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教えて西部さん! 初心者の素朴な疑問に答えたサッカー観戦Q&A

2018年6月29日

FWが多かったら攻撃的で、DFが多かったら守備的なの? 教えて!

キーワード:4-3-34-4-2フォーメーションルール初心者守備的戦術攻撃的観戦

息子・娘がサッカーをやっているけど、サッカーのことがよくわからないお父さん・お母さん。

専門書は難しいし、試合を見ているだけでは中々理解が進まない。子どもが好きなサッカーを一緒に楽しみたいんだけど......というあなたにおススメ!

「あんなにゴールが大きいのにシュートが入らないのはなぜ?」
「4-4-2、4-3-3て何の数字?」
「裏ってどこのこと? 表はあるの?」

といった、いかにも素人なザックリとした質問や、予想のななめ上をいく珍問・奇問に、戦術解説の第一人者、西部謙司さんがサッカーの本質を噛み砕いて説明します。

カラー.jpg

サッカーのどこをどう見れば楽しいか、これを見れば手っ取り早くわかります。

代表の試合やスーパースターのニュースは見るけど、わかりやすいプレーの場面しか理解できない人、サッカー好きと、そうでもない人をつなぐコミュニケーションのヒントに!! ぜひお子さんとも一緒にお楽しみください。


それでは早速質問と回答をどうぞ。


Q.4-3-3とか4-4-2とか、あれはどういう意味があるの? 試合が始まったらグチャグチャですよね。

A.電話番号と同じです。


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【西部さんの解説】

「フォーメーションなんて、電話番号みたいなものだ」

ペップ・グアルディオラ監督もそう言っています。3‐4‐3でも4‐3‐3でも、試合が始まってしまえば、ご質問のとおりで選手の位置は変化します。それ自体に意味があるわけではありません。でも、必要なんですよ。電話番号を間違うと、間違ったところへかかっちゃいますよね。

昔、私が中学生のころ「今日はWMシステムだー」となったことがありまして、僕らは「何それ?」という状態でした。ただ、とりあえずそう決まったので、前のほうが「W」、後ろのほうが「M」の字になるように並んだわけです。で、試合が始まったら「おい、ちょっとそこ曲がってるぞ」みたいになりまして、おちおちプレーに集中できなかった。きれいにWMの形になるように頑張ったわけですが、もちろんそんなことに何の意味もないわけです。

フォーメーションは「記号」と考えてください。意味がないと書きましたが、実はそれなりの意味はあります。フォーメーションは戦術そのものではありませんが、戦術を表す形ではあります。

戦術とは、どうやってプレーするかをチームとして決めることです。味方の戦力と相手の戦力、そのときの状況によって、どうプレーするかを決めます。ゲームプランと呼ばれたりします。例えば、対戦相手は非常にテクニックがあるとしましょう。相対的にボールを持たれる試合が想定されます。普通にボールを奪おうとしても奪えません。

そうすると、たとえ1人がかわされても2人目がカバーできるようにしておきたい。全体でいえばコンパクトにまとまっておきたい。そうしないと各個に撃破されてしまいますからね。

で、そのコンパクトな塊をどこに置くか。より前方に置くか、それとも後方に置くか。前方に置けば、それだけ相手ゴールに近いところでボールを奪えますから、攻撃面でもやりやすくなります。しかし、ディフェンスの位置が高いので背後には大きなスペースがあり、ボールを奪い損ねると大きなピンチになるリスクがあります。

一方、後方でコンパクトに守れば背後のスペースは少ないので守備のリスクは減りますが、相手ゴールまでが遠いので攻撃が難しくなります。

こうしたメリット、デメリットを勘案したうえで、最終的にどういうフォーメーションでいくかが決まります。なので、フォーメーションはそれまでの思考過程を具現化した形となります。

もちろん、その形は試合中に崩れていきます。しかし、その崩れ方は必ずしもグチャグチャではありません。見た目はそうでも、チームとしてはむしろグチャグチャではまずい。例えば、4‐4‐2と4‐3‐3では相手のCB(センターバック)がフリーでボールを持っているときに、どのポジションの選手がプレッシャーをかけるかが違います。

4‐4‐2では、相手のCBに対して原則的にはFWが守備をします。しかし、4‐3‐3なら、相手が4バックの場合、中央にCBが2人いるのに対してFWは1人だけです。ですから、CBの1人がフリーになってしまったら、MFの1人が前に出て対応します。そのときの守備の位置どりは4‐4‐2も4‐3‐3も見た目同じになりますが、動きの機能性が違うわけです。

後方でパスを回すときに、DFの間にMFが下がってくることもあります。そういうときはSB(サイドバック)が上がっていて、下がったMFよりも前にいるので、フォーメーションは崩れています。ただ、これもパスを回しやすくするためにそうしていて、崩し方は規則的です。

つまり、4‐3‐3といっても、ずっとそのままでないことは選手間の了解事項なんです。MFが下がって、SBが上がればフォーメーションは3‐4‐3に変わっているのですが、誰もいちいち「3‐4‐3に変えるぞ」とは思っていません。

そういう崩し方も4‐3‐3のうちなんですね。基本のフォーメーションがあって意図的にそれを崩す、そうすると相手も対応してフォーメーションが崩れる。で、どこが崩れてどこが攻撃しやすいのか、互いにそれを意識しながら試合をしています。なので、見た目はグチャグチャですが、選手たちの頭の中ではグチャグチャではない。将棋の駒も動かすうちに盤上はグチャグチャになっていきますが、それなりの定石があるのと同じです。

で、いろいろな変化をしたいときに、監督が選手にどうやって伝えるかというと、フォーメーションで伝えるのが一番早いんです。「4‐3‐3から3‐5‐2にするぞ」と監督が言えば、プロの選手はそれがどういう意味かすぐに理解できます。それが守備的な指示なのか攻撃的な指示なのか、なぜフォーメーションを変えるのか即時に理解します。

市外局番が03なら、「東京へ電話する」と決まるようなものですかね。逆に、それがなくて、「SBは10メートルポジションを上げて、MFは1人がディフェンスラインに入って相手のFWをマークして......」みたいな指示だったら混乱必至です。だいたい短い時間にグダグダ長い話はできません。伝達手段として、フォーメーションという「記号」は一番早くて確実に伝わるんです。

まとめると、フォーメーション自体に意味はない。しかし、フォーメーションには内包している意図があり、選手がそれを理解しているならば伝達手段としてフォーメーションは価値が高い。そんなところでしょうか。

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記事提供:内外出版社

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