インタビュー

2023年9月 7日

50年以上サッカーに携わり、Jヴィレッジや東日本大震災メモリアルカップU-12をサポートする、株式会社フジタの想い

サッカーを支える企業にスポットを当て、想いを聞く企画。今回は株式会社フジタです。

株式会社フジタは、湘南ベルマーレの前身であるフジタ工業サッカークラブを設立し、1994年にはベルマーレ平塚(当時)の親会社としてJリーグに参入しました。現在、どのような想いでサッカーに携わっているのでしょうか? 

同社の顧問を務め、なでしこジャパンの監督などを歴任した上田栄治さんと湘南ベルマーレで選手やコーチとして活躍した営業部の大森洋次郎さんにお話をうかがいました。(取材・文 鈴木智之)

■湘南ベルマーレの前身

――はじめに、主な事業内容を教えてください。

フジタは1910年に、広島で創業した会社です。業種としては、ゼネコンと言われる総合建設会社で、建築事業、土木事業、まちづくり事業などを手掛けています。

また国内だけでなく、中南米やアジア圏でも施工実績を積んでいます。2013年には大和ハウスグループ入りし、大和ハウスグループ全体の総合力を活かし、建設業の中で社会貢献していきたいということで事業を進めています。

――サッカーとの関係は歴史がありますが、これまでの関係や具体的な取り組みについてお聞かせください。

1968年に栃木県の那須で、藤和不動産(株)サッカー部が創部しました。その後、1975年にフジタ工業サッカークラブに名称を変更し、平塚に活動拠点を移しております。1994年にはベルマーレ平塚の親会社として、Jリーグに参入し、1999年にチームの経営から撤退しましたが、2017年に、湘南ベルマーレのオフィシャルクラブパートナーに復帰しました。

1994年には天皇杯、1995年にはアジアカップウィナーズカップで優勝。さらに1998年のフランスW杯のときには、日本代表3人(小島伸幸、名良橋晃、中田英寿)と韓国代表1人(洪明甫)を輩出しました。


©SHONAN BELLMARE

■東日本大震災メモリアルカップU-12を協賛

――子どもたちのサッカーにも携わっていて「東日本大震災メモリアルカップU-12」に協賛していますが、こちらの経緯と成果についてお聞かせください。

「東日本大震災メモリアルカップU-12」は、大震災から10年後の2021年にスタートしました。名前の通り、大震災を忘れない、震災に負けずに子どもたちを育てていこう、育ってほしいという思いで作った大会です。

この大会ができた頃、私、上田はJヴィレッジの副社長をしていました。フジタはJヴィレッジのオフィシャルスポンサーになっていましたので、その縁から復興支援のためメモリアルカップのスポンサードをお願いしました。

この大会は震災の復興支援金という、一般の方々からの寄付の一部をいただき、開催しているのですが、2023年に3回目の大会を開くにあたり、継続的に開催できる大会とするために新たなスポンサーを求めていました。

――メモリアルカップはたくさんの子どもたちが参加し、大盛況だったと聞いています。

東北にあるJクラブのアカデミーと、各県FAの推薦を受けた16チームで始まりました。子どもたちも大会の意味を感じてくれて、一生懸命プレーしてくれました。今後は東北に加えて関東のチームなど、他地域との交流も図りながら続けて欲しいと思っています。

■芝生のグラウンドづくりにも取り組む


――株式会社フジタは『JFAソーシャルバリューパートナー』として、日本サッカー協会と共にグラウンド整備を通じた街づくりに取り組んでいますが、具体的な活動内容についてお聞かせください。

2019年から、日本サッカー協会さんとパートナーシップ契約を結んでいます。我々フジタのこれまでの歴史から、スポーツ施設やスタジアムに積極的に取り組みたいという想いの中で、天然芝について、再度勉強し直そうという話が出ていました。

そんな中で、JFAグリーンプロジェクト(当時)があることを知り、ご一緒させていただく形になりました。内容としては、学校の校庭や園庭、地域のサッカーグラウンドの芝生化です。日本サッカー協会はサッカー施設の整備に対して、助成金を出していますので、そういった中で我々のノウハウを活用し、アドバイスをさせていただいています。


©JFA

鳥取県では鳥取市内にある幼稚園の園庭の8割ほどが芝生化されているとお聞きしています。安全に走ったり、転んだり、スポーツを楽しめますし、地球温暖化やグラウンドの砂塵の問題などもあるので、今後も芝生のグラウンドを増やす取り組みを続けていきたいです。

■サッカー以外のスポーツも支援

――サッカーへのスポンサードについて、費用対効果や本業への還元はどのように計測していますか?

費用対効果はさておき、昨今、企業のあり方や求められるものが変わってきていると感じています。

サスティナビリティやSDGsといった観点から、企業を測る尺度が変わってきた中で、理念を持って取り組む姿勢は、皆様に評価される一つの指標になってきているのではないかと思います。

また、当社はサッカーだけでなく、日本パラ水泳連盟や日本視覚障害者柔道連盟、7人制ラグビーのサムライセブンの支援もしており、幅広く「スポーツ」を応援しています。

――サカイクはサッカーをする親子向けの媒体ですが、今後、子どもたちのサッカーに携わるビジョンがありましたら、お聞かせください。

フジタは少年少女のサッカーに協賛しております。「東日本大震災メモリアルカップU-12」の他に、「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ(大和ハウスグループ各社特別協賛)」や湘南ベルマーレ主催の「コパベルマーレ」など、海外からチームを招聘する大会の協賛もしています。

今後も国内外での活動や選手交流を通じて、子どもたちがサッカーをすることによって、様々な可能性を広げていく、お手伝いができればと思っています。

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