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インタビュー

2018年2月26日

「家では勉強しなかった」1日をサッカーのために設計し、国立大入学を叶えた岩政大樹の時間管理術

キーワード:岩政大樹文武両道東京ユナイテッド東京大学関東1部リーグ鹿島アントラーズ

プロ入りから10年、常勝鹿島アントラーズを支えた日本屈指のDFで、現在は関東リーグ1部の東京ユナイテッドに所属する元サッカー日本代表の岩政大樹さんはどのように自ら考え、動く力を養ってきたのでしょうか。

前編では幼少期のサッカーとの出会いから高校進学まの中で、親御さんとどういう形で接してきたのかを中心に伺いました。そこにはサッカーを通じて人間形成をしていくというヒントが散りばめられていましたが、後編である今回は、指導者としてのキャリアも歩んでいる岩政さんが考える、子ども達の育て方という部分にも焦点が当てられています。

(取材・文:竹中玲央奈、写真:新井賢一、サカイク編集部)

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(指導者という新たな道に挑戦している岩政さん 撮影:新井賢一)
<<前編:元鹿島の岩政大樹が、考えて動く力を身につけるベースとなった少年時代の習慣と「母の助言」

■片道1時間半の通学路で予習、復習を済ませた

進学先の岩国高校までの通学時間は片道1時間半。その上で部活もやるということでかなりハードに思えますが、「辛くはなかった」と岩政さんは振り返ります。

「1日の中の3時間をただ行き帰りに使ってしまうと時間は減ってしまうけど、これを何かに使おうと。そう考えて、僕は予習と復習をやっていました。そうすれば、本来家で3時間勉強するものを電車でやるので、家で勉強しなくて済むわけですよ。学校から家まですぐに帰れる人は家で3時間、気持ちを入れて勉強しないといけない。ただ、そもそも電車でやることがないということもあったので、僕にとっては楽でしたね。家に帰ったら何もしなくて済むわけですから」

とはいえ、15~6歳の少年がそういう考えにたどり着き、実践するまでに至るのも簡単ではありません。その背景について伺うと、それまでの人生で置かれてきた状況が大きかったとのことでした。

「中学の時は陸上部のキャプテンで、生徒会長もやっていて、サッカークラブでもキャプテンでした。行事も先頭に立ってやっていましたし、とにかくやることがたくさんあった。その中で、どうやりくりすれば良いかということを考えるようになったんです。陸上、サッカー、勉強、行事...と自分の中で頭を切り替えながら、上手く回さなければいけませんでしたから。休み時間にこれをやって、行き帰りこれをやって、というふうに自分でしっかり分けないと、全部が混乱して中途半端になるという感覚だったので、やらざるを得なかったんでしょうね」

多くのタスクを抱えてきたことで、時間をどうマネジメントしていくかを自然と考えるようになったことで、「サッカーと勉強に絞れた」高校生活は逆に難しさがなかったのでしょう。

■「中村憲剛ですらテストを受けないといけない時代」だった

中学卒業時と同じく、岩政さんは高校でサッカーに区切りをつけようと考えていました。しかし、3年生の最後にメンバーに入って臨むことになった国体の2日前に右足の中足骨を骨折してしまい、出場が出来ずに大会を終えてしまいました。

加えて、その2週間後に行われた選手権の予選には監督に無理を言って出場したものの、プレーできたのは10分のみ。岩国高校は早期に敗退をし、文字通り不完全燃焼となってしまいました。

これにより大学でもサッカーをやろうと決意した岩政さんは、もともと志望していた広島大学から東京学芸大学へと進路を変更。そして学芸大で中心選手となり、鹿島アントラーズへの入団を勝ち取りました。

その過程の中で岩政さんが意識してきたのは近いところに目標を立ててクリアしていくことだと言います。

大学選抜に入ったとき、周囲は市船(千葉市立船橋高校)や清水商業高校(現静岡市立清水桜が丘高校)、どこかのユース出身の選手ばかり。僕の岩国高校なんて誰も知らない。その中でずっとテレビで見ていた人たちと練習をしたのですが、レベルが全然違うわけです。初めて日本のトップレベルを知って、初めて"このレベルになればプロになれるんだ"と知ることができました。貴重な経験でしたし、そこから僕の目標も変わったんです。そのレベルにどうやって追いつこうかというのを考えるようになって、チームに帰って練習に取り組む。でも選抜の合宿に行くと打ちのめされて、また帰って取り組むという繰り返しでした。当時はプロのスカウトが大学サッカーに来るというのはあまりなかった時代。大学選抜に名前があることで興味を持ってもらえるというところで、大学選抜でない選手がプロに行くというのはなかなか難しかったんです。中村憲剛(中央大)ですらテストを受けないといけない時代ですから。(※)

だから、とにかく大学選抜に追いつくことを考え、そこの中心になればプロに行けると考えて、プロになるためというよりも選抜のレベルに追いつくために、次の数ヶ月後の合宿に行った時に恥ずかしくない選手にならないと、ということを考えながら過ごしていました」

※大学卒業後、川崎フロンターレに「テスト生」として参加、2003年に正式入団。

目先の壁を1つずつ乗り越えていくことが大事だと考え、それをやりとげた結果、岩政さんはプロへの切符をつかみ取りました。

大事なのは遠くが見えていることではなくて、近くで、今日何するのかという話」と続けて語ります。

例えば、将来の夢として、例えば『リオネル・メッシのようになりたい』と思うことはもちろん重要なことです。ですが、それは絶対に必要かと言えばそうではなく、あくまでも「目の前の人たちにどうやって勝つのかを考え続けていく」ことが重要だと岩政さんは説きました。そこで成功体験を得ることができれば次のステージが見え、その次が見えて...という繰り返しになり、高みへ到達できると言うのです。

頂点を見て、ここが目標だと決める必要はないと思っています。目の前の『自分が勝ちたいと思うもの』にどうやって勝つかに意識を向ける、普通にサッカーをやっていればそうなるはずなので。少しでも上手くなりたい、目の前の試合に勝ちたい、そのモチベーションだけで十分だと思っています。それによって僕はたくさん考えたし、その時に持っている自分のレベルでどうやって工夫して勝つか、忙しい毎日を乗り越えるかということを自分なりにずっと考え続けているというのが、大事なことだと思います」

遠くを目標に過ごして努力をしていても、達成は困難であり、打ちひしがれる可能性も大きいことは間違いありません。大きな目標はあっても良いけれど、頑張ればクリアできそうな近いところに目標を立てれば、達成の可能性が高い分、主体的な解決法を考えようとできるはず。その重要性を、岩政さんは強調しました。

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文:竹中玲央奈、写真:新井賢一、サカイク編集部

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