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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2018年10月24日

転ばぬ先の杖を用意したい過保護な親に困ってます問題

キーワード:コーチ保護者指導者監督練習考える力過保護

「過保護な保護者の対応、どうしたらいいですか!?」実はよく聞く指導者の悩みです。試合で使う道具を子どもたちに運ばせたら「重いし危険」と苦情が来たそう。サッカーの中で、自分で考える事を学んでほしいのに保護者があれやこれやとリスク排除をしてしまい、子どもが成長する機会を奪っているんだけど、どう言えばいいのか...。

この連載をご覧の指導者、お父さんコーチのみなさんも同じような悩みを持つ方がいるのでは?

今回も、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんがジャーナリストとしての知見やご自身の経験を通して、アドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)

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※人のプレーを見て学んだり、子どもたちはサッカーを通して考える力をつけます。 写真は過去のサカイクキャンプのものです。質問者及び質問内容とは関係ありません

<<送迎する親は1時間待ち。監督の話が長すぎて困る問題

<U-12以下の指導者からのご相談>

指導者と保護者の関りについて悩みがあります。

私は地元少年団で4種年代の指導者をしています。

少年団では保護者の協力は非常に重要で助けて頂いてますが、一方で「過保護だな」「関りが難しいな」と感じる事があります。

例を挙げると試合会場に着いた際、引率グッズ(結構な重量)が入ったバッグを子ども達に運ばせます。理由は単純で「自分達がサッカーをする為の物は自分達で運ばせたい」からです。

ところが保護者の方からは「あんな重い物を持たせるのは危ない」と苦言を呈されます。 私は子ども達が重くて運べないと感じた時、どうすれば運べるのか? を考えてほしいと思ってます。例えば「仲間に手伝ってとお願いする」や「中身を分けて軽くして運ぶ」という解決策を出して欲しい、たとえその考えが間違っていたとしても、自分達で考える事が何より大切だと子ども達に伝えたいのですが、保護者の方々にはなかなかご理解頂けません。

またある日には、雨でグランドが泥状態の時、ボールに座る子ども達に「座るなら地べたに座りなさい」と言いました。子ども達には「お父さんお母さんが一生懸命働いて買ってくれたボールに座るのは、サッカー選手として失格だから」と説明しましたが、保護者からは「下着まで泥だらけになるし身体が冷える」と、これまた苦言を呈されました。

私も親ですので、保護者の気持ちも分かります。ただ子ども達にはサッカーを学ぶ事よりもサッカーから何かを学んで欲しい気持ちがあり、毎回悩んでしまいます。

指導者と保護者が同じ意識を持つ事で初めて、子どもの成長を促す育成やサポートが出来ると思うのですが、これは指導者である私の独りよがりでしょうか?

また、こういった事はしっかり保護者の方々と話し合いの場を設け、お伝えするべきでしょうか?

取材で得た情報やご自身がサッカーママであった経験から指導者と保護者のいい関係の築き方のヒントをいただけませんでしょうか。

<島沢さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

現在少年サッカーに取り組む子どもの親御さんたちは30~40代で、1970年代から80年代生まれの方が中心になります。この彼らが生まれたころにはすでに「過保護」という言葉があり、それなりの社会問題になっていました。

なぜなら、彼らが生まれたころから日本の少子化が始まっているからです。今年43歳になる人が生まれた75年以来、合計特殊出生率は2.0を割り込み低下する一方。 高度成長期のなか、子どもは少なくなり、そのぶんひとりの子に親が目をかけられるようになりました。

■「子どもが失敗しないように」することが親の役目と思っている人も多い世代

つまり、親御さんたちは自分たちが育てられたように、わが子を育てているともいえます。なにしろ、子育ては自分がされたものしか見本がありませんよね。

彼らは、全員ではないにせよ「子どもが失敗しないように」「子どもが快適に過ごせるように」「危険な目に遭わないように」と、常にリスクヘッジをすることが「親の役割」だと解釈している面があります。

なぜなら、自分たちもそうされて育ったし、そのことを自分の親に感謝している人もいるからです。「自分の親のような親になりたい」と考えている人もいるでしょう。

しかしながら、子どもたちを取り巻く社会環境が変わり、いわゆる「飯が食える大人像」ががらりと変わろうとしています。これまでは言われたことを忠実に遂行できれば良かったけれど、今後はそれをやるのはロボットやAIだったりします。


私たちの子どもに求められる生きる力は、「自分で考える力」「主体性」「創造力」になります。

では、どうやったら、それらの力を身につけられるのか。サッカーをすることで生きる力はつきますよね。

そんな話をまずは、保護者の方と話してみてはいかがでしょうか。

■保護者への対応に悩むコーチに授ける打開策 ポイントは話の「持っていき方」

今回のご相談のようなコーチのお悩みは、とてもよく聞く話です。私自身、講演や取材で少年団や民間のクラブを訪ねますが、どのクラブでも、過保護な、もしくは過度にわが子に期待してしまう保護者の対応に悩んでいると言います。

そんなみなさんには「保護者の方と子育てについて話し合ってみましょうよ」と勧めます。

「自分達で考える事が何より大切だと子ども達に伝えたいのですが、保護者の方々にはなかなかご理解頂けません」とありますが、過去にみんなで「子どもたちをどんなふうに育てるか」ということを話し合っているでしょうか。

もちろん、相談者様の「サッカーから何かを学んで欲しい」という希望はまっとうなものです。「指導者と保護者が同じ意識を持つ事で初めて、子どもの成長を促す育成やサポートが出来る」ということも正解でしょう。

ただし。
「保護者の方々と話し合いの場を設け、お伝えするべきでしょうか?」とあります。
私は、ここを少し考え直していただければと思います。

伝えるべきだということは、恐らく「チームはこう考えているので、こうしたい。だから賛同してほしい」と最初から決定事項として話すことを考えていませんか? それを話して、賛成か、反対かを問う。みたいな持っていき方ではないでしょうか。

次ページ:保護者がスムーズに納得してくれる場の作り方

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あなたが抱えるお悩みに、先輩サッカーママ島沢優子がお答えします!

※ご相談者様のお名前、チーム名等は掲載いたしませんのでご安心ください。

文:島沢優子

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