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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

全員を出場させて負けると「上手い子を出すべきだった」と保護者に言われる。自分のやりかたを貫いていいのか教えて

公開:2019年7月19日 更新:2019年7月29日

キーワード:コーチング主体性全員出場池上正自主性自分で考えて動く

チームのコンセプトが「上達と楽しむ」なので、あれこれ言わないようにしており、試合も全員出している。だけど保護者から「もっと厳しく教えてもいい」と言われたり、試合に負けると「上手い子を出すべきだった」という声も。

自分自身、厳しい指導でサッカーが嫌になった経験があるが、厳しく指導するやり方に変わるべきか... とお悩みの新米コーチ。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんがアドバイスを送りますので参考にしてください。(取材・文:島沢優子)

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(写真はイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

<<チームの子どもが5人しかいない。楽しめて、かつ実践で使えるトレーニング方法を教えて

<お父さんコーチからの質問>

はじめまして。25歳になる新米監督です。指導年齢はU-12です。

所属しているのは、地域で実績のある割と強いチームで、チームが掲げるコンセプトは「子どもたちの上達と楽しくサッカーをする」です。

今年、長年の夢であった監督兼コーチに就任することができ、子どもたちとサッカーができてとても楽しい毎日です。以前はできなかったことができるようになる彼らに毎日驚いていますし、練習や試合で様々なことにチャレンジする姿に感動しています。

ですが最近悩んでいることがあります。

それは、私の指導は甘すぎるのかということです。

以前、保護者の方から「もっと厳しく教えてもいい」「嫌われることを怖がってたら指導できないよ」と言われました。私自身、選手時代に厳しい環境に身を置き、貴重な経験ができてよかったと思っています。しかし、正直サッカー自体辞めたくてしょうがない時期もありました。

その経験から、小学生の彼らにはそんな経験をさせたくないですし、子どもたちの自由を尊重したいと思っています。

チームのコンセプトも「上達と楽しむ」ことなので、練習でも試合でも「あれをしろ」「これをしろ」と言わないようにしていますし、怒鳴るようなこともしないようにしています。

試合でもなるべく勝つことよりも全員を出場させるようにしています。その結果負ける事もあり、上手い子を出させるべきだったと言われることもあります。

以前、強豪チームの監督の指導を間近で見学させて頂く機会がありました。その監督の指導の仕方は私とは正反対だったのですが、結果が出ているので、子どもたちの上達にはやはり厳しい指導が必要なのではないかと悩んでいます。

私は今のやり方を貫いていくべきなのか、変わるべきなのか。
アドバイス頂けると幸いです。

 

<池上さんのアドバイス>    

ご相談ありがとうございます。

勝てないからおそらくあれこれと言われるのでしょうね。上手い子を出して、勝て。そういうことでしょうと。

でも、ご相談者様はご自分で身をもって体験している。「厳しい環境に身を置いた」「正直サッカー自体辞めたくてしょうがない時期もあった」だから、子どもたちにはそうさせたくない。この考えはまったく間違っていません。

楽しくサッカーができる環境は、間違いなく必要です。

 

■あなたの考えは間違っていない。厳しい指導=上達にはつながらない

ただ、もしかしたら、外野の保護者やほかのコーチから見て、真剣みが足らないと感じる節があるのかもしれません。

例えば、楽しいふざけていることは違います。楽しいと上達につながりますが、集中せず遊んでばかりいるとそうなりません。そこの見直しはもしかしたら必要かもしれません。

とはいえ、さまざま言ってこられる方々がイメージしている「厳しくするコーチング」がイコール、上達にはつながりません。大人が怒ってやらせれば、一見子どもたちは真剣にやっているようにみえますが、実は中身が伴わないことのほうが多いです。

なぜならば、目の前のことを自分で考えていない。
自分から取り組もうとしていない。
指示されたり、ミスすると怒られるので(怒られなくてもコーチの顔が怖くなる)、それ以上工夫しなくなります。
言われたようにしかやらない。
言われたようにだけ、トレーニングしてしまいます。

そうではなく、自分たちから考え出す。いろんなことに柔軟に対処できる子どもを育てるには、上記のような空気、トレーニング環境では果しえません。

■「これからの理想的な指導」を理論的に理解することも大事

こういったことは、さまざまなコーチング理論ですでにたくさん述べられています。日本サッカー協会の四種の指導についての「お願い」にも、類似したようなことが書かれています。

ぜひそれらをまずは勉強してほしいと思います。まだまだ勉強しながら、いろんなところで学んでほしい。実際にやっていることや、指導の感覚はとてもいいと思います。私たちと同じように考えておられることがわかります。

したがって、そのまま経験を積んでいけばよいのですが、それと並行して、そういった「これからの理想的な指導」を理論的に理解することも大事です。理論的にわかっていなければ、他人に説明したり、納得させることができません。

理屈が理解できていれば説明ができます。

そもそも、指導者にはそういったことを、保護者や周囲、もしく選手らに向かって、きちんと説明する責任があります。

私はこのような理由で、こういった指導をしています。
まだパーフェクトではない、大きな成果としては目に見えないかもしれないけれど、行っていることは最先端のことであり、そこを信じていやっている。

そういうことをぜひ伝えてください。

実は説得力がないのは、ご自分が選手時代に経験したことだけを基準に指導しているケースです。それなのに、多くの方が、ご自分の経験だけを参考にしてしゃべっている気がします。保護者もご自分たちの人生で起きたことの経験で話します。サッカーをしたことがなくても、ほかのスポーツで厳しくされて伸びたとか、勝てたとか、そのように話されるでしょう。

そこには理論的な根拠は見えません。

そういったことを伝えるためにも、そのためにも、ぜひたくさん勉強してください。

コーチの勉強は、プロセスとしては、子どもたちのスキルの向上と同じです。フェイントや何かのスキル、動き方など、新しい技術を身につけるにはおおむね3か月くらいは通常かかります。

そして、練習でできたからといって、すぐに試合で成功するわけではなく、すぐにすべて上手くなるわけではありません。

そのように、簡単ではないスキルの向上に取り組むわけですから、子どもたちをいつもチャレンジできるような雰囲気にしておくことが重要な環境です。

コーチが責めたり、叱ったりすれば、子どもは簡単に委縮し、臆病になってチャレンジしなくなります。

「そこを乗り越えてやらないと」などという声も聴きますが、大人が違うやり方でやればよいだけなのに、なぜ子どものハードルを上げるのか。

できるだけ自由な雰囲気で、たくさんチャレンジさせること。それが上達させる一番の条件です。

次ページ:試合に出ている子とその親だけが幸せ、でいいのか

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文:島沢優子

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