インタビュー

2017年6月30日

元浦和レッズ・鈴木啓太が語る、サッカーの技術以外に「選手として伸びるために必要なこと」

現役時代は浦和レッズ一筋でプレーし、引退後はビジネス面での活躍に加えて、大学サッカー部の指導も行う鈴木啓太さん。子どもの頃、両親はプロになるためにどのようなサポートをしてくれたのでしょうか。引退試合を目前に控え、精悍さを増す鈴木さんに語ってもらいました。(取材・文:鈴木智之)
 
(現在は引退試合のためにトレーニングを積んでいるという鈴木啓太さん)
 

■試合観戦のため、平日は遅くまで働いていた父

――プロをめざす少年時代、両親はどのようなサポートをしてくれましたか?
 
「両親は毎週試合を見に来たりと、熱心な方だったと思います。もちろん口は出さないのですが、環境面でのサポートはしてくれました。父は土日に時間を作るために、平日は夜遅くまで仕事をしていたそうです。当時の僕は、『お父さんは週末にしっかり休みがあるんだな』としか思っていなかったのですが(笑)」
 
――送迎などもやってくれたのですか?
 
「かなりやってくれました。静岡県内だけでなく、チームメイトを乗せて、県外の遠征の送迎もしてくれました。平日は夕方から少年団の練習があって、その後に清水FC(選抜チーム)の練習があるのですが、少年団の練習が終わる頃に迎えに来てくれて、そこから車で20~30分ほどかけて、練習場に連れて行ってもらっていましたね」
 
――毎日サッカーをしていると、食事はすごく大切になると思いますが、食事面のサポートはどうでしたか?
 
「清水FCの練習がある日は、少年団の練習が終わって、母が持ってきてくれたおにぎりを車内で食べて移動。練習後に家に帰り、ちゃんとした夜ご飯を食べていました。家族の中で僕だけ一品多かったり、魚料理メインのときに僕のお皿にだけお肉が乗っていたんですよ。だから、姉は『なんで啓太だけ特別扱いなの』と(笑)。当時、母は僕のサッカーに付き添う時間が長かったので、姉には悪いことをしたなと思います。ただ、大人になってから話をすると『最初は寂しかったけど、途中から応援する気持ちになっていたから大丈夫だよ』と言われたときは、救われた気持ちになりましたね」
 

■「考えてサッカーする」部分で物足りない

――子どもの頃は、身体は大きい方でしたか?
 
「小さかったです。白くておかっぱ頭で……。いまとは全然違いますよね(笑)。学生時代は体が細くかったので、肉、魚、フルーツなどバランスよく、品目を多く食べることを心がけて、プロテインを飲んだりしていました。母親が健康志向だったので、家に海苔や納豆や梅干し、ちりめんなどがおやつして置いてあったんです。いつでも食べられるようにって」
 
――サッカー面で両親からアドバイスされることはありましたか?
 
「父親はサッカーをしていたのですが『左足が蹴れるようになれ』とか『周りを見たほうがいい』というぐらいで、ほとんど何も言われなかったですね。僕が『一緒に練習に行こう』と言わない限り、自分からやろうとも言わない。自主性を持たせたかったのかもしれません」
 
――サッカーは自分で考えて行動するスポーツですからね。プロになる上で、自主性は大切だと思いますか?
 
「間違いなく大切です。なかでも僕は『考える力』が大事だと思います。いま、明治大学サッカー部を週に2回指導しているのですが、みんな技術的にはすごく高いものを持っています。一方で『考えてサッカーをする』部分では物足りなさを感じてしまうというか、頭の中のトレーニングをすることが重要で、そうするともっと伸びていくと思います」
 
次ページ:ボールを持っていない時の動き、頭のトレーニングが大事

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