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JFAが推奨する少人数、小スペースでの「スモールサイドゲーム」が一人あたりのプレー機会を増やし適切な育成につながる理由

公開:2023年5月15日

キーワード:JFAアルファゴールスモールサイドゲーム3対34対45対56対68人制

日本サッカー協会(JFA)は2011年に、ジュニア年代(4種)のサッカーを11人制から8人制に変更。人数を少なくすることで、一人あたりのプレー機会を増やし、適切な育成環境の創出を目指しました。

それと同時に「低年齢期には、スモールサイドゲームを活用しよう」という指針も出しています。スモールサイドゲームとは、少人数、小スペースで行うゲームのことで、3対3や4対4、5対5、6対6といった形式を指します。U-10以下で使用するゴールサイズは2m×1mです。JFAが全国の巡回指導先の保育園や幼稚園、認定こども園に贈呈しているミニゴールとも同等のサイズとなります。

8人制導入からおよそ10年を経た2022年1月。JFAは「スモールサイドゲームガイドライン」を発表し、U-10以下にスモールサイドゲームを推奨することを、改めて打ち出しました。

そこで今回は、日本サッカー協会の技術委員会で普及ダイレクターを務める中山雅雄さんに「スモールサイドゲームが、子どもたちの成長に及ぼすメリット」について、話をうかがいました。U-10以下の年代を指導するコーチのみなさんは、ぜひ参考にしてみてください。
(取材・文 鈴木智之)

 

JFA_small_sided_gamessg_guideline_01.png
(C)JFA

<<関連記事:楽しみながら身体の動かし方を身に付ける、日本サッカー協会のボール・ゴール贈呈事業がもたらす効果

 

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■4年生以下が6年生と同じピッチサイズで良いのか? 適正な環境とは

U-12年代のサッカーが8人制になり、12年が経過しました。中山さんは「8人制が定着し、育成面から考えると、デメリットよりもメリットの方が多いと感じています」という前提のもと、こう続けます。

「一方で、小学4年生以下の試合環境を見ていると、6年生のお兄ちゃんたちと同じサイズで8人制をしています。それが果たして、小さな子どもにとって、適切な環境なのか。それを改めてみなさんに考えていただきたいというのが、20x22年にJFA スモールサイドゲームガイドラインを発表したきっかけです」

JFA スモールサイドゲーム ガイドライン(PDF)では、「年代に応じた、より適切なゲーム形式を提案する」「ガイドラインの柔軟な運用を推奨し、指導者の裁量を尊重する」をモットーに、幼児、小学校1・2年生、小学校3・4年生のカテゴリーに分けて、推奨人数、ピッチサイズ、ゴールサイズ、ボールサイズ、プレー時間などが定められています。

 

JFA_small_sided_gamessg_guideline_02.png
(C)JFA

 

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■プレーに関与する機会が増えることで、スペースの使い方などを学んでいく

ガイドラインには、リスタートの仕方や得点後の始め方、ゴールキックの仕方など、低年齢の子どもたちが、発育発達の状況に応じた適切なプレー環境のもと、サッカーを楽しむことができるように、ルールが提案されています。

中山さんは「JFAはキッズプログラムが誕生した2003年から、10歳以下はスモールサイドゲームにしましょうと提唱してきました」と言います。

「10歳以下の子どもたちが8人制をすると、どうしてもみんながボールに群がって、サッカーのプレーがままならないことがあります。この写真はJFAのスモールサイドゲーム ガイドラインに掲載されているものですが、小学2年生で8人制を行うと、ボールに対して子どもたちが集まってきて、ボールに触れない、プレーに関与していない子が多くいます」

 

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(C)JFA

 

そしてこちらが4人制です。スペースの有無は一目瞭然です。

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(C)JFA

 

「4人制の方が、ボールを持っている子の周りにスペースがあります。そのため、ドリブやパスがしやすくなります。そしてボールを持っていない子が、ボールから離れたポジションをとることにより、パスを受けやすくなることを学ぶこともできます」

 

■プレー機会が増えるから、サッカーの楽しさをより多く感じられる

スモールサイドゲームガイドラインによると、8人制に比べて、4人制の方が一人あたりのプレー回数やドリブル回数が倍増。シュート数は小学1・2年生で6倍、3・4年生で 3.5 倍。得点(ゴール数)は倍増という変化がありました。

このデータからもわかるとおり、8人制でプレーに関わる機会が少ない状況で試合を繰り返すのと、ボールに関与しやすい4人制を日々積み重ねるのとでは、1年後、2年後には、大きな成長の差となって現れると言えるのではないでしょうか。

 

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(C)JFA

 

「データを見ると、明らかに子どもたちのプレー機会が増え、『楽しかった』という声を聞くことができました。スモールサイドゲームをする中で、もっとこうした方がいい、こういう工夫ができるといった意見も出てくると思います。指導者のみなさんの現場の感覚を大事にしながら、ぜひ前向きに取り組んでいただけたらと思います」


子どもたちのプレー機会を増やし、サッカーの楽しさを感じてもらうためにも、スモールサイドゲームを積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか? きっと、いつも以上に子どもたちの笑顔や充実した表情が見られることでしょう。

次回の記事では、スモールサイドゲームをする際のグラウンドの作り方や指導者の心構えを紹介します。

 

※記事内の写真、データは『JFA スモールサイドゲーム ガイドライン』より引用

 

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取材・文 鈴木智之 写真・イラスト(C)JFA

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