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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

早く入れなきゃ置いてけぼり? 低学年からスポ少やクラブに所属すべきか問題

公開:2021年12月 8日

キーワード:クラブチームサッカースクールスポ少低学年実力差試合経験

サッカースクールで楽しくやっている小2の息子。最近周りがスポ少やクラブチームに入りだした。

うちは本人が入りたいチームを自覚するまで今のままで良いかと思っているけど、学年が進んでからだと実力差ができて追いつけないからサッカーが嫌になる? なら今のうちにチームに入れた方がいい? というお悩みをいただきました。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんにお子さんがサッカーを楽しんでいけるよう3つのアドバイスを送ります。
(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<贈り物をする親の子をえこひいき。暴力暴言もあるコーチを何とかしたい問題

 

<サッカーママからのご相談>

はじめまして。

小学2年生の息子は年長の時に体を動かすのを目的にサッカー教室に通い出しました。

サッカーが楽しいようで今は週に2回程スクールに通っていますが、最近、周りのお友達がクラブチームやスポ小に入る様になってきました。

息子も「試合に出てみたい。もっと強くなりたい! 上手になりたい!」と言っています。

親としては、本人が入りたいチームを自覚するまでは今のままでも良いかなと考える一方で、試合が何よりの経験になってスキルも上がっていくのでは? 学年が進むに連れ実力に差も出てくるのではと悩んでおります。

そうなったら楽しくやっていただけの息子は追いつくのが難しく、自信を失ってサッカーが嫌になって辞めてしまうのでは、と思っています。

本人のためには試合経験を積めるチームに入れた方が良いのでしょうか。

 

 

<島沢さんのアドバイス>

ご相談いただき、ありがとうございます。

サッカー教室だけ通わせ、「本人が入りたいチームを自覚するまでは今のままでも良いかな」と考えているお母さん、とても素敵だと思います。このように子どもの自覚や自立を待つ子育てを、ぜひこのまま続けていただきたいです。

いま、サッカー教室の仲間が少しずつチームに所属するようになって、親子ともに少し焦っているように見受けられます。ここでは三つほどアドバイスしますので、良かったら参考にしてください。

 

■今の不安は将来の「結果」についてだけ、それでは子どもが苦しくなる

ひとつめ。
すでにお伝えしましたが、お母さんの「待つ姿勢」や思慮深さはすごくいいと思います。ところが、いま焦ってしまっているので、お母さんのこころは不安でいっぱいです。

「(チームに所属するのが遅れると)学年が進むにつれ実力差がつく」
「チームに入るのが遅れたら追いつくのが難しい」
「自信を失ってサッカーが嫌になって辞めてしまうのではないか」

このように、お母さんが心配していることは、すべてサッカーの結果や成果です。お母さんの息子さんのサッカーに対する価値観がこのままでは、息子さんは常に結果を求められ、苦しいサッカー生活になりかねません。

ややもすれば、お母さんの目が気になって自分がやりたいように挑戦できなくなります。サッカーはミスするスポーツで、上達するにはたくさん、たくさん、失敗を重ねなくてはなりません。それなのに、お母さんが転ばぬ先の杖を握りしめ「こうするとダメになるかもしれない」「こっちを選ぶといいかもしれない」と過剰に心配している限り、息子さんがトライすることは不可能でしょう。挑戦するメンタルが育たなくなります。

え? 本当かな? ともし思われたら、私が長く取材を続けている小児脳科学者の成田奈緒子先生が、医学部時代の同級生であるノーベル賞博士の山中伸弥教授と対談されている『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(講談社α新書)を読んでみてください。

「ほったらかし」が子どもを伸ばすというタイトルの第1章で、これに関連する話がされています。

「心配されるということは、信用されていないということ」

そのように子どもは感じ取り、自己肯定感が下がると成田先生は説明し、山中先生もそこに賛同しています。待つという子育ての軸が少しずれているのかもしれません。ここを少し考え直してみましょう。

 

■親の「ここは合わないかも」より本人の「こうしたい」という気持ちが成長につながる

ふたつめ。

良かったら、結果ではなく、「プロセス」を見ていくことに変えてみませんか。子どもがやったことの結果や評価ではなく、その過程で息子さんが楽しんでやれたか、自分なりに頑張れたか。自分だけでなく、仲間を思いやったり、スポーツマンシップにあふれた姿勢だったか。そんなふうに、子育ての軸足を移してみてください。

脳科学的にも、子どもは「才能があるね」「お前は凄い」などと言われるよりも、「よく頑張ったね」「楽しそうで、お母さんもうれしいよ」と、そのプロセスを親が見ていくことで成長すると言われています。

大袈裟に言えば、親が「ああ、失敗するかも」とか「そこはこの子にはあわないかも」と感じても、子どもが「こうしたい」「このチームでやりたい!」と強く主張すれば、よほど大きな理由がない限り、子どもの主張通りに歩ませてあげたほうが成長につながります。

もちろん、選んだチームに暴力やパワハラがある可能性があるのなら、そこは親として子どもの安全を確保するためにも反対すべきです。そういった明らかにNGな理由がなければ、子どもの判断に任せてください。

そうでないと、親が誘導してしまったレールに乗ったあと、何か不具合が起きたときに「お母さんがこうしろと言ったからだ」と、うまくいかないことを他者のせいにしてしまいがちです。

 

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文:島沢優子

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