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やっぱりみんな困っている!? 子どものサッカー ホントのトコロ

うちの子はわがまま?負けず嫌い?上手な褒め言葉って?

公開:2013年7月26日 更新:2013年7月29日

キーワード:悩み

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 読者アンケート「保護者のお悩みを教えてください!」に基づくリアルなお悩み相談。今回は保護者の方の間でも悩みの種になっている「褒めるだけで本当にいいの?」子どもへの接し方について東海大学体育学部、高妻容一教授にお聞きしました。
 
 
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■負けず嫌いで困っています……

 質問をくれたのは「とにかく子どもを褒めている」というお母さん。甘やかさないように、ダメなものはダメとけじめをつけつつ、サッカーにつ いては 「シュートがカッコよかった」「いいチャレンジだったよ」と絶対に「ダメ」という言葉は口にしないようにしているという、勉強熱心なお母さんです。ときには怒りたくなるときもあるけど、色々勉強してグッと我慢している……。そんなお母さんも「子どもの負けず嫌い」には手を焼いているとのこと。
「練習でも一番にやらないと気が済まない。試合で負けたら悔し泣きは当たり前。地団駄踏んで悔しがって、なだめるのに毎回苦労しています」
 さて、どう声をかけたらいいのでしょう?
 
質問
「子どもは褒めて伸ばす! を実践しています。うちの子はとにかく負けず嫌い。我が子ながらあきれるくらい勝負事にこだわり、思い通りの結果が出ないと地面をたたいて悔しがり、なかなか次への切り替えができません。『向上心の現れ』ともとれると思うのですが、毎日のことなのでなんとかしたいと思っています。本当に褒めるだけでいいのでしょうか?」
 
「負けず嫌いは良い選手になるために必要な要素。いいことですよ」
 
 高妻先生は負けず嫌いなこと自体には問題がないと言います。
 
「ただし、負けず嫌いとわがままは違います。ダダをこねる子どもをわがままで終わらせるか、それとも負けず嫌いに育てるか。そこはお母さんのアプローチ次第です」
 
 負けず嫌いとわがままの境目は程度の問題ではなく、その後の行動にあります。
 
「練習でうまく行かないことがあって、ダダをこねて地面に座り込んでしまった。ここで終わってしまっていたらそれはわがままです。負けず嫌いというのは、そのあと『今度はできるようになってやる』と、次の行動、努力をはじめることです」
 
 相談者のお母さんは子どもを練習に戻すときにも注意するのではなく、褒めてやる気を引き出そうとアプローチしているそうです。やる気を引き出すためには褒めることが大切と言いますが、この場合はどうなのでしょう?
 
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■“心の耳”を開いて子どもたちが納得できる褒め方、叱り方を

「もちろん褒めればいいわけではありませんが、頭ごなしに怒るのも違います。「怒る」と「叱る」の違い、褒めるにしても褒め方を工夫しなければ、子どもたちは次のステップに進めないでしょう」
 
 高妻先生によると「怒る」は感情的になってしまうこと。「叱る」は叱られた方が「なるほど」と納得できるように諭すことです。何をしても褒めるというのではなく、自分ができることをやらなかったときには叱ってあげることも必要なようです。
 
「褒め方で大切なのはまずは“心の耳”を開くことです。“心の耳”が開いていないと、こちらがいくら話しかけても子どもたちには届きません。褒めることが大切と言われるのも、まずはポジティブなことを話して、子どもたちの“心の耳”を開く必要があるからなのです」
 
 “心の耳”が閉じた状態で話しかけても心には届かないし、響かない。当たり前のことですが、何を伝えるかよりどう伝えるかを意識することで、声のかけ方も変わってくるのではないでしょうか。
 
 では、わがままを負けず嫌いに変えるには、次の行動、努力に結びつけるにはどういう声がけが有効なのでしょう?
 
「ご質問にもありましたが、褒めるときの声のかけ方も大切です。行動に結びつけるためには『結果』ではなく『過程』、努力を褒めてあげてください。試合でのゴールやシュートドリブルと言ったサッカーのプレーはみんな結果です。ここだけを取り出して褒めても、次の行動にはつながりません。『よく、あそこでゴールできたねー。そういえばドリブルからのシュートいつも練習してたもんね』こういう褒め方なら、ゴールだけが良かったのではなく、ゴールのために練習して努力をしていたことが良かったというメッセージを子どもに伝えることができます」
 
 褒めるのは結果ではなく努力。ほんの少しのアプローチの違いですが、これを続けていれば、できなかったとき、うまくいかなかったときに何をすればいいかが明確になり、悔し涙の後に自発的に努力をするようになっていくと言います。
 
 今回の連載では、パーソナルな、でもみんなが悩んでいる問題をピックアップして掘り下げました。いわゆる対処療法ですが、具体例の中にヒントがあると思い、読者の方の体験、経験をお話しいただきました。協力してくれた保護者のみなさん、十分にお悩みに応えられたかどうかわかりませんが、ご協力ありがとうございました。
 
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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取材・文/大塚一樹 写真/サカイク編集部・田川秀之(JA杯全農チビリンピック2013全国決勝大会より)

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