平岡和徳氏に聞く「子どもたちの未来に触れる」スポーツ指導・学校部活動

2018年10月12日

これからの部活に求められる「3K」とは? 指導者の負担減のために必要な24時間をデザインする力

「世界一受けたい授業」、子供の本気を引きだす感動の授業で話題沸騰

さる9/29(土)放送の日本テレビ系列「世界一受けたい授業」に平岡和徳氏(熊本県立大津高校サッカー部総監督・宇城市教育長)が出演し、「子育てでも会社でも使える無名のサッカー部を常連校に変えた教育法」として指導哲学・教育法について授業を行いました。

一日の練習を100分に区切り、日常生活にもしっかり取り組むことで人間的に多く成長させれる指導で、これまで50人近いJリーガーを輩出してきた平岡氏の授業は大きな反響を呼びました。

サッカーの指導者でありながら宇城市の教育長も務める教育者である平岡氏に、昨今、話題となっているスポーツ指導の現場における体罰・パワハラ問題・長時間の練習、さらには現場の教員が置かれている状況、これからのスポーツ指導のあり方についてお話を伺い、全3回に渡ってお送りする本連載。

前回は昨今ニュースで報じられる機会も増え、保護者の最大の関心事ともいえるスポーツにおける「パワハラ」について伺いました。

第2回目となる今回は、スポーツ指導の在り方の改革が叫ばれる一方、求められる現場の教員たちの「働き方」改革についてお送りします。

平岡氏が語るキーワード「3K」とは!?

(取材・文 井芹貴志)

大津高校は全体練習を1日100分、終わりを区切ることで選手たちが考え、効率よく練習しています。

<<第1回:パワハラ撲滅のために現場はどう変わるべき? 子どもたちの未来のために、これからの組織づくりに必要なこと

第2回/学校部活動が抱える問題と今後のあり方

■求められる「可視化」「協働化」「効率化」の「3K」

―― 指導者にもブレーキをかける存在が必要という先ほどの話は、部活動の場合だと学校長などがその役割を担うことになりますね。

平岡 そういった危機管理は盛んに言われていますから、文科省が管理する義務教育や県立学校においては、部活動の現場での体罰などの問題は減っていくと思います。

一方で心配なのは、無関心な教員が増えてくることです。今までは、熱血で、長い時間をかけて、いつも近くにいて指導するというやり方が主流だったかもしれません。しかし今後は、教員の働き方自体も変わっていかなければいけない。

それは部活動の指導も同じで、誰が何をやっているのか、よく見えるようにしなければいけないし、組織として関わりながら、効率を高めていくことが求められます。「可視化」「協働化」「効率化」「3K」が、組織のあり方の中心になっていくでしょう。

■威圧・支配ではなく「本気のオーラ」を見せる

―― 指導者が変わらなければいけないということですね。

平岡 志願者数が減って競争がなくなれば教員の質も落ちますし、親としては子どもを預けるのに私立を選んでしまうようになり、県立学校、公立の小中学校がパワーダウンしていくのは目に見えています。

たとえば熊本県の場合、55歳~60歳の教員が退職する5年間で一気に教員が減ってしまうんです。すると、管理職に相応しい人間も少なくなる。そうしたなか、宇城市では現在、35歳~40歳までの教員を対象にした研修会を定期的に開いて、力をつけてもらっています。

質を上げるためには効率よく勉強しなければいけない。そのためには、先生たちも24時間をデザインし、仕事に終わりを作ることが大事です。今日の仕事は何時までに終わらせようというところからスタートすれば、工夫が始まるでしょう。

―― なかには、部活動の顧問を負担に感じている先生も少なくないようです。

平岡 専門性の高い競技の部活動に対して、何も知らない人が顧問になってしまったら大きなストレスですよね。そこにブレーキをかけるために、外部指導者を入れたり、地域との連携を図ったりしながら、放課後のスポーツをサポートする形を国も作ろうとしています。

教員は顧問として全体を見守り、校長が委嘱した外部指導者であれば、専門的な技術指導だけでなく引率もできる形まで、文科省が関わりながら作ろうとしています。一方で「部活動の指導をしたくて教員になった」という人もいて、そこでの温度差が大きくなっているのは問題です。

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