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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

上手いけどすぐ癇癪を起す2年生。態度を改善したいがどうすればいい?

公開:2017年12月22日

キーワード:コーチングリスペクト中学生指導者池上正

技術、身体能力が飛びぬけて高くその子のおかげで勝つことも多いが、思い通りにいかないと癇癪を起こして他の子を萎縮させてしまう。そんな態度を改善するにはどうすればいい? というお悩みをいただきました。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんはどのようなアドバイスを授けたのでしょうか。(取材・文:島沢優子)

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※写真はサカイクキャンプの写真です。質問者及び質問内容とは関係ありません

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<お父さんコーチからの質問>

はじめまして。現在小学校2年生のコーチをしています。

技術や身体能力の飛び抜けた子がおり、その子のお陰で割と勝てるチームではあります。が、何しろその子のエゴが強烈で、自分やチームメイトのプレーが思い通りにいかないと癇癪をおこして周囲に強くあたってしまいます。

少し技術の劣る子や、年下の子は萎縮してしまいます。

こういった態度を改善する方法はありますか。やはり長い目で見て少しずつ指導していくしか無いのでしょうか。

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。
相談の文章を読んで、すぐに頭に浮かんだのが、岐阜経済大学教授の高橋正紀先生でした。

■できるだけ早い時期に矯正したほうが良い

「一流のスポーツマンのこころ」というテーマでJリーガーや指導者に向け講演活動をされている方です。

「他の選手に暴言を吐いたり、仲間より技術が長けているがゆえにプレーがひとりよがりになったりする選手をどうすればよいのか?」

高橋先生の話の中に、そんな問いが出てきます。

そんな選手について、先生は「できるだけ早い時期に正しい方向に矯正してあげなくてはならない」と言います。

なぜならば、その子が一見して、みんなと同じように技術を磨いて成長したようであっても、実は違う。

なぜなら「こころ」が伴っていないため、成長のベクトルが斜めに傾くので、成長の矢印が同じ長さに見えても「到達点」が低くなるというのです。

つまり、ジュニア期にベクトルの向きをきちんと調整してあげることが必要です。その点においては、選手のベクトルが傾いていることに気づいたことはとても良いことです。

■改善するために試合に出さない

では、その子やチームのために、大人はどうすればいいのでしょうか。

それは、ずばり「試合に出場させない」ことです。

欧州では、そのような振る舞い、態度が見られたときは試合に出さない。本人が心から理解し、改善されるように試合に出場させません。

恐らく、罰走や居残り練習などより、選手にとってずっと辛いペナルティでしょう。相手が子どもでも、それを課すわけです。ドイツなどでは、試合に勝つことだけが目的ではないからです。その子が大人に成長することが優先されているからです。

日本でもそういったふるまいが練習で見られたときは、コーチが「コートから出て行きなさい」と練習ではアウトにすることがあります。ところが、翌日の試合では何事もなかったようにその子を起用します。つまり、その子がいなくては試合に勝てないので出場させてしまうわけです。

そういった扱いをしてしまうと、その子自身も「結局僕がいなきゃ勝てないからだ」と感じてしまいます。自分は必要不可欠な存在なのだと思うと、それが「だから何をしてもいい」につながってしまう。そうなると改善されず、彼のベクトルは傾いたままです。

これこそが、よくいわれる「勝利至上主義の弊害」に当てはまります。

一日たてばすぐに許したり、勝っている試合は出さないけれど、リードを許したら、お願いとばかりに出場させてしまう。そのようなブレた態度では、大人の側にそこまでの覚悟がないことを見透かされます。

■本人への問いかけとコーチの気持ちを伝えることも大事

試合に出場させないのと同時に、本人と一対一で話すことも必要です。指示や命令ではなく、「君は自分の態度をどう思うの?」と問いかけながら諭すように対話してみてください。

「実はね、コーチも困ってるんだよ。君があんなふうにふるまうと、他のお友達もやる気なくしちゃうよね?」

まだ小学2年生ではありますが、コーチの方もご自分の胸の内を話してもいいと思います。

加えて、世界で活躍する選手は、仲間がミスしても動じない。みんなでカバーする。だからリスペクトされるのだと、伝えてください。相手が小学2年生でも、言葉を尽くせば「リスペクト」の意味は伝わるはずです。

日本のサッカー選手でも、上手い人ほどそのようなふるまいをしない。仲間のために走り、チームのために献身的なプレーをする。君にもそんなプレーヤーになってほしい、と。

おっしゃるように長い目で見守ることは必要ですが、毅然とした態度で対峙することもまた重要かと思います。

周りの子どものためということもありますが、とりもなおさず本人のためです。

次ページ:子どもの成長のために「ベクトルの向き」を整えてあげる


コーチからの【チーム指導の悩み】に池上正さんがお答えします(例:年代がバラバラなチームの練習メニューなど)※記事になります
※質問の文言を記事にさせていただくことがあります。その際はプライバシーには配慮します。
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文:島沢優子

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