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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

ダメ出しばかりする指導者に疑問 子どもたちが理解してなくても、事あるごとに指示を出すほうがいいの?

公開:2018年6月 1日 更新:2019年3月18日

キーワード:コーチング小学生指導論池上正礼儀考える力

サッカー論は素晴らしいけど、子どもたちが理解できてないのに高いレベルの話をしたり、練習や試合中も事あるごとにダメ出しをする同僚の指導者。「教えすぎも子どもたちの考える力を奪うのでは」と悩むコーチからご相談をいただきました。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが授けるアドバイスをご覧ください。(取材・文:島沢優子)

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※サカイクキャンプではコーチは主体性を大事にして見守ります。 写真は質問者及び質問内容とは関係ありません

<<上手な子の言いなりになりがち。上手な離れかたは? 良い方法を教えて

<お父さんコーチからの質問>

こんにちは。
いつも共感して記事を見てます。

私は小学3年生を指導してます。
教えている少年団に地区選抜チームで全国まで導いた指導者がいます。

サッカー理論は素晴らしいものを持っていますが、近所の子どもにはレベルの高い話しばかりで、子どもたちはなかなか理解出来ないのが現状です。セレクションで選ばれた選手であれば向上心もあり話しを聞こうとしますが、近所のサッカー少年たちは、ただの遊び感覚でしかサッカーを捉えていません。

また、練習や試合中でもやたらとあーだこーだ、そうじゃないだろうなど常に指示やダメ出しを繰り返してます。

私は子ども達を指導するにあたり、子どもが楽しくサッカーが出来る環境を作ってあげる事が大事だと思って指導してます。

礼儀や規律を基本に挨拶や返事をしっかり出来るように進め、最初は子どもたちに自由にサッカーをさせて、そこから自分たちで、何が良かったか悪かったかを考えさせながら、ヒントを与えながら練習で修正してます。

指導として、コーチが事あるごとに指示を出しダメな時は注意した方が良いのでしょうか?

教え過ぎるのも子どもが考えてサッカーをしなくなる気もするのですが......。

 

<池上さんのアドバイス>

ご相談、ありがとうございます。

その地区選抜チームで全国まで導いた指導者が、一体どんなことをダメ出ししているのか。そこはこの文章だけではわかりません。

でも、相談者様が疑問に感じているように、子どもたちが理解できない話や指導は、レベルが高いとは言えません。

■考えるのをやめると教えられたプレーしかできない

少年サッカーで「こういうのはやめなさい」「これはするな。こうしろ」といった、俗に言われる「ダメ出し」は、決して良いものではありません。

言い過ぎる指導では、子どもたちが自分で考えるのをやめてしまいます。

子どもたちが考えるのをやめてしまうということは、教えられたプレーしかできなくなるということです。そのような思考回路になると、コーチから教えられたこと以外のことが試合で出てきたら、自分たちで対処できません。

よって、コーチからアドバイスをもらうためにベンチを見る。日本の子どもたち(中には大人も)が、失点するとベンチを見るのは、そのような思考回路になっているからです。

なかには、自分の親のほうを見る子もいます。試合を見ていると、そのチームが、もしくは家庭がどのように子どもを育てているのか、ある意味、一目瞭然であったりもします。

少年サッカーも、日本のスポーツ界も、今まさに上記のような「教え過ぎる指導者」と、子どもの考える力を伸ばし、主体的にスポーツに取り組ませようとする指導者の二手に分かれつつあります。どちらも、「子どもに上手くなってほしい」という思いは同じなのに、"方法論"が180度異なります。

その意味では、相談者の方は、まだご自分のなかで揺れておられるのだと察知します。

「指導として、コーチが事あるごとに指示を出し、ダメな時は注意した方が良いのでしょうか?教え過ぎるのも子どもが考えてサッカーをしなくなる気もするのですが......」と書かれています。

少年サッカーのコーチングがどうあるべきか。一度、整理してみてください。

■あなたが悩んでいる理由

まずはトレーニングンのなかに、やるべきポイントがきちんと入っているか。それに対して、子どもが自発的に取り組んでいるか。そして、試合のなかでトレーニングで行ったことを実践できているか。そこを確認してあげるのがコーチの役目のひとつです。

そして、それを実践していくために重要なことは、トレーニングや試合を子どもたちが心から楽しんでいて、気づかない間に上手くなっていた――。そうなるのが理想です。

よって、相談者の方がおっしゃる「子どもたちに自由にサッカーをさせて、そこから自分たちで、何が良かったか悪かったかを考えさせながら、ヒントを与えながら練習で修正する」は、まったくその通りです。

理想形を理解されているのに、なぜ悩まれているのか。


それは、理想を形にする"方法論"がどうも違っているようです。

「まずは規律を基本に挨拶や返事をしっかり出来るように進め、最初は子どもたちに自由にサッカーをさせて」とありますが、このやり方は前後で矛盾していないでしょうか?

礼儀や規律を守らせるため、あいさつや返事をしっかりやらせる。このことは、スポーツでとても重要なことのように語られてきました。そういう子ども、そういうチームでないと上達しない、強くなれないと考えられてきました。

ですが、あいさつも返事も、人として当たり前のことですよね。

私が初めて出した本『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』で、「誰もいないグランドに、子どもが整列して頭を下げるのは違和感を感じる」といった旨を書いたら、「それは礼儀だから教えるべきだ」というご意見をいただきました。

が、私が言いたいのは「形だけ」の礼儀ではなにも身につかない、心からのあいさつ、心からの感謝を育むのが大切なのに、大人が子どもに「あいさつしろ!」と命令して、子どもが頭を下げる。それは違うんじゃないか、と申し上げたいのです。

次ページ:懸命に返事する子は委縮している可能性も


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文:島沢優子

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