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JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問

「ここにいなさい!」子どもたちの居場所づくりのために

公開:2016年12月27日 更新:2016年12月28日

山形県米沢市のフットサルクラブ、プチユナイテッドアスリートクラブを日本サッカー協会(JFA)、グラスルーツ推進部松田薫二部長が訪ねた連載の2回目は、特定非営利活動法人(NPO)として歩み始めたクラブの活動を中心にお送りします。子どもたちをサポートする活動の原点は、ある少女とのかかわりだったといいます。(取材・文 大塚一樹)
 
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【今回訪問したプチユナイテッドアスリートクラブは以下の賛同パートナーです】
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<<フットサルは年齢も性別も関係なく、とにかく楽しめるのが良いところ
 

■「ここにいなさい」一言が少女の人生を変えた

「高校に入って、初対面でいきなり話しかけてきたのが荒木さんの長女法子でした」
 
こう話すのは、現在クラブのもう一つの活動の柱となる「アニマルハウス」の施設長を務める森谷亜衣さん。アニマルハウスは「保護者と子どもの居場所づくり、助け合い孤独にならない子育てなどの支援事業」を中心に様々な活動を行っています。
 
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森谷さんは、お母さんがフィリピン人で小6の時に米沢にやってきたそうです。友達になじめない時期があり、中学2年生のときお姉さんが家出をしたのをきっかけに、自分もほとんど家に帰らない生活を始めたと言います。
 
「法子は間接的に私のことを知っていたそうなんですが、私は知らないし、最初は『え?なに?誰?』って感じでした。でも何だか知らないうちに彼女のペースに巻き込まれて、その日のうちに家に連れていかれていました」
 
長女の法子さんの行動も、荒木ファミリーを知る人ならば疑問に思うことのない、むしろ自然な行動なのですが、荒木さん、奥さん、そして娘さんまでもが、こういうことをナチュラルにできることがプチユナイテッドの活動の根幹にあるのだと思います。
 
松田部長は、森谷さんの話に注意深く耳を傾けます。
 
「『ここにいなさい』って言われたんです。奥さんにいきなり『ここにいなさい』って。日本に来て初めて安心できる場所、自分の居場所、家を見つけたような気がしました」
 
のぞみさんは、娘の同級生として家にやってきた森谷さんをその日から「私の娘」になったと言います。荒木さんも、フットサルのプレーやクラブの仕事、そしてNPO化に伴ってさらに発展させていこうとしているアニマルハウスの活動を任せることで、森谷さんに居場所を見つけてあげる役割を担っているのかもしれません。
 
「彼女が来てから、自然とそういうなかなか社会と折り合えない子ども、学校にいけないとか、親とうまくいかない子たちが出入りするようになりました。思春期の子たちは、そんなに大きな問題を抱えているわけではなくても、親と直接だと衝突したりすることってありますよね。ウチで何をするわけじゃないけど、なんかみんなフラリときていろんなことをしゃべっていきます」
 
荒木さんによると、少し問題を抱えている子がいると、森谷さんがいち早くそのサインを受け取って、「見つけてきてしまう」のだそうです。
 
「昔の自分を見ているようで」というのは、森谷さんだけでなく、荒木さんも取材中に漏らした言葉でした。悩み多き青春時代は誰にでもある。折り合いがつけられなかった自分を見ているようだというのは、荒木ファミリーに共通の “おせっかい”の原動力なのかもしれません。
 

■子どもたちの居場所づくりのために

アニマルハウスでは、のぞみさんがスポーツフードアドバイザーの資格を取るなど、“食”にもこだわっているそうです。
 
「問題を抱えている子どもたちの原因の一つに食生活があることが多いんです。贅沢なものはできなくても、きちんとした栄養、バランスのとれた食事をすることで、問題行動が減ることだってあるんです」
 
フットサルクラブの枠を超えて活動を広げているプチユナイテッドは、子どもたちと真正面から、真剣に向き合うことで、地域になくてはならない存在になっています。
 
クラブに子どもを通わせる保護者もこうした活動には大賛成。
 
「娘が不登校で悩んでいた時期に助けてらった」「身体的、精神的にスポーツをするのに不安な子どもを絶対に見捨てず、マンツーマンで見てくれる」「いい時には褒めてくれて、ダメなときはきちんと叱ってくれる」と、プチユナイテッドに絶大な信頼を寄せつつ、保護者の方々もクラブの仲間として子どもを見守ります。
 
その証拠に、足下から冷気が忍び寄る冬の体育館であっても、保護者のほとんどが練習を見守り、ときにはコートに入り、練習のお手伝いをこなす姿も。アットホームな関係性が、固く閉ざされた子どもたちの心を開き、親子関係が改善したというケースも少なくないのだそうです。
 

■“本気”が本当のEnjoyを引き出す

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「本気の部分が根っこにある。フットサルの競技成績だけにこだわるクラブでは意味がないけれど、プチユナイテッドはいろんなことに本気で取り組んでいることがよくわかりました。この本気の姿勢が、クラブの活動を支えているんだと思います」
 
松田部長が言うようにプチユナイテッドではすべてのことに本気で取り組みます。練習もただ楽しいだけではなく、厳しさ、つらさ、大変さも同時にあるのです。
 
「フットサルは足下からなんです。狭いところでプレーするフットサルは技術にしても足下から」
 
荒木さんが強調する「足下から」はフットサルだけでなく、自分たちの生活、身近なこと、身の回りからしっかりするという「足下」も含まれています。
 
「みんなEnjoy!の本当の意味はこういうことですよね。真剣な場が人を本気にする。本気になるからフットサルが楽しくて仕方ない。そういう場を作れば、みんなで一緒に次のステージに行ける」
 
松田部長は、プチユナイテッドの活動を目の当たりにして、『みんなEnjoy』の原点を改めて見つめなおしたと言います。
 
「まずは続けること、夢はたくさんあるんです」という荒木さんは「Fリーグの選手を輩出すること、いつかここに自前の体育館を作って、そこを子どもたちの居場所、みんなの成長の場所にすること」と夢を語ってくれました。
 

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■グラスルーツ推進・賛同パートナー制度ってなに?
この制度の目的はJFAが掲げる『JFAグラスルーツ宣言』に賛同し、共に行動していただける団体と仲間になることで、グラスルーツサッカーの環境改善を推進することです。本制度の賛同パートナーになってもらい、その活動の理念や内容が好事例として日本全国に広く伝わり、JFAと同様の考え方で進められている活動であるという理解が深まることを期待しています。また、さまざまな好事例を多くの方々と共有することで、全国により良い環境が広がるきっかけになればと思っています。ぜひ賛同パートナーとなり、グラスルーツサッカーの環境改善にご協力下さい。
 
■グラスルーツ推進・賛同パートナー制度に申請する2つのメリット
1.あなたの団体・チームの宣言・活動内容等がJFA.jpに掲載されます。
2.松田部長とサカイク編集部が取材に伺うかもしれません。
 
■3つのテーマ
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■こんな活動をしていると認定してくれる
 
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※指導方法や選手への意識づけという面だけでなく、実際に切れ目なく定期的・継続的にプレーする場を提供している、または今後提供を予定している団体
 
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『補欠ゼロ』には、「上手い・下手関係なく、その人のレベルに応じて必ず試合を楽しめるようにしたい」という思いが込められています。レギュレーションによって全員が試合に出られないこともあります。しかし、その試合に出られなくても他の試合でしっかりと出られるようにする等、万年補欠でサッカーを終えることなく、みんなが心からサッカーを楽しむことができるように取り組む団体を認定します。
 
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サッカーはみんなのもの。障がいを持つ人も安心してサッカーを楽しめるようになれば、豊かな社会の実現の一助となるでしょう。そのためには、多くの人達が障がいのことを理解し、どうすればみんなが楽しめようになれるかを考え行動することが必要です。「障がいの有る無しに関わらず、サッカーやスポーツを通じて、安心して個性が発揮できる場づくりに取り組む団体を認定します。
 
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取材・文 大塚一樹

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