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「もっとたくさん鍛えてほしい」という要求は間違い! よいGKになるために必要なのは「練習している風」のトレーニングではなく......

公開:2019年8月22日 更新:2020年10月 5日

キーワード:GKトレーニングペイコビッチ,ヤン・オブラク,ジャン・オブラック,ハンダノビッチ,インテル,アトレティコ・マドリード,GKクリニック学習期

スロベニア代表のGKコーチとして活躍し、アトレティコ・マドリードのジャン・オブラック選手やインテルのハンダノビッチ選手を指導した、現イラク代表GKコーチのペイコビッチ氏。日本のジュニアに向けた講習会では、技術面に加えて、メンタル面でもたくさんのアドバイスをしてくれました。

体を大きくするために必要なこと、オブラック選手の幼少期の話、GKを持つ保護者の心構えなど、貴重なエピソードをお届けします。(取材・文:鈴木智之)

<<前編:【トレーニング動画あり】小学生GK必見、初めてGKをやる子に知ってほしいGKの基本動作と練習法

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ジュニア年代は「学習期」、GK自身も親も敗戦の責任を感じる必要はない とペイコヴィッチ氏は語ります

 

 

■15歳頃までは「学習期」だとコーチ、保護者は理解して

ペイコビッチ氏はジュニア年代のGKトレーニングについて、心構えをこう語ります。

「サッカーを始めた頃から15歳頃までは、トレーニング期ではなく、学習期です。コーチも保護者も、まずそこを理解してほしいと思います。学習期なので、よく見られる大人のGKトレーニングのように、ボールを蹴ってたくさん止めるという練習ばかりをしても、あまり意味がありません。学習をすべき時期なので、GKの基礎的な動き、考え方を繰り返し学び、習得することがもっとも大切なことです」

学習期のGKを持つ保護者に対して、ペイコビッチ氏は次のように注意を呼びかけます。

「世界中で問題になってるのが、親との関係です。多くの親は1回のトレーニングで、たくさん練習をしてくれ、もっと鍛えてくれと、指導者に対してよくばった要求をします。しかし大事なのは、基本的な動きを繰り返し行い、身につけることです。頭の中で考えなくても動くことができるようになるためには、構えからセービングというプレーであれば、一連の動作を毎日繰り返し行い、何万回とやることで、自分のものにすることが大切なのです」

コーチが次々にボールを蹴って、GKが止める。見栄えは良くて、練習をしている気にはなりますが、はたしてそれがGKのプレーの向上につながっているのでしょうか。基礎を身につけるべきジュニア年代は、そこを見極めなくてはいけません。

「GKのトレーニングは頻度的に、週に2回ほどです。一度のトレーニングにすべてを詰め込むことは不可能です。そうではなく、年齢が下の方であれば、キャッチングやローリングダウンなど、基本的なことを行います。年齢が下であればあるほど、繰り返しトレーニングすることが重要です」

 

■どんな選手もミスをする、GKの親も子も敗戦の責任を感じる必要はない

GKトレーニングの仕方について、ペイコビッチ氏は次のように例をあげます。

「トレーニングをするときは、2人から5人程度を1つのグループにします。少人数でトレーニングをすることで、コーチが選手たちの細部まで見ることができるからです。そして、段階的に学習していきます。それは学校の勉強と同じです。足し算から始まって掛け算など、段階的に学んでいきます。いきなり方程式を教えることはしません。そして、基礎的な動作を一つひとつできるようになったら、積み上げていきます。そこを飛び越えてトレーニングをしても、身につくことはありません

試合になると、GKのミスは目立ちます。GKをする子を持つ保護者は、自分の子どものミスが失点につながると、いたたまれない気持ちになることもあるようです。ペイコビッチ氏にそう伝えると、首を横に振り、ため息をつきました。

「日本では12歳頃の子どもの試合で、GKのミスで負けると親が責任を感じるのですか? それはちょっとありえないですね。どんな選手でもミスはします。ワールドカップでも、チャンピオンズリーグ決勝でも、GKのミスが失点につながり、負けてしまうことがあります。そもそも、サッカーは遊びの延長であることを認識しなければいけません。親ができることはひとつ。子どもが、楽しくサッカーができるようにすることだけです。そもそも、12歳の子ども達は学習期なのですから、ミスを恥じる必要はないのです」

 

■一足飛びに技術を身につけようとしてもダメ、すべてにおいて一段ずつ

ペイコビッチ氏は、ジャン・オブラック選手(アトレティコ・マドリー/スペイン)を10代の頃に指導した経験を持っています。16歳のときに、スロベニアリーグでプロデビューを飾ったオブラック選手は「精神的な発達が早く、自立していた」と語ります。

「オブラックは16歳の時点で精神的に自立しており、身長も含めたフィジカルもプロのレベルに達していました。それほどプレッシャーの厳しくない、スロベニアリーグでプロデビューを飾り、ポルトガルの下位クラブを経てベンフィカ、アトレティコ・マドリードというビッグクラブへと、階段を登るようにステップアップしていったことが、彼の成功につながっていると思います。GKのトレーニングと同じように、技術、フィジカル、戦術、経験、メンタル、すべてにおいて一つずつ階段を登っていくことが大切で、一足飛びで行こうとしてもうまくいかないのです」

最後に、オブラック選手のようになりたい、日本の子どもたちに向けてメッセージをくれました。

「体を大きくするためにはしっかり練習して、しっかり食べること。ジャンクフードや甘いジュースもたまには良いですが、バランスよく食事をすることが大切だと思います。オブラック選手は練習をとにかく一生懸命にやっていました。若い時はハードなトレーニングも大事ですが、それ以上にサッカーを楽しんでプレーすることを忘れないでください」

 

▼ペイコヴィッチ氏の指導理論を詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
日本のGKの課題とは?/世界で活躍するGKを育ててきたペイコヴィッチ氏が語るトレーニング理論

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取材・文:鈴木智之

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