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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

「シートベルトを着けさせない、仲間をからかう子を注意しない」コーチにモヤモヤしちゃう問題

公開:2021年9月29日

キーワード:あいさつシートベルトモラルリスペクト安全少年団感謝指導者送迎

サッカー以前の問題を抱えるコーチのもとに居させて大丈夫? というお悩みをいただきました。 車移動の際、子どもたちにシートベルトをさせない。上手い子が下手な子のボールを蹴る「からかい」があっても注意しない。コーチの振る舞いに納得いかない。

サッカーを通じて感謝の気持ちや心の成長につながるチームに行ってほしいけど、本人が移籍したくないなら見守るしかない? という親のモヤモヤ。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験を踏まえ悩めるお母さんに改善のための動き方をアドバイスします。
(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<「帰れ」「次の試合に来るな」精神的に子どもを追い詰めるコーチのもとにいていいのか問題

 

<サッカーママからのご相談>

移籍を考えているわけではないのですが、クラブについてモヤモヤしています。

7歳の息子はチームの中でもすごく下手でチーム内でもいじられ気味です。それでも本人続ける気があるのでそのことは問題はないのですが、チームのコーチにモヤモヤしています。

まず、送迎の車で子どもたちがシートベルトをしてないときがあること。未就学のキッズに至ってはチャイルドシートもつけてないし、サッカー以前の問題じゃないですか? って感じです。

また、上手な子が下手な子のボールを遠くに蹴ってからかう、みたいなことを子どもたちがやるのですが、特に注意する訳でもなく......。見かねた親からクレームがいったのか、連絡メールで「友達のボールを遠くに蹴る行為は止めましょう」ときました。

そんな当たり前のことを親への連絡メールで伝えないと分からないチームなのか?  と思ってしまいます。

息子のチームは、わざわざ遠くから来てくれた試合相手に「ありがとうございました!」の挨拶もモジモジして言えません。そのことも、日頃から挨拶してれば言えるでしょ? と思ってモヤモヤしてしまいます。

正直親が恥ずかしいです。私と夫はサッカーに興味もないし、行くも辞めるも息子に一任しています。

なので、どうせならルールを守る、感謝を持って挨拶するなど、心の成長につながるチームに行ってほしいと思っているのですが、息子はこのチームがいいみたいです。

それはいいのですが、指導者の在り方やチームに対してのモヤモヤが晴れません。親としてどう考えていったらいいのでしょうか?

 

 

<島沢さんのアドバイス>

ご相談いただき、ありがとうございます。

ご相談文を読むと、息子さんの意見を尊重し移籍はさせないけれど、クラブは問題だなとモヤモヤする。やり場のない憤りが伝わってきます。

いつも最初に申し上げますが、実際にコーチの方々のお話を聞いてはいないので、お母さんからのメールを読んだ印象でお話しさせていただきます。

 

■シートベルトの着用についてコーチに頼んでみよう

結論から申し上げると、お母さんが書かれたコーチの方々のふるまいは、そんなに気にしなくてよいと思います。

例えば、シートベルトの着用。ボランティアの方が運営している少年団なのか、それ相応の額の月謝を払っている民間クラブなのかはわかりませんが、いずれにせよ気づいたのなら「安全のためにつけさせてください」と頼んでみてはどうでしょうか。

コーチの味方をするわけではありませんが、7歳児の世話をするのは大変です。また急いでいる場合もあります。もちろん事故が起きてからでは遅いです。シートベルトを着けていなかったことを知っていて放置していたら事故が起きた、わが子が被害を受けたとなると、やはり後悔されるかと思います。チャイルドシートや後部座席のシートベルト着用は義務化されているので、子どもたちの安全のためにもお願いしてみるといいでしょう。

いくら言っても聞いてもらえない、となれば、子どもの安全を担保できないわけなので、その点をお子さんに話してクラブを替えることを検討してもいいのではないでしょうか。

 

■「からかい」ではなく「いじめ行為」だとコーチに理解させよう

ふたつめ。上手な子が下手な子のボールを遠くに蹴ってからかうことですが、「友達のボールを遠くに蹴る行為は止めましょう」と連絡メールをするのは筋が違うと感じます。

ボールを蹴る行為の前に、上手な子どもが下手な子どもへのからかいでやっている、つまり、いじめ行為だということが問題です。コーチの方の理解が十分でないことは自明の理です。このことも、ぜひ気づいているお母さんがそのことをコーチに説明してあげたほうがいいと思います。

ただし、相談文を読むと、コーチが暴力やパワーハラスメントなど不適切な指導をしているわけではなさそうです。ただ、シートベルトも、いじめ行為に対する注意もクラブ側に修正してほしい点です。であれば、ぜひ意見してください。わが子が所属するコミュニティを、一緒に育てていくのも親というか大人の役目だと私は思います。

例えば小学校で、担任の先生にさまざま未熟な点があれば「こうしてほしい」と伝えますね。問題の大小にもよりますが、互いに意見交換せずに一足飛びに教育委員会へクレームをしてしまうと、非常に話がこじれてしまいます。

一方で、目についたことを伝えないのであれば、息子さんのサッカーと距離を置いてはどうでしょうか。サッカーをするのは息子さんなので、彼が楽しければ何も問題はありません。目に着けばモヤモヤする。でも、言いたくはない。そうなるとお母さんのこころの健康に良くありません。

 

■あいさつは大人が子どもに無理にさせるものではない

三つめはあいさつについて。

あいさつは、大人が子どもに無理にやらせるものではないと私は考えています。お母さんが「恥ずかしいチーム」と感じてしまうということは、きっと息子さんはあいさつをしているのでしょう。

あいさつや整理整頓などは、家庭のしつけの範囲になります。それぞれ子どもの発達スピードは異なるので、早くからハキハキしてあいさつできる子どもがいれば、そうではない子どももいる。まだ7歳なのでモジモジしてしまう子もいることを、もしかしたらコーチは理解しているのかもしれません。ぜひ長い目で見てあげてください。

と言いつつ、私も息子が少年サッカーの世界にいたある時期、長い目で見ていなかったと反省しています。上の学年の試合に呼ばれて丸一日参加したら、3試合ともずっとベンチに置かれました。息子は「おまえは下手だから出さない」と言われたそうで、泣きながら帰ってきました。

下手かもしれないけれど、試合に出す気がないなら、同級生との練習をしていたほうが息子は楽しかったはずなのにと怒りがこみ上げてきました。息子も行きたくないと言うので「次からはもう上の学年の試合には行かせません」と伝えました。

今思えば、出過ぎたことをしたと思っています。その時代、十数年前は、現在広がりつつあるような「全員出場させましょう」という習慣がありませんでした。そのコーチは、それまでしてきた指導をやっただけでしょう。それが決していいとは思いませんが、そのときの私に欠けていたのは、コーチへの感謝とリスペクトです。 

 

  

次ページ:親が指導者への感謝とリスペクトを持つことが、子どもの成長につながる

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文:島沢優子

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