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キックは"ボールを使わずに"トレーニングするとうまくなる?【谷コーチの出張指導:前編】

公開:2016年12月13日 更新:2020年3月24日

キーワード:スピードタニラダーフィジカル姿勢谷真一郎走り方走力

足が速くなりたい!キックがうまくなりたい! ドリブルがスムーズにできるようになりたい! そんな子どもたちの声にお応えし、Jリーグで17年以上の指導実績があり、タニラダーでもお馴染みフィジカル・コンディショニングコーチの谷真一郎さんが、子ども達にトレーニングを出張指導。
今回はヴァンフォーレ八ヶ岳U-12のみなさんとともに、トレーニングを行いました。はたして、子ども達はタニラダーを使った2時間のトレーニングで、キックやドリブルが上達したのでしょうか?(文:鈴木智之)
 
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■胸を張って、足の指で地面を押すように立ってみよう

練習に集まったジュニアの選手達は、幼稚園から小学校6年生まで様々。ジュニアユースの女の子たちも参加し、和気あいあいとした雰囲気でトレーニングがスタートしました。
 
谷さんは緊張気味の子どもたちを前に、優しく語りかけます。
 
「今日はキック、ドリブル、ヘディングの練習をしましょう。普段、みなさんが教わっていることにプラスして、上手くなるためのコツを教えたいと思います。早速ですが、サッカーを上手にプレーするためには、姿勢がとても大切です。では、2人1組にわかれましょう」
 
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ペアを作った子どもたちに、谷さんは「それでは片方が立って、もう片方の人は押してみてください」と言い、子どもたちは押し合いを始めます。押された方はバランスを崩し、まっすぐ立つことができません。それを見た谷さんは「ではこうやって立つとどうでしょう? 胸を張って、足の指で地面を押すようにして立ってみてください」と言うと、自ら実演します。
 
その状態の谷さんを子どもたちが押しますが、びくともしません。その様子に「おぉ~」と感嘆の声をあげます。
 
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「ボールを止めるときや蹴るときは、常に片足立ちでバランスが悪くなっています。そのときに、顔が下がって背中が丸まっていると、身体のバランスがさらに崩れてしまい、ちょっとした接触で倒れやすくなってしまうんです。そうならないために背筋を伸ばして、地面をしっかりと足の指でつかむこと。そして、足元のボールを見るときは、顔を下げずに目の端でボールをとらえるようにしてください」
 
 

■足の振りだけでボールを蹴るのはNG!上半身を使おう

谷さんによる「サッカーの基礎となる正しい姿勢」の実演が終わったところで、次は「キックの仕方」をトレーニングしていきます。谷さんはまず、子どもたちに対面インサイドキックをするようにと指示を出します。子どもたちが何度かキックを繰り返したところで、谷さんが実演を交えて説明します。
 
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「みんな、足の振りだけを使ってボールを蹴ってない? 相手の距離が5m程であれば、足の力だけでも強いボールを蹴れるけど、距離が10m、20mと離れると、足の振りだけでは強くて正確なボールを蹴れないんだよ。また、足の振りだけで強く、速いボールを蹴ろうとすると、股関節に負担がかかりグローインペインになってサッカーができなくなっちゃうかもしれないよ」
 
力任せに足を振って蹴ろうとした結果、上半身と下半身がバラバラのフォームになり、ボールの中心をとらえることができないケースも少なくありません。そこで谷さんが説明します。
 
「ボールを蹴るときは、足だけでなく、上半身を使って蹴ることを意識しましょう。そうするとボールスピードが上がり、速いボールを蹴ろうとして力まなくても、鋭いキックができるようになります」
 
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■動きの部分とボールを使う部分を分けてトレーニングすると効果的

上半身と下半身の連動を使って蹴る動きを身につけるため、タニラダーを使ってトレーニングをします。子どもたちはラダーの前に並び、上半身と下半身を連動させるステップにチャレンジします。
 
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そこでも谷さんは「顔を下げると、身体のバランスが崩れるよ。目の端でラダーのマスがどこにあるかを確認しよう」とアドバイス。ラダートレーニングを数回繰り返し、正しい動きを身体に染み込ませた後、もう一度ボールを使って対面パスを行います。
 
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すると、子ども達のボールスピードが明らかに速くなり、蹴り方も様になっています。谷さんはその姿を見ながら「みんな、蹴り方がカッコよくなってきたぞ!」と目を細めます。谷さんは、トレーニング効果を次のように説明します。
 
「最初にタニラダーを使って、キックに必要な動きだけを取り出してトレーニングをしました。まず身体に動きを覚え込ませてから、ボールを使います。最初からボールを使って蹴り方の指導をすると、どうしてもボールに意識が行ってしまい、身体の動きに意識を向けづらいんですね。そこで、動きの部分とボールを使う部分の2段階に分けてトレーニングすることで、正しい蹴り方を身につけるとともに、習得のスピードを早めることができました」
 
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練習後、選手達に感想を聞くと、目を輝かせながら、次のように答えてくれました。
 
「谷さんに教えてもらった蹴り方でやってみて、これまでは足だけで蹴っていたんだとわかりました。これなら、どんなグラウンドでもしっかり強いパスを蹴れそうです」
 
「今までは前屈みでキックを蹴っていたけど、姿勢をよくすると蹴りやすくなって、ボールのスピードも速くなりました」
 
「僕はシュートが少し苦手なので、レッスンを受けて『身体全体のしなりを使えば、うまく蹴れる』というキックの基本がよくわかりました。谷さんに教えてもらった後は、前よりも強いボールが蹴れるようになりました」
 
体験した子ども達の感想レポートはこちら>>
 
子ども達の感想を聞いた谷さんは「みんな集中してラダートレーニングに取り組んでくれたので、短時間で動きのコツを身につけることができました。プレ・ゴールデンエイジと呼ばれるこの年代の子ども達は、動きの習得が速いですよね」と笑顔を見せます。
 
サッカーの動きに直結するラダートレーニングを体験した子ども達は、谷さんから上達のヒントをもらったようでした。次回は「ドリブル上達編」をお届けします。お楽しみに!
 
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谷 真一郎(たに しんいちろう)
筑波大学在学中に日本代表に招集され、柏レイソルで1995年までプレー。引退後は筑波大学大学院にてコーチ学を専攻し、その後、15年以上に渡りJリーグのクラブでフィジカルコーチを務める。500試合以上の指導経験を持ち、2012年にはJ2で24戦無敗のJリーグ記録に貢献。『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』
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文:鈴木智之

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