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都市部とこんなに違う地方のリアル -地方発、子どもたちの未来づくり-

地方に眠る子どもたちの才能を開花させる! 地方でも全国基準の指導で才能を伸ばす環境づくり

公開:2019年5月10日

キーワード:エストレヤクラブチーム会津泰成地方創生新潟サッカープロジェクト

元アナウンサーでフリーライター、放送作家などとしても活動している傍ら、子どものサッカーに熱心にのめりこむサッカーパパだった会津泰成さん。

都会の恵まれたサッカー環境を始めたお子さんのプレーに才能を見出し、いつしか親の方が熱心になってしまった結果、「親のために」サッカーをしていたお子さんはサッカーが嫌いになってしまった後悔をもとに、現在は都会にも拠点を置きつつ、地方で子どもたちにサッカーの楽しさ、素晴らしさを伝える活動をしています。

「地方発 子供たちの未来づくり」をビジョンに活動する「NSP新潟サッカープロジェクト」代表として、都会と地方の子どもを結ぶ事を目標に、育成年代のサッカー普及活動に取り組む会津さん。

都会と地方を両方リアルに知っているからこそ書けるコラム、最終回となる第三回は「NSPアカデミー」を始めた経緯や、地方に住んでいても都会と同じような環境を作って本気でサッカーをしたい子どもたちをサポートする活動の理念、会津さんとコーチ達の熱い思いをお届けします。
(サカイク編集部)

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地方に住んでいても都会と同じように質の高い練習ができる環境をつくる

3年半前、わたしはアルビレックス新潟の元選手で、当時地方議員をしていた友人(梅山修)に誘われ、神奈川と新潟で二拠点生活をしながら社会貢献に取り組む事になりました。サッカーを通して、地方の子も都会の子と変わらないチャンスが得られる社会づくりに貢献したい。それがわたしの願いです。

元Jリーガーを招いての巡回サッカー教室を開催したりや、消滅寸前だったサッカークラブ(エストレヤ下田)の代表に就任し、子どもたちにスポーツの楽しさ、仲間の素晴らしさ、応援してくれる人たちに感謝の気持ちが持てる事の大切さを伝えてきました。

そんな、ひろく子どもに向けた普及活動を続ける中で、もうひとつ思う所が出てきました。

(構成・文・写真:会津泰成)

■目標ひとつとっても地方と都会にある歴然とした差

それは「ひろく普及活動すると同時に、もっと本格的にサッカーに取り組みたい、と願う子どものためにも何か出来ないか」という事でした。そうして始めたのが、新潟市を拠点に活動する「NSPアカデミー」です。

2018年12月29日、平成最後のJFA全日本U-12サッカー選手権大会は、新潟と二拠点生活をしているわたしのもうひとつの地元、川崎市にある、川崎フロンターレU-12が優勝しました。また、大会ベスト8のうち4チームが関東圏のクラブでした。

強豪クラブのひしめく関東圏の選手たちは、日々レベルの高いライバルと競争したりや、最先端の指導を、個々のレベル合わせて受けられます。多くの強豪クラブの目標は「全国大会出場」ではなく「全国優勝」(ちなみに、川崎フロンターレジュニアは初の全国制覇ですが、神奈川代表になったクラブはこれまで5回も日本一になっています)。そうしたクラブに所属する選手たちの目標は「Jリーガーになる」ではなく「Jリーグで通用する選手になる」です。

地元で一番上手な選手でも、プロなれるかどうかは厳しい現実があるのも事実ですが、少なくとも、都会に暮らす子どもは、本人が望むのであれば、将来プロ選手になる事は現実的な目標として捉えやすいのも事実です。

もちろん地方にも、育成に定評のあるクラブや指導者は存在します。しかし、全体をとりまく環境で比較した場合、残念ながら地方と都会では歴然とした差がある事は認めざるを得ません。

では、地方と都会の子どもで才能に差はあるかと言えば、そんな事はありません。むしろ未開拓な分だけ、地方の子どものほうが伸びる余地は大きいかもしれません。

新潟県三条市の過疎地域、下田で活動している経験も踏まえて言えば、都会の子と地方の子の違いは才能の差ではなく、才能を開花させてくれる「チャンスの数」です。

例えば、都会では当たり前のようにあるサッカースクールも、下田地域にはありません。運動神経抜群で、もし専門的な指導を受ければどんな競技でも全国レベルの選手になれるような子も、「親御さんが送迎出来ない」という理由で、本格的に競技に取り組む事を諦めてしまう例も多いのです。

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都会と地方の差は、才能を開花させてくれる「チャンスの数」

■才能ある選手が全国基準で指導が受けられる環境づくり

地方に暮らす子どもにも、都会の子どもと変わらない環境で成長のサポートができないか。地方に眠った才能を開花させたい。自らの可能性をひろく外に目を向ける、向けられる環境を作りたい。「NSPアカデミー」はそうした思いで立ち上げました。

NSPアカデミーは、「サッカーを教える」という意味ではいわゆる「サッカースクール」と同じです。「エリートクラス」「チャレンジクラス」といった、レベルに合わせたクラス編成も、珍しくないと思います。

では、最も違う点は何か。それは、「高いレベルでサッカーを続けたい選手を具体的にサポートする」という点ではないでしょうか。

都会では、ジュニアユース進学を見据えてサポートをしてくれるクラブやスクールは簡単に見つけられます。しかし、情報量の少ない地方では、実力ある選手でも選択肢は限られてしまいます。

NSPアカデミーの「エリートクラス」は、横浜F・マリノス、川崎フロンターレといった、関東首都圏のJリーグ下部組織を含めた強豪ジュニアユースも視野に入れています。一方で、「上手だからJリーグの下部組織」「地元で一番強いクラブ」ではなく、本当に選手の才能を伸ばしたり、あるいは将来を見据えて学習面やサッカー以外の取り組みにも力を入れているクラブや指導者を紹介しています。

「チャレンジクラス」では、サッカー選手としてトータルに優れた選手、チームに必要とされる選手になるには何が必要かを突き詰めています。新潟に来て思った事は、ボールを扱う技術は上手でも、ボールを持っていない時に何をすれば良いかを理解していない選手が多い事でした。そこで、「ボールを持っている時と、持っていない時の動き方の違い」、「状況に応じたドリブル・パス・シュート・コントロール・マークの外し方について」「ボールを奪うためのディフェンス技術」など、ジュニアユースに進む前に、育成年代で身につけて置きたい「個人技術」と、瞬時の「判断(決断)力」の向上に特化して指導しています。

地方に暮らしていても、才能ある選手が全国基準で指導が受けられる環境づくり。

「地元で一番」ではなく、全国で活躍できる選手を目指せる環境づくりがしたい。それは、自分たちだけの活動で完結するのではなく、共感してくれるのであればどんなクラブ、スクールだろうと関係なく協力し合い、地方に暮らす子どものためにできる事を一緒に取り組みたいと思っています。

未来ある子どものために大人として責任を果たす。それは「日本の未来を作る事にも繋がる」と信じているからです。

■「地方に眠った子どもの才能を開花させたい」コーチ達の想い

話は少しそれましたが、今回、わたしの思いに共感し協力してくれる事になったのは、普段は神奈川県のクラブで活動する田端幸介と鈴木友の両コーチ。そして現役時代はアルビレックス新潟等で活躍した井上公平コーチでした。

田端コーチは長年、神奈川県トレセンのメインコーチを任されるなど指導者からの信頼も厚く、神奈川県内では育成指導で名の知れたコーチです。

鈴木友コーチは4種サッカー激戦区神奈川で立ち上げたまちクラブ(JFC FUTURO)を創設4年で全国大会に出場させ、ベスト8まで導いた方で、わたしの息子も小中とお世話になりました。

井上コーチは「元プロ選手」という実績もそうですが、指導者になっても未だにピッチに入って選手とプレーし、生きた技術を伝える事を大切にしています。そんな経歴や指導スタイル、個性も異なる3人のコーチですが、「地方に眠った子どもの才能を開花させたい」という同じ思いの下、NSPアカデミーを始めました。

コーチ達の経歴はこちら

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神奈川県トレセンのメインコーチを長年務め、育成指導で名の知れた田端コーチ

去年暮れ、NSPアカデミー立ち上げを決めたのち、わたしたちは何度か単発クリニックを開催し活動を紹介してきました。そしてこの4月、「エリートクラス」をスタート。今月から「チャレンジクラス」と、実戦形式の中で個人技を学ぶ「井上塾」というふたつのクラスを始める事になりました。

始めたばかりという事もあって認知度はまだまだ低く、正直、事業としてはまだ成り立っていません。それでも、単発クリニックで指導を受けてわたしたちの活動や指導に共感して参加してくれた選手の中には、県トレに選ばれている選手や、将来、プロサッカー選手になる夢を叶えるために、新潟のお隣、長野県から通ってきてくれる選手もいます。「プロ選手を目指す」「高校サッカーで活躍したい」「いまのチームで信頼される選手になりたい」など参加理由は様々ですが、いずれの選手も意識は高く、コーチたちも指導していて自然と気持ちが高ぶるようです。

次ページ:「地方発 子どもたちの未来づくり」という大仕事

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構成・文:会津泰成 写真提供:NSP新潟サッカープロジェクト

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