お家でできるラダートレーニング!タニラダーで速くなろう

2020年4月20日

"たったの4マス" だから、最速のスピードを身につけられる!タニラダーの秘密

1人でかつ短時間で、省スペースでできるサッカーの動きの改善トレーニングとして、ジュニアからプロ選手まで、のべ2万人以上が実践した『タニラダーメソッド』。新型コロナウイルスの影響で、チーム活動ができないこの時期にぜひオススメしたいタニラダーについてご紹介します。今回解説するのは「ラダーのマスの数」について。

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■正しい動きを身につけるのにちょうどいい長さ

タニラダーは4マスです。なぜ3マスでも5マスでもなく、4マスなのでしょうか?それは「サッカーのプレー向上」に大きく関係があります。谷さんは言います。


スピードを落とさずに動ける4マスのタニラダー

「前提として、多くの人は移動のスピードが上がると、動きのスピードは落ちます。速く走ろうとすると、手や足をうまく振れなくなってしまうのです。速く走るためには、正しい姿勢と腕の振り、足の踏み込みが必要です。腕や足を速く動かすことができ、スピードが落ちない、ちょうどいい長さが4マスなのです

谷さんが4マスにこだわるのは、サッカーのプレーリズムにも関係があるそうです。

■"たったの4歩"だから最速スピードが身につく

「サッカーのひとつのプレーで移動する距離を考えても、10歩、20歩動くというよりは、パスを受けるときや相手に寄せるとき、マークを外す動きなど、だいたい4歩程度です。ラダーを使って『はじめの一歩』ならぬ『最初の4歩』をトップスピードで動く意識をつけることで、キレのある動きにつながり、相手の虚を突いて動き出すことができます」

たしかに、ドリブルをするときや相手のマークを外す動き、ボールホルダーに対してプレスをかけるときなど、4歩程度動くことはよくあるプレーです。そのスピードを上げることができれば、攻守両方の局面で相手よりも優位に立てそうです。

「ラダーを使ってトレーニングするときは、たったの4歩なのでスピードを落とさず、動きのリズムを心がけることで、より良いステップに近づけることができます。速く走るためには腕と足の振りがポイントで、上半身は地面に対して垂直ではなく、ほんの少し前傾した状態が理想です。実際に動く時のちょっとした前傾の感覚をつかむためにも、進行速度を抑えて、動きのスピードを速める必要性があります。それが6マス、8マスなどラダーのマスが増えると、距離が長くなってしまうので、最大の速度とパワーを保つことが難しくなるんです」


「最初の4歩」が速くなれば相手より優位に立てる

最初から動きのスピードだけに目を向けて、腕や足の振りがおろそかになってしまうと、間違った動きが体に染み付いてしまうので、正しいフォームで行うことは意識したいところです。

最初はゆっくり動いて、正確に動くことができるようになってから、スピードを上げるのもいいと思います。ただしスピードを上げるうちに、腕の振りや足の踏み込みなど、動きが小さくなってしまわないように気をつけてください」

谷さんは「小学3、4年生であれば、映像を見れば真似できると思います」と言います。ラダーは4マスなので、短い動きの間であれば、集中力も続きそうです。

■ステップは足の裏側アーチを意識して

ここからは、ラダートレーニングする上で重要な基礎となる、ステップの踏み方を教えてもらいましょう。ポイントは「足裏の内側のアーチで地面を押すこと」です。

「足裏のアーチとは"土踏まず"のことです。足の裏の拇指球とかかとを結んだ延長線のところを"アーチ"と言います。このアーチの内側で地面を押すようにして動くことを意識しましょう」

図の黄色い部分で地面を押すように意識する

アーチで地面を押して動くための詳細は、タニラダーのトレーニングDVDに収録されています。ここでは具体的に、どのように足裏アーチで地面を押していくかをレクチャーしてもらいました。

「比重がかかとに寄りすぎると、後ろに重心がかかりやすくなり、姿勢が後傾してしまいます。そのため、拇指球に6、7割、かかとに3、4割ほどのイメージで地面をとらえるようにしましょう」

ここで、ラダーがガイドの役割を果たしてくれます。

■正しいサイドステップを身につけるとコントロールミスを減らせる

「サイドステップの正しい動きを覚えるときのポイントは、ラダーの中心に片方の足をつき、足の裏から頭の先まで一直線の状態になっていること。これをラダーのない状態ですると、目印がないので姿勢が崩れやすくなってしまいます」

サッカーのプレー中、足元に飛んできたボールが横にずれたときに、サイドステップで移動します。このとき、足を伸ばしてボールをコントロールしようとすると、うまくいきません。しっかりとステップを踏んで移動し、体の正面でボールを受けることがポイントです。

「サイドステップで数歩移動するときも、足裏のアーチの内側で地面を押して動きます。そうすると地面からの力、つまり"地面反力"を得ることができるので、素早く動くことができます。また、ラダーを使ってサイドステップを踏み、ボールを投げてもらってインサイドキックで返すといったトレーニングもできるので、動きづくりだけでなく、ボールコントロールの技術も同時に身につけることができます」


サイドステップを踏みながらボールをコントロールするトレーニング

スムーズに素早くステップを踏み、足だけでなく体を動かす。これが、良いプレーをするための重要なポイントです。

「メッシもイニエスタもC・ロナウドも、常に胴体の部分をしっかりと動かして、安定した状態でプレーしています。一方、足だけを動かしてプレーしようとすると、不安定な状態になり、ボールコントロールのミスが出やすくなります。『上手な選手は、軸がぶれない』と言いますが、ラダーを使って繰り返すことで、動きの基礎が身につくと思います」

次回の記事では、素早く動くために重要な"地面反力"を得るためのステップについて、谷さんに解説してもらいます。

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谷 真一郎コーチ(ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクター)

筑波大学在学中に日本代表に招集され、柏レイソルで1995年までプレー。引退後は筑波大学大学院にてコーチ学を専攻し、その後、20年に渡りJリーグのクラブでフィジカルコーチを務める。500試合以上の指導経験を持ち、2012年にはJ2で24戦無敗のJリーグ記録に貢献。現在はヴァンフォーレ甲府で「フィットネス・ダイレクター」として活動の幅を広げている。

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