あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

2022年2月21日

雪でグラウンドが使えない! 雪国で冬の間にできる技術・判断力向上メニューはありますか?

雪国なので冬場にグラウンドが使えない。交通機関が発達してなく、子どもたちは冬場親の車で移動することも多く、運動量が減って体力面も心配。

冬の間にできる室内練習で判断力や技術を磨ける練習メニューはある? とお悩みのお父さんコーチ。

今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、室内練習で養える判断力や技術向上のメニューをアドバイスします。
(取材・文 島沢優子)

池上正さんの指導を動画で見る>>

 


(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません

 

<<試合になると独りよがりな子に、質問形式で問うてもすねる。勝気な子への対処法どうしたらいい?

 

<お父さんコーチからのご質問>

こんにちは。
ボランティアで、以前子どもたちが所属していたチームのU-10年代の指導に携わっています。

雪国で冬の間は外でトレーニングができないのですが、この時期のお勧めのメニューをお聞きしたく思います。

小学校の体育館を使った室内トレーニングしかできないので、外で試合できる地域とは差がついてしまうのではと思っていたのですが、高校年代だと青森山田高校が全国屈指の強さを誇るので、雪を言い訳にもできないのかなとも感じている部分もあります。

交通機関も都会ほど無く、基本的に親が車で送迎なので、他の季節程歩かないため体力面も気になります。

フットサルをしたり試合の映像を使った座学などの取り組みはしているのですが、何か他にも外でプレーできない間にできる、判断力や技術も身につくようなお奨めのメニュー、遊びなどはありますでしょうか。

 

 

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

雪国でのトレーニングのご相談になりますが、ヨーロッパも一部を除くと、非常に寒さ厳しいところです。ドイツ、デンマーク、ベルギー、オランダ、イングランドなどなど、どこも北海道と同じくらいかそれ以上に寒いです。マイナス何十度にもなります。

 

■海外ではそもそも週2回ぐらいしか練習をしない

ところが、それぞれの地域のアンダーカテゴリーは、10月の終わりくらいから外でサッカーをしてはいけないルールになっているようです。

つまり、無理をしない。外でプレーさせません。そんなふうに練習日数が少ない環境ですが、どの国からも多くのプロ選手が育っています。それに小学生年代を考えると、寒い季節以外でも、そもそも週に2回くらいしかサッカーの練習をしません。このあたりを、日本の指導者はよく考えてほしいと思います。

 

■焦る必要なし、体育館でもできる対面練習がある

なんら焦ることはありません。冬でなくても、コロナウイルスの感染拡大でどの地域の方々も活動を継続するのに大変でしょう。しかし、無理にサッカーをしなくてもいい、いつもサッカーに時間を費やしているのであれば、他のことにもチャレンジできるといいね、くらいの大きな考えでいてほしいものです。

加えて、ご相談者様がおっしゃっているように、体育館などでの室内練習ができます。子どもの人数にもよりますが、かなり多いのならば、ゲームをどんどんやればいいと思います。例えば小学校の体育館であれば、ひとつのコートを2面に分けて3対3ができます。2か所でやれば、一度に12人がプレーできます。3対3を4~5分ずつできれば、量的にも十分でしょう。

狭い場所でも、一度に多くの人数が活動できる。ひとりでやるクローズドスキルでなはく、なるべく対面でやるオープンスキルのメニューを選びましょう。そんな方法を実践していけば、そのなかで子どもたちは技術や判断力を習得します。さまざま判断しなくてはいけない場面が、試合の中で出てくるからです。

 

■南米やスペインなどでは小さいころフットサルを経験する選手も多い

指導者のなかには「フットサルとサッカーは違う」と話す方もいらっしゃいます。しかしながら、世界的に見ても南米系の代表選手たちは小さいころからフットサルをして育ちます。欧州では、スペインも同じです。

そのような選手たちの何がすごいかといえば、ボールを扱う細かい技術や、ディフェンスからプレッシャーを受けたときに狭いところから抜け出す技術が高いようです。

また、攻守にわたり判断スピードも速いです。よい判断をするから、相手からのプレッシャーを受けなくてすみます。なぜなら、相手が来る前にボールを味方に渡したり、有効なスペースへドリブルで抜け出したりできるからです。

判断スピードが遅くなると、相手につかまって何もできなくなります。

 

■狭い室内を有効に使うことで、技術や判断力を養える

対象は小学生ではないけれど、ママさんチームの指導で40歳以上を教えたことがあります。練習の最初にミニゲームをしたのですが、多くの方が「えーっ!」とか「やりたくないなあ」と言って嫌がりました。スポーツの醍醐味はゲームを楽しむことなのに、おかしなことです。

そこで彼女たちに理由を聞いてみたらミニゲームは狭くて技術がないからすぐにボールを失うからと言うのです。それなら余計にミニゲームをやる方がいいことを説明して、トレーニングの最初はミニゲームにしたのです。すると、女性たちの技術はみるみるアップしました。ママさんたちも「最近上手く止められるようになった」「パスがちゃんといくようになった」と自分で気づくほど、上達しました。

指導する私自身も、試合をすることの大切さをあらためて認識できました。したがって、ぜひ狭い室内を有効に使ってゲームをやらせましょう。技術や判断力を養えるはずです。

冬に外を思い切り走れないのは残念ではありますが、そういったことをマイナスに考えずプラスに受け取ってください。そうすれば、何の問題もなく冬でも上達できます。

 

池上正さんの指導を動画で見る>>

 

次ページ:心肺機能や判断スピードの向上、室内練習の利点

1  2

関連記事

関連記事一覧へ