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「育成に力を入れているチーム」に共通する考えとは? 指導者たちに聞いた小学生年代の指導で大事なこと

公開:2022年10月 6日 更新:2022年10月17日

キーワード:ワールドチャレンジ小学生指導者育成年代育成指導

昨今、スポーツ界のニュースで報じられることが多いのは、指導者の暴力・暴言関連のネガティブなニュースが多く、それに関心が高い保護者も多いと思います。

そのような旧態依然とした指導が残っていることも事実ではありますが、最近では「子どもを伸ばす指導」をしている指導者・チームも増えています。

今回は、この夏開催されたワールドチャレンジ2022の現場でお伺いした話をもとに、育成に力を入れているチームの指導者が、どんなふうに選手と接したり、声掛けをしているのかをご紹介します。

 

ワーチャレ2022-1.JPG
3年ぶりにFCバルセロナが参加したU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ(C)新井賢一

 

<<関連記事:3年ぶりにバルサが参戦、ワールドチャレンジ2022の記事はこちら

 

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■「育成に力を入れているチーム」とはどんなチーム?

皆さんは育成に力を入れているチームとは、どんなチームだと思いますか。

・小学生年代で県大会や全国大会で優勝させてくれるチーム
・トロフィー、メダルを獲るチーム
・Jクラブや競合クラブのセレクションに合格できるぐらい上達させてくれるチーム

そんな風に、小学生年代で何らかのタイトルを獲らせてくれるチームだと思っていませんか。

もちろん、勝ちたいから頑張ることは良い事です。子どもたちが大会でトロフィーや賞状をもらって喜んでいる顔を見ると、保護者も嬉しいものですよね。

ただ、育成に力を入れているチームは「もっと先」を見て指導しています。

この夏開催されたワールドチャレンジ2022で、いろんなチームにインタビューをしてきたので、そこで聞いた指導者たちの「小学生年代の育成」に関する考えなどを紹介します。

 

■小学生年代がサッカー人生の頂点ではない

今年は3年ぶりに海外勢も出場し、まさに世界への挑戦となる大会になりました。サカイクは大会のメディアパートナーとして、色んなチームにインタビューをしましたが、Jクラブの育成組織も含め、ほとんどのチームの指導者が異口同音に口にした言葉があります。

それは、「小学生年代がサッカー人生の頂点ではない」です。

また、このようなことをおっしゃる指導者も多かったです。

「小学生年代は、中学以降もサッカーを続けるための『種まき』の時期。まずはサッカーを楽しむことを大事に、勝ったり負けたりする中でいろんなことを学んでいければいい」

まさにその通りで、中学以降もサッカーを続けていくためには「サッカーって楽しい」と心に刻まれることが大事ですし、育成に力を入れているチームの指導者たちは「今」だけでなく「少し先」を見据えていることがうかがえました。

 

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■グラウンドに響く監督たちの声、一番多いのは?

ちなみに、今大会も多くのチームの監督、コーチの声がグラウンドに響いていましたが、どんな声掛けが多いかわかりますか?

答えは・・・

「ナイス!」
「いいよ!」
「そうそう!」

といった肯定的な声です。

各カテゴリーの予選を勝ち上がって出場する強豪チームが多いので、厳しい声が多いと思いましたか?

ちなみに今大会では多くの方が
「ナイス、ナイス、ナイス!」
「いいよ、いいよ、いいよ!」
「そうそうそう!」

など3回ぐらい繰り返すことが多かったです。口に出すとその位の回数がリズムも良く言いやすいのかもしれません。

街クラブ選抜チームを率いた播戸竜二監督は「素晴らしい!」「まだ終わってないよ」を連呼して選手たちのモチベーションを上げていました。

そんな感じで、大きな声で選手たちに何か伝えているシーンは多いですが、肯定して背中を押してあげるような声が多いのです。試合前には「みんなの思うようにプレーしたらいいと思うよ」と選手たちに信頼を伝えて送り出していたチームも。ハーフタイムも選手たちで試合の改善ポイントなどを話し合い、そこに監督やコーチがアドバイスを加えるというチームも多くみられました。

そういった、選手が安心してサッカーができる状態が当たり前にあることが、選手を伸ばすことにつながるのでしょう。

 

■普段からの関係性、信頼が大事

ちなみに、ワーチャレに限らず、声を張り上げている指導者の多くが「ピッチの中では私の声は聞こえないですからね。サッカーは自分で状況を判断して動かなければなりませんから」とおっしゃるのですが、本当に聞こえていないのか選手に聞いてみました。

私 「監督、声大きいよね」
選手「うん」
私 「でも、ピッチの中では聞こえないもの?」
選手「聞こえてるよ」

とのことで、しっかり聞こえていると笑顔で教えてくれました。

ちなみに、プレー中の「サイドを切れ」「中締めろ」のような声に関しては「声は聞こえてるけど、状況によってはすぐ対応できないし自分で判断するから」ということのようです。選手たちも必死に対応している時は、外からの声はハッキリ聞こえない時もあるのでしょうね。

プレーに対する「ナイス」「いいよ」以外の声でよく聞かれるのは、ボールが落ち着いたときに「A(名前)、B(名前)が出しどころ無くて困ってるときフォローしてあげて」とか、「まだ焦る時間じゃないから、前係にならなくていいよ」のようなアドバイスが多かったです。

一見厳しいことを大声でピッチに叫んでいるように見える監督がいるチームも、試合終了後には選手と指導者たちが仲良く談笑している、というのもよくある光景です。

選手取材の後に監督のインタビューをしたときも、監督が「午後も試合あるから今のうちにお昼食べて」と声をかけても、選手たち自身が「監督のインタビューも見たーい!」とその場に留まるなど微笑ましい場面も。

 

ワーチャレ2022.JPG
監督のインタビューをカメラの後ろで見ているYF NARATESOROの選手たち。インタビュアーが選手たちに「監督は普段どんな人?」と聞いたら矢継ぎ早に「おもしろい」「芸術家」「私服がかっこいい!」と答えてくれました(C)新井賢一

 

そういった場面を目の当たりにすることで、大事なことは指導者たちと子どもたちの普段の関係性、信頼の構築なのだと改めて感じました。普段から心理的安全が確保されているから、子どもたちは思い切りサッカーを楽しめているのです。

 

■子どもも保護者も指導者も、みんながサッカーを通じて幸せになる環境を

どうしても、旧態依然とした指導の問題のほうがニュースで取り上げられやすく、ネガティブな情報の方が読者の共感も生むため、スポーツの現場には問題がある指導者が多いように捉えられてしまう部分もありますが、情報をアップデートしながら子どもたちに接している指導者の方はたくさんいます。

保護者の方も、自分たちの学生時代とは大きく異なる現代の育成について改善できることをチームで話し合ったり、古い慣習などを見直して負担を減らすなど、環境をよくすることで子どものサッカーへ楽しんでかかわれるようになります。

サッカーをする子どもたちだけでなく、関わる親・指導者も楽しめる環境が増えていくことが大人たちの幸せにもつながるのです。

サカイクではこれからも、いい指導をする・しようと取り組む指導者、チームを応援していきます。

 

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