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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

成長のためにも試合数が少ないクラブから移るべきかな問題

公開:2018年6月 6日 更新:2018年6月 7日

キーワード:ケガコーチ子育て少年団指導故障移籍街クラブ

2人の息子が所属するチームは、少人数制で少年団に入ってないので試合数が少ない。サッカーを楽しんでいるし人間関係も良いけど、試合が多いチームの方が成長するもの? と密かに悩んでいるママからのご相談をいただきました。

サッカーママとして先輩の島沢さんが、小学生年代の試合数について見解を示してくれました。試合数が多くて小6でヒザを壊したお子さんの話も参考にしてください。(文:島沢優子)

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※写真はサカイクキャンプのものです。 質問者及び質問内容とは関係ありません

<<ちょっぴり恐い「小3問題」とは? サッカーやめたい息子。自分でチームに言わせるべきか問題

<サッカーママからの相談>

7歳の長男、4歳の次男ともに年少から地元のサッカークラブに所属しています。家族経営のクラブで、OBの父兄が何名かボランティアコーチとして協力して下さっています。

メインコーチが「まずはサッカーを楽しむ」という方針を掲げているのと、各学年の人数が少ない(5~10名)こともあり、市の少年団には加入していません。今は月に2回程の決まったクラブとの練習試合と、年に3~4回程度の非公式カップ戦のみです。

長男の学年は例年より強く、今のままだと試合数の少なさに文句を言う子どもも出てくると思われます。コーチにもそのような話をしましたが、方針を変えることはないようです。

小学生の子どもにとって、やはり試合数の多いチームの方が成長するものなのでしょうか?

我が家としては、子どもたちが不満を言ってこない限りは今のクラブで続けたいと思っています。サッカーを楽しんでいますし、仲間との人間関係も良好なので...。
ぜひ先輩ママのご意見をお聞かせください。

 

<島沢さんのアドバイス>

メールありがとうございます。

ジュニア期の適切な試合の頻度が問題の軸ですね。もしかしたら、相談する相手としては池上(正コーチ)さんのほうが適任だったかもしれませんが、私なりに少し違う角度からお話しさせていただきますね。

お伝えしたいことは3つあります。

 

■試合数が多いほうが成長するワケではない

まず、ひとつめは、試合数は「適正」だということです。


上のお子さんの年齢は7歳。まだ低学年ですよね。それを考えると、月に2回程の決まったクラブとの練習試合と、年に3~4回程度の非公式カップ戦は十分な試合だと考えます。毎月二回ずつ対外試合ができるんですよね。であれば、試合で出てきた課題をトレーニングして、そしてまた2週間後の試合で試してみる。その繰り返しで、子どもたちは上達するでしょう。なんら問題はないかと思われます。

試合数の多いチームの方が成長しますか? という問いかけについては、違います、と言いたいです。

無論、実践を繰り返せば、見た目は上手くなると思います。ですが、試合をやり過ぎることによる二つのデメリットのほうにぜひ注目してほしいと思います。

ひとつめは故障の可能性です。
以前は、少年サッカーを取材すると、コーチの方が「年間130試合やった」「いや、うちは150試合やったよ」と互いに「数自慢」をする場面にでくわしました。

試合を行うのは、コーチとしてはひと仕事です。グラウンドの手配、相手チームの設定、ピッチ作りと、人や手間のかかることばかりです。それを多くのみなさんがボランティアでなさっているのだから、頭が下がります。

しかし、無償であっても、活動の質、子どもに与える影響を考えるのは大人の役目ではないか?

そんな考えが広まってきて、みなさん子どものために少しでも正しいコーチングを、新しいサッカーを教えたいと勉強されているのだと思います。よって近年は、サッカーをやらせすぎることの問題点を指摘される方が多くなったと実感しています。

例えば、こんなお子さんがいました。
私の知り合った方が「息子がもうサッカーは出来ないと言われた」と話してくれました。年間130試合、週に5日サッカーをする状況を経た結果、膝を壊して動けなくなっていました。
そこで、子どものスポーツ障害に詳しい整形外科医がいらっしゃる病院を紹介。意を決して、全国少年サッカーの予選もすべて出ずに6年生で手術した結果、中学1年生の半分はリハビリに費やしましたが、無事にピッチに復帰しました。

このような境遇、似たような体の状態の子どもは実はたくさんいます。

■小学生の時はサッカーが楽しかったらいい

二つ目は、全力で走らなくなる可能性です。試合がたくさんあると、子どもも手を抜きがちです。しかも、相談者様のチームのように人数が少ないとずっと出ずっぱりですね。走らなくなります。これは池上さんを含め、多くの少年サッカーの指導者が指摘しています。

お伝えしたいことの二つめ。
ご相談者様が、子どものサッカーに過度に熱を入れすぎていないか、という心配です。
「今の長男の学年は例年より強い」と書かれていますね。これは、恐らく、練習試合で勝つことが多かったり、カップ戦で優勝したりしたのでしょう。

息子さんを含め、お友達もみんな上手なのかもしれません。
ですが、小学1年生、2年生で、上手いか下手か、強いか弱いかなど、まったくもってわかりません。というか、ほとんど意味がありません。

私の知る、ある強豪大学の選手は、少年サッカーのごく小さな地域のカップ戦で1対15で負けたときの相手チームのエースが中学からずっと試合の際は膝にテーピングを巻いていてかわいそうだなあと思っていたそうです。高校生になって対戦しましたが、負けたことはなかったといいます。

彼は「小学生のときなんて楽しかったらいいんですよ。勝ち負けなんて関係ない」と話していました。エースだった選手はそのエリアのずっと下部のリーグにいる大学でプレーしています。

小学生のときは楽しかったらいい。
この選手の言う通りです。


しかし、そこを理解していない大人が、子どもの未来を狭めてしまいます。池上さんが監修した『少年サッカーは9割親で決まる』(カンゼン)を執筆する際に、そんな子どものケースをたくさん見聞きしました。

 

次ページ:子どもたちを伸ばすためにはハングリーな状態にしておくこと

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