バルサではまず「人に見られていること」を常に意識させると言ってました。試合場では大きな歓声、ヤジなど様々な声や音が聞こえます。その声や音でモチベーションが高まったり、萎縮することはアウェイで日本選手が敗戦する際によく耳にする一因ですね。選手自身がそんな環境で「スタープレーヤー」としてカッコよくプレーをしたり、ファンに振舞うことから、バルサのコーチは教えると言っていました。
 
 バルサの練習場の観客席には常に多くの保護者の姿があり、練習のレベルで「見られる」ことによって子ども達は意識するのです。「さあ、カッコよくお母さん達に応えて!!」コーチが声を掛けると、子ども達も笑顔であたかも一流選手のようにカッコよく振舞っていました。こうした経験がポジティブにサッカーを楽しんだり、自分自身を奮い立たせる術に繋がります。これは決して選手の物真似ではなく、多くの人が見ている中で「いかに自分自身がカッコよくプレー出来るか」、ということをトレーニングしていると言えるでしょう。
 
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■試合を想定した『実戦的な練習プログラム』

 次に②実戦的な練習プログラムです。私達トレーナーはチームの戦術や練習方法に口を出すことは一切行いませんが、基本的に『本番同様の環境設定』と同様でいかに実戦的な練習プログラムを作り上げるかがポイントとなるのです。この部分は監督やコーチが設定することになりますね。バルサではフォーメーションやパスワークも常に実戦を想定し、ディフェンダーを配置し、練習しているそうです。また練習中に問題が発生するとストップさせ、子ども達が選択した結果、生じたミスやその後のプレーにどう影響するか、子ども達に考えさせていました。
 

■『メンタルリハーサル』でイメージとプレーをつなげる

 ③の「メンタルリハーサル」です。「メンタルトレーニング」の手法に「メンタルリハーサル」があります。頭の中で実戦を想定し、繰り返し良いイメージを想い描き、本番でポジティブな思考によって良いプレーに直結させるということが目的です。しかし、子どもは特にそうですが、頭の中でイメージをするには、実際の場面を目で認識し、身体を動かすという「経験」がなければ「リハーサル」は出来ません。
 
 いかに実戦的な場面を練習環境で整えられるかが、練習場を離れた後の「メンタルリハーサル」を大きく左右します。つまり実戦的な練習プログラムの中で「成功体験」をさせることが具体的な「メンタルリハーサル」に繋がるのです。
 

■フィジカルとメンタルの調和で、人間本来の力を引き出す

 「こころ」が元気でなければ、姿勢も自然と背中が丸まり、うつむきがちです。「こころ」が自信に満ちていれば、目線は常に前を向き、サッカーのプレー自体も力強くなるものです。子ども達が「確か同じような場所(雰囲気)で、同じような練習をして、とても上手く出来たことがある」という経験を思い出せれば自信を持って、楽しみながらプレーが出来ます。
 
 子ども達が元気に練習や試合でプレーをするには、食事も大変重要な部分を占めています。「こころ」=「脳」ですね。脳がフル回転するには、日頃からバランスのとれた食事を取る必要がありますが、特に脳の働きを良くするためには、ご飯やパンなど直接エネルギーとなる炭水化物が重要になります。正しい姿勢は脳を刺激し、自然とモチベーションが上がります。フィジカルとメンタルが調和することで、人間は本来持っている能力を発揮できると言えます。今回紹介させて頂いたメンタル面のコンディショニングはごく一部ですが、皆さんのご活躍を「こころ」から願っております。頑張って下さい。「加油!!」
 
江上猛//
えがみたけし ストレングス&コンディショニングを専門とするコンディショニングトレーナー。 福岡県筑後市にてセミパーソナルトレーニングシステム主体のトレーニングジムK2ATT(カット)経営。子どもから高齢者、競技選手にいたる幅広い年齢層とニーズに応じたトレーニング指導を行なうほか、本場中国武術を伝授し、普及活動を行うほか、中国武術を用いた身体操作法や独自のコンディショニング法により、体力増強や競技力向上でも高い評価を得ている。 また、一般社団法人ウェルネスJAPAN教育研修事業部チーフとして、スポーツ指導者、トレーナーのスキルアップ、及びスポーツ現場におけるスポーツ傷害予防を目的としたスポーツ医学やスポーツ科学に基づいた指導法を普及させる活動、セミナー活動も行なっている。 
(社)ウエルネスJAPAN公式HP(PC)
 
・関連リンク
【サッカー少年のためのトータル・コンディショニングの記事一覧】
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写真/小川博久(FCバルセロナキャンプJAPAN 2011、第35回全日本少年サッカー大会より)

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