インタビュー

2010年12月24日

【前編】ボクシングか?サッカーか? ウェイン・ルーニーを成長させた2つのスポーツ

 若くしてマンチェスター・ユナイテッドとイングランド代表のエースとして活躍するウェイン・ルーニー。彼が、少年時代は優秀なボクサーだったという話は、日本ではあまり知られていないエピソードかもしれません。

 英国では、子供がフットボール以外のスポーツにも熱中し、10代半ばになってからどれかひとつに専念する、といった例は珍しくありません。ルーニーもその例に漏れず、子供の頃はフットボールとボクシングを両立していました。日本ではどちらかといえば、このスポーツと決めたらその道を究めるというのが一般的。欧州や米国では、幼少の子どもに複数のスポーツに親しませ、その上でやりたいスポーツを選択させるといったことが普通に行われているのです。

 そもそも、リバプール生まれのルーニーは、ボクシング一家の中で育ちました。父は元アマチュアボクサーで、地元の大会に出場してトロフィーを持ち帰るほどのファイター。父の兄弟、つまりルーニーの叔父たちもボクシング選手で、そのうちの1人は少年用のボクシングジムを運営していました。10歳でイングランド一部リーグのエバートン下部組織に入団したルーニーは、同じ頃、フットボールの練習に励むかたわら、叔父のボクシングジムにも通っていました。サッカーの魅力に取り付かれ、ジュニアユース時代から懸命にキックの練習に励んだルーニーですが、一方ではボクサーとしても、本人いわく「けっこういいパンチを持っていた」そうです。

 しかし、フットボールの練習の後にボクシングジムへと通う生活を数年間続けた後、ルーニーの才能を買っていたエバートンは、彼に決断を迫りました。当時のことを、後にルーニーはこう語っています。

「15歳くらいのときだったかな。エバートンでフットボールを続けるなら、ボクシングをやめなくてはいけないとフィジオ(※注)に言われたんだ。僕はファーストチームに入れるチャンスがあった。だから、ボクシングはやめて、フットボールに専念することにしたんだ。結果的に、フィジオの進言は大正解だったね」

 この後、サッカーに集中して、本格的な練習をつんでいくルーニー。そして、16歳で世界最高レベルのプレミアリーグの舞台に立つことになります。

興味深いルーニーの少年時代、続きは後編へ。

※注)フィジオ/選手の体力を科学的に分析し、トレーニングのメニューを作成したり、アドバイスを送る役目を担う。フィジオはチームに所属している場合や、選手個人と契約している場合などがある。

Text//Footmedia Photo//AFLO
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