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楽しまなければ勝てない~世界と闘う“こころ”のつくりかた

2018年5月31日

自分で好きなサッカーをやっているのに、なんであきらめるの?

キーワード:W杯スポーツマンのこころメンタル世界と戦う日本代表高橋正紀

サッカークラブや各種スポーツ団体を対象に「スポーツマンのこころ」と銘打つ講義で、一流アスリートになるための心得を伝え続ける岐阜経済大学経営学部教授の高橋正紀先生。ドイツ・ケルン体育大学留学時代から十数年かけ、独自のメソッドを構築してきました。

聴講者はすでに5万人超。その多くが、成長するために必要なメンタルの本質を理解したと実感しています。

高橋先生はまた、「スポーツマンのこころ」の効果を数値化し証明したスポーツ精神医学の論文で医学博士号を取得しています。いわば、医学の世界で証明された、世界と戦える「こころの育成法」なのです。

日本では今、「サッカーを楽しませてと言われるが、それだけで強くなるのか」と不安を覚えたり、「サッカーは教えられるが、精神的な部分を育てるのが難しい」と悩む指導者は少なくありません。

根性論が通用しなくなった時代、子どもたちの「こころの成長ベクトル」をどこへ、どのように伸ばすか。これから数回にわたってお送りします。「こころを育てる」たくさんのヒントがここにあります。
(監修/高橋正紀 構成・文/「スポーツマンのこころ推進委員会」)

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(写真はサカイクキャンプ)

■本当のスポーツマンシップとは

こころの未熟さを解決するには、スポーツをどうとらえればよいのでしょうか。

本題に向かう前に「スポーツマンのこころ」の研究の発露、私が「一流のスポーツマンとはどうあるべきか」を考え始めたきっかけをお話ししましょう。

1996年、ドイツ国立ケルン体育大学に留学した私は地域の社会人リーグに所属しました。ご存知のように、ドイツはクラブ文化です。多くの大学生が、大学ではなく地域のクラブでプレーします。

すでに33歳という年齢でしたが、私はセンターバックとしてその社会人リーグの試合に出場していました。

ある日のこと。1-0で勝利した試合のあと、私がマークしていた相手チームのセンターフォワードが駆け寄ってくるではありませんか。どんどん近づいてくる190センチ近い大男に、私は心のなかでビビりまくりました。
(試合中の接触プレーでのファールに腹を立てているのか?殴られるのか?)

すると、彼は手をすっと差し出しました。そして、私の肩を叩きながらこう言ったのです。
「今日の君のディフェンスは素晴らしかった。ありがとう」

毛深くごつごつした堅い手の感触。二度ほど繰り返された「ダンケ(ありがとう)」という言葉。自分を負かした相手を恨むことはあっても、相手のプレーを認めてわざわざ礼を言うなんて......。

彼のグッドルーザーぶりに心が震えるほど感動しました。

と同時に、「ファールに腹を立てているのかも」と疑った自分を恥じました。

なにしろ、それまで日本では「ファウルだろ!」と審判に詰め寄ったり、「ふざけるな」と相手を威嚇する選手の姿しか見ていなかったのですから。

「これが本当のスポーツマンシップだ。フェアプレーだ」と感じました。アマチュアの地域リーグでプレーしている選手が、こんなに素晴らしい態度がとれる。ドイツがサッカー大国であり、スポーツ大国であるゆえんなのだと腹に落ちました。

ドイツは日本と同じ敗戦国です。人口は日本の半分しかいません。でも、オリンピックで獲得するメダル数は日本よりずっと多い。そして、ドイツではサッカーが上手い人は、人間性も立派なのです。

彼と堅く握手を交わした後で頭に浮かんだのが、ドイツで耳にしたこの言葉です。
「スポーツは少年少女を大人にし、大人を紳士・淑女にする」
つまり、サッカーによって人は成長できる。これは、イビチャ・オシム元日本代表監督の言葉「サッカーは人生そのものだ」にも通じるものでした。

日本人は、スポーツのとらえ方を変えなくてはいけないのではないか。
これだけスポーツが科学的に分析され、高度になった今、人間性が未熟なままでは世界と伍していけない。

そのためには、スポーツをする人をもっと成長させる活動をしよう。スポーツをやることで人間性を磨く道筋をつくらなくてはいけない。
そう考えたのです。

■育成年代で勝利至上主義の排除が難しい理由

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ここからが本題です。
本連載のVol.1で、スポーツの正しい理解と、スポーツをする際の心構えの理解の必要性をお伝えしました。

まず「スポーツをどう理解するか」を考えましょう。
スポーツを、単なるリクレーションではなく競技性のあるものととらえた場合、「激しい身体活動」と言えます。加えて、スポーツはゲームであることを理解しなくてはいけません。

ゲームは勝負事ですから勝ちにはこだわります。が、日本のスポーツがドイツなどのスポーツ大国と違うのは、少し間違うと「勝つためなら何をしてもいい」という価値観になるということです。

この勝利至上主義は、全国の育成年代の指導現場から一日も早く排除されなくてはいけません。が、日本の少年サッカーにおいてトーナメント戦が主流という仕組みがある以上、それが非常に難しいのが現実です。

本質的に、育成年代はトーナメントはスポット的に行うものでリーグ戦が「楽しみと成長を生む王道」と考えられているのですが、日本はなぜか子どもがトーナメントで大人(プロ)がリーグ戦をしています。

このアンバランスな仕組みが修正されるまでは、個々に訴えるしかありません。ひとりでも多くの人たちに、ゲームを正しく理解してもらいたいのです。

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監修:高橋正紀 構成・文:「スポーツマンのこころ推進委員会」

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