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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019

バルサ連覇の夢敗れる、最強の育成組織を破ったチームの裏にあった守備の準備とは

公開:2019年8月31日 更新:2019年9月30日

キーワード:U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジカンテラスペインバイエルンバルサバルサアカデミーバルセロナワーチャレ,エコノメソッド

31日、大阪府吹田市にあるOFA万博フットボールセンターで、ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019のラウンド16と準々決勝が行われ、準決勝に進む4チームが決まりました。「ワールドチャレンジ」の名に相応しく、日本以外に9カ国から参加チームが集結した今大会。ベスト4に残ったのは、広州富力足球倶楽部(中国)、ナイジェリア選抜、トヨタ・タイランド、JFAトレセン大阪U-12となりました。

(取材・文:鈴木智之、写真:吉田孝光)

 

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何度も攻撃の形を作ったバルセロナだったが......(C)吉田孝光

 

■初出場のアフリカチームが大躍進! スピード、技術だけでなく光ったポイント

広州富力足球倶楽部はラウンド16でヴァンフォーレ甲府U-12、準々決勝でサガン鳥栖U-12を破ったチーム。トップチームの監督は名古屋グランパスで長く監督を務めた、ドラガン・ストイコビッチです。アカデミーには14人の日本人指導者がおり、U-12の監督は足高裕司氏が務めています。各ポジションに背が高く、身体能力の高い選手を揃えており、ラウンド16で対戦したヴァンフォーレ甲府U-12の西川陽介監督は「相手の速いプレッシャーをかいくぐれなかった。蹴られたボールに対してタフに戦っていたけど、跳ね返すしか術がなかった。相手のサッカーに付き合ってしまった」と、悔しさそうに振り返りました。

そして、準々決勝でバイエルン・ミュンヘンを1対0で破った、ナイジェリア選抜。高い身体能力とアジリティ、クイックネスを備えた選手が居並び、攻守の迫力は大会トップレベルです。チームを率いるマムド・ムリタラ・アラビ監督は、バイエルンとの対戦を前に「相手の左サイドがウィークポイント。絶対勝てる。自信を持て!」と選手たちを送り出すと、ビッグクラブに対して臆することなく戦いを挑みます。

球際の戦いで優位に立つナイジェリア選抜は、後半10分に左サイドの崩しから先制すると、最後までバイエルンを相手に真っ向勝負し、1対0で勝利を収めました。チームの中心は10番を背負うオグボナヤ・スンダイ・エイケ選手。ボールキープ、ドリブル、パス、シュートとどれもがハイレベルで、アラビ監督が「早くヨーロッパに行った方がいい」と評価する逸材です。スピードとテクニックに加えて、ピッチの中で味方を叱咤激励するキャプテンシーは、まさにナイジェリアの大黒柱。見に行く価値のある選手と言えるでしょう。


■連覇を狙うバルサを破った欧州最先端の指導

ラウンド16では、優勝候補のFCバルセロナが敗れる波乱がありました。ジャイアントキリングを達成したのが、トヨタ・タイランド(タイ代表U-12)。タイ全土のアカデミーから選抜されたチームで、監督を務めるのはスペイン人のオリオール・アルカサル・コンスエロ氏。タイ代表を始め、パリ・サンジェルマン(フランス)の育成改革を担当したことで知られる、エコノメソッドのコーチです。

欧州最先端の知見を持つ、エコノメソッドで鍛えられたトヨタ・タイランド。2ヶ月前のセレクションで選ばれたメンバーに対して、オリオールコーチは「バルセロナという世界で一番のチームに勝つために、できる限り準備をしてきました」と振り返り、「前半は後ろでブロックを作りながら、ボールをたくさん奪うことができました。そして、相手の裏のスペースを突いてカウンターアタックをすることで、チャンスを作れました。守備では、バルセロナが攻撃するサイドでボールを奪い取り、サイドを変えさせないディフェンスができていました。後半、相手が攻めて来ましたが、クロスボールに対する守備の準備もしてきました」と、守備の充実が勝利につながったこと強調しました。

一方のバルセロナは「後半、たくさんチャンスがあった中で点を取れなかった。選手たちは負けることに慣れていない。この経験を次に活かしてほしい」(アルベルト・プッチ・アルカイデ監督)と、言葉少なに振り返りました。例年のバルセロナは相手が引いて守備を固めたとしても、「意地でも崩す」と言わんばかりの怒涛の攻撃であり、圧倒的な個の力がありましたが、今年のバルサにはその両方が見られず、トヨタ・タイランドの壁の前に沈黙。ラウンド16で姿を消すことになりました。

 

■結果を出すチームが重視する「サッカー理解」

準々決勝で北海道コンサドーレ札幌U-12に4対0で勝利したのが、JFAトレセン大阪U-12。セレッソ大阪U-12や大阪府内の街クラブから選抜された選手で構成されたチームは、大会に向けた練習は特別にしていないながらも、「サッカー理解」の高い選手を集めて、ベスト4に進出しました。

準決勝のカードは広州富力足球倶楽部対トヨタ・タイランド、ナイジェリア選抜対JFAトレセン大阪U-12に決まりました。また、敗れたFCバルセロナとバイエルン・ミュンヘンのフレンドリーマッチの開催も決定。多様なサッカースタイルを一度に見ることのできる、貴重な機会となるでしょう。

ワールドチャレンジも9月1日に最終日を迎え、準決勝、フレンドリーマッチ、3位決定戦、決勝戦が行われます。欧州勢以外のチャンピオン誕生が確定した今大会。初の日本チームの栄冠はなるのでしょうか? それとも他のアジア、あるいは旋風を巻き起こすナイジェリアが王者に輝くのでしょうか? 勝負の行方は、ぜひ会場やスカパー!でチェックしてみてください。

 

【入場無料】大会会場へのアクセス>>

 

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▼これまでの大会の記事はこちら
【2018年】3連覇狙うバルサが日本チームに大苦戦
【2017年】「ソルティーロ世界選抜」躍進の影に本田圭佑の哲学
【2016年】バルサ選手のふるまいに世界中が大絶賛
【2015年】バルサに勝った東京選抜が見つけた世界との差
【2014年】バルセロナに0-9で負けたチームが学んだこと
【2013年】久保建英選手が「バルサの選手」として出場

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取材・文:鈴木智之 写真:吉田孝光

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