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  4. 「よのなか科」推進の藤原和博さんも太鼓判、「自分で考えるサッカー」が4択問題が通用しない世界を生き抜く力を育む

これからの世の中に必要な能力はすべて、遊びとサッカーが育ててくれる

「よのなか科」推進の藤原和博さんも太鼓判、「自分で考えるサッカー」が4択問題が通用しない世界を生き抜く力を育む

公開:2017年2月14日 更新:2021年1月27日

キーワード:情報編集考える力能力遊び

2003年から5年間、都内初の義務教育の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務め、現在は奈良市立一条高校の校長をされている藤原和博さんは、現在を生きる子どもたちは、親世代とは違うルールで動く世の中で生きていかなければいけないと言います。
 
従来の教育や価値観が限界に来ている社会で、お父さんやお母さんは、子どもたちとどう接するべきなのか? サカイクらしく、自分で考えるサッカーとも関連づけながら、これからの時代の子育てについてお聞きします。(取材・文 大塚一樹)
 
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■寿命が延びて人生のサイクルが変わった!

「30代、40代、50代を"働き盛り"と呼び、いろいろな意味でその頃に人生のピークを迎えるという価値観は成立しなくなっていますよね」
 
藤原さんは、日本人の平均寿命が大幅に伸びたいま、40代をピークに終身雇用で60歳まで働き、そのあとを"余生"とする価値観がもはや通用しなくなっていると言います。
 
「子どもたちのことを考える前に、お父さん、お母さんの話をすると、日本人の寿命は、明治時代から比べればほぼ二倍になっているんです。もう人生90年時代ですよ。40代までがピークという考え方だと、そのあと50年もあることになるんです。スポーツ選手の『セカンドキャリア』なんて言いますけど、普通のサラリーマンでも1回の人生では"生き切れない"」
 
藤原さんは、世の中のルールが変わった例として、サラリーマンが退職後にどう生きるべきか? という問題を挙げます。
 
「会社だけでなく、地域やコミュニティを通じて社会とつながらなければ90年を生き切れない。そのために、いま子どもたちがやっているサッカーチームで自分もシニアでサッカーをプレーすることは、とても良いですよね。これまでは『子どものため』がすべてで、それでも良かったんですが、子どものためが自分のためになるという可能性も出てきたということです」
 
家族のため、子どもたちのために身を粉にして働くことが人生のすべてだった時代から、子どもたちが巣立ってからの方が長い時代へ。時間軸が変わるだけでも、やはり「ルールは変わるもの」だと藤原さんは言います。
 

■4択問題が通用しない社会がやってきた

「いままでは正解だったことが正解じゃなくなってきている。成長社会では、みんなが同じ方向を向いていくために、正解が一つである必要がありました。出世して、郊外にマイホームを持つみたいな正解があったし、大きくて安いことが正義でした。テレビでも白黒よりカラー、大型の液晶テレビというようにどんどん良くなっていくのが当たり前で、それが素晴らしいことだと信じられていた時代です」
 
親世代が受けてきた教育もこうした考えに基づいてカリキュラムが組まれていたと藤原さんは言います。
 
「学校のテストで「『走れメロス』のメロスの気持ちに一番近いものを次の4つの中から選びなさいという4択問題をやりましたよね。読解問題ってやつです。お父さん、お母さんの世代は4つの中に必ずある正解を素早く選ぶ訓練を極めるのが勉強だった。でもいま社会で求められている能力は、メロスの気持ちを4つの中から選ぶ能力じゃなくて、想像力を働かせて、できるだけ多くの人が共感、納得できる仮説を自分で考えられる能力なんです」
 
もし、自分の子どもがテストの問題に対して「4つの選択肢の中には答えがない」とか「2と3の間っぽい気持ちです」と答えたら、お父さんやお母さんはどうするでしょう? テストの点数だけを考えれば、4つの選択肢から選ぶのが正しいかもしれませんが、これからの世の中では自分で考えて答えを導くことの方が重要になってくるのです。とても悩ましいところですよね。。
 

■2020年、教育大改革とどう向き合うか?

「こういう教育を変えようという動きはすでにあって、2020年には、いわゆる"センター試験"の問題に思考力を問う自由筆記が増える入試改革をはじめ、大学、高校の教育改革が行われます。それに伴い、授業内容も大きく変わって行くでしょう。そうなったときに今まで以上に、一つの答えを選ぶ正解主義ではなく、自分が得た情報を編集しながら納得解を導く修正主義が求められるようになるのです」
 
情報処理力ではなく情報編集力、正解主義ではなく修正主義、藤原さんのお話に何度も登場するフレーズですが、「誤解して欲しくないのは正解主義が100%間違いということではないこと」と藤原さんは補足します。
 
「成長時代が終わったとはいえ、正解主義のメリトットももちろんあります。こういう話しになるとゼロか100かみたいな話しになりがちですが、早く正確にキチッとできる日本人の良さというのもあるわけですから」
 
「正解主義が誤りで修正主義が正しい」という絶対的な正解を求める考え方は、むしろ修正主義とはほど遠い、正解主義的な考え方と言えます。藤原さんは「バランスの問題」と表現しますが、正解主義が強すぎる教育現場で、修正主義を実践的に学ぶのにサッカーが向いているというのです。
 
次ページ:サッカーで修正主義を身につける

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取材・文 大塚一樹

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