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[いつでも、だれでも、ずっとサッカーを楽しむために]JFAグラスルーツ推進

元J2得点王、長谷川太郎さんが提案する、現役とセカンドキャリアをつなぐ「1.5キャリア」とは

公開:2021年5月14日

キーワード:Jリーガーグラスルーツ得点王日本サッカー協会普及育成長谷川太郎

日本サッカー協会(JFA)グラスルーツ推進グループの松田薫二さんが、賛同パートナーを訪問し、現在の取り組みや今後の展望について話を聞くこの連載。

今回は東京を拠点に、全国に活動を広げるストライカー育成プロジェクト『TRE2030』を主催する一般社団法人TREの代表、長谷川太郎さんです。長谷川さんは、かつてヴァンフォーレ甲府などで活躍し、2005年にはJ2日本人得点王を記録したストライカーでもあります。

引退後、日本代表の試合を見て「ストライカーを育成しないと」と決意した長谷川太郎さんですが、ストライカー育成だけでなく、「社会課題への取り組み」として「朝TRE」という活動をするなど、多様な活動を行われています。その現状についてうかがいました。
(取材・文:鈴木智之)

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ストライカー育成プロジェクト(写真提供:一般社団法人TRE)

 

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■ストライカーを育成しないと、と思ったきっかけ

松田:ストライカーの育成を手掛けていると聞きました。始めて何年ほどになるのでしょうか?

長谷川:2021年で7年目になります。2015年1月のアジアカップ、日本対UAEを見て、「このままではまずい。ストライカーを育成しなければ」と思ったのがきっかけです。

松田:日本がPK戦でUAEに負けた試合でしたね。

長谷川:はい。その頃から始めたので、指導した選手がプロになったといった成果はまだありませんが、ストライカーコーチとして関わっているブリオベッカ浦安のシュート決定率が上がっているので、手応えは感じています。

松田:シュート精度の意識を高めることは、ストライカーに限らず重要なことですよね。

長谷川:そう思います。シュートミスもパスミスも同じミスなのに、日本の現状を見ると、たとえ子どもであっても、周りの選手やコーチ、ときには保護者まで、シュートを外すと過剰に反応されてしまいますよね。その結果、シュートを打つことに対して消極的になってしまう選手もいるので、海外のように積極的にシュートを打つ文化を作っていきたいと思っています。

松田:ストライカー育成の『TRE2030』には、どのような意味があるのですか?

長谷川:「2030年のW杯得点王をみんなで育てよう」という意味を込めて、2015年に立ち上げました。「みんなで」というのがポイントで、私だけの力ではなく、その選手に関わる各カテゴリーの指導者や保護者、サポーターなど、みんなの力で実現できたらと思っています。

 

■早寝早起き朝ごはん&サッカー。「朝TRE」が地域の課題を解決する可能性

松田:グラスルーツ賛同パートナー制度では「社会課題の解決」というテーマで『朝TRE(アサトレ)』を実施されていますが、どのような内容なのでしょうか?

長谷川:『朝TRE』は、朝の空いている時間帯の施設を利用して、サッカースクールを実施する活動です。さらに「3つの朝のトレること」として、早起きするために睡眠をしっかりトレる朝ごはんを食べて栄養をしっかりトレる。そしてサッカーを通じて親子のコミュニケーションがトレる。この3つの「トレる」を目指しています。

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朝TREの活動では親子サッカーなどを行っている(写真提供:一般社団法人TRE)

 

松田:最近の子ども達は寝る時間が遅くなっているという話も聞くので、良い取り組みですね。

長谷川:朝、余裕を持って起きて、しっかりと朝食をとることは、成長のためにとても大切なことだと思います。早く寝ると、眠くなる時間も早いので、夜の活動が減ります。中学生になったときに夜ふかしをしない、非行に走らなくなるといった側面も期待できます。僕が生まれ育った足立区の課題を、サッカーを通じて解決できるのではないかと考えた中、多くの方々のご理解・ご協力頂き、スタートすることができました。

松田:朝に活動すると、その後の時間を有効に使うことができますよね。大学サッカーは、授業との兼ね合いで、朝の時間帯に練習するチームも増えてきていると聞いています。

長谷川:指導者としても、朝に活動をすることで指導の機会も増えますし、日中はサッカー以外の仕事をすることもできます。夕方の指導だけでは生活が厳しくても、朝と夕方、あるいは朝は指導をして、日中は別の仕事をするパターンもできます。

 

■サッカーしかしてこなかったから、引退して他の仕事で役に立てず自尊心が...... 

松田:どうして、その考えに行き着いたのですか?

長谷川:現役引退後に、様々なアルバイトをしたことが大きかったと思います。それまでサッカーしかしてこなかったので、仕事もできず、人の役に立てていないことを痛感して、自尊心が失われていきました。そんな日々の中で、「人の役に立ちたい」という気持ちが沸き上がってきたんです。様々な職種を経験する中で、「やっぱり、自分が人の役に立てることはサッカーだ」と思ったので、サッカーを通じて何かできるのではないかと考えたのがきっかけです。

松田:サッカー選手時代は、プレーすることで自然と周りを元気づけたり、勇気を与えることができたりしていたわけですよね。でもサッカーがなくなって、「自分に価値がないのではないか」と思ったのですね。

長谷川:現役を引退した選手は、みんなこの気持ちを味わっているんだと思ったときに、通常のコーチ業だけで食べていけなくても、『朝TRE』のような形でサッカーを教えることで自分も救われて、子どもたちに夢を与えられる。自己肯定感につながると思ったんです。

松田:自分たちの好きなサッカーを通じて、何らかの価値を社会に還元することで、新たな繋がりが生まれ、その結果、地域の支援を受けられることもあると思います。なによりも、自己肯定感が高まることで、新たなことにチャレンジする気持ちも湧いてきますよね。

長谷川:その視点はすごく大切だと思っています。『朝TRE』が地域に認められるまでに5年かかりました。でも諦めなかったのは、引退してサッカーから離れた1年間があったからだと思います。サッカーを通じて、人に必要とされることのありがたみを感じていたからです。

 

■現役とセカンドキャリアの間の「1.5キャリア」 

松田:長谷川さんは様々なチャレンジをされていますが、ストライカー育成や『朝TRE』以外に力を入れていることはありますか?

長谷川:引退した選手が、現役に区切りをつけるための活動ができればと思っています。幸運なことに、僕は引退試合をしていただけましたが、ほとんどの選手にそのチャンスはなく、契約満了で引退となると、サポーターにあいさつを直接する場面もありません。結果として気持ちの半分、片足がサッカーに残っている場合があります。それに、引退試合をすることで、昔スタジアムで応援してくれていた人たちが戻ってきてくれるんですよね。

松田:なるほど。

長谷川:引退試合が「またスタジアムに試合を観に行こう」というきっかけになってくれます。それはチームやスポンサーにも良い影響があると思うので「サポーツマン」(※スポーツマンとサポートの造語)という名前で、レジェンドマッチをやれたらと思っています。その試合に出た選手に、『朝TRE』のコーチとして来てもらうのもいいですし。

松田:素晴らしい取り組みですね。

長谷川:『朝TRE』やサポーツマン活動を、現役とセカンドキャリアの間の「1.5キャリア」として確立できたらと思っています。

松田:現役を引退して、一歩踏み出すためのお手伝いですよね。サッカーを通じてそれができると社会へのハードルは下がりますし、社会とつながっている感覚も得られと思います。将来的には、引退した選手が『朝TRE』のようなものを、自分の地元でやってくれるようになるといいですよね。

長谷川:そうなんです。夕方のサッカースクールは競合がたくさんありますが、朝に活動しているところはほとんどないので、スタートとしてはやりやすいと思います。午前中から、サッカー以外の仕事もできるので、良いことずくめだと思います。

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取材・文:鈴木智之

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