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男女で身体は違う。親や指導者が気を付けないといけない女子のケガリスクを高める「座り方」

公開:2019年7月 3日

キーワード:スポーツトレーナーバランスプレミアリーグ体軸前十字靭帯奥村正樹女の子座り鍼灸師骨盤黒崎優香

男の子と女の子は生まれながらにして体つきが違います。しかしながら現状のジュニアサッカー界では、男女が同じチームに入り、同じように扱われることが多いのが実態です。

もちろん混合チームでのプレーにもメリットはありますが、指導のアプローチだけでなく身体的な構造、成長についても違いを知らないまま親や指導者が子どもと日々過ごしていると、気づけばケガがちの身体になってしまうリスクがあるのです。

そんな悲しい未来を引き起こさないためにも、今回はイングランドやタイなど、海外で多くの実務経験を積み、女子選手との意見交換なども精力的に行っているスポーツトレーナーの奥村正樹さんにお話をうかがってきました。
(取材・文:内藤秀明)

<<前回:足裏の刺激でプレーが上達し、怪我も減る? 「第二の心臓」足裏の重要性とは

■女子プレイヤー特有の怪我

anterior cruciate ligament injury.JPG
聞きなれない言葉ですが「Qアングル」がケガと関わっているのです(写真はサカイクキャンプ)

まず男女の身体特徴について奥村さんは

「個人によって大きく変わりますが、例えば男女で骨格は全然違いますよね。具体的には女性の方が骨盤が大きいので股関節が男性よりも少し外側に開いています。結果的に膝がどうしても中に入りやすいんです。これを『Qアングル』(※Qアングル:腰骨と膝の中心を結ぶ線と、脛骨の中心とヒザの中心を結び線がクロスする角度)と呼ぶのですが、このQアングルを固定するための筋力も少ないのでなおさらです。

膝が内側に入ってしまうと、個体差はありますが、膝の外側に負荷がかかり、その状態でプレーし続けると前十字靭帯を切ってしまうことがあるので非常に危険です。にもかかわらず女の子は『女の子座り』『とんび座り』などと呼ばれる、地べたに膝をつける座り方(割座 わりざ)をすることが多いじゃないですか。

この座り方は膝が緩くなってしまうんですよ。しかも子どものころなどは無意識でしてしまう座り方なので、膝が内に入る癖がついてしまいます。そうするとジャンプの着地の際に膝が中に入ってしまいます。こういった大元の身体のつくりの違いや習慣の違いによって、女性の方が膝のケガのリスクが高いのです」

と語ります。ちなみに海外ではお尻が大きい女性ほど美しいという価値観の国が多いため、積極的に筋トレでお尻を大きくする傾向があり、結果的に膝の怪我リスクを減少させているそうです。その理由を奥村さんはこう語ります。

「ある程度お尻を鍛えれば、膝が内側に入らないようになるのですが、日本人の女性はお尻が小さくすらっとした体形に憧れる方も多いようなので、臀部のトレーニングをためらわれますかね。でも、ケガを防ぐためには必要な筋トレかもしれません」

■座っている際に気をつけること

膝のケガリスクを減らす上では、座る姿勢も重要だそうです。

anterior cruciate ligament injury02.JPG
小学生がよくやる「体育座り」も坐骨を起こして正しい座り方をすることでケガをしにくい身体をつくる(写真はイメージです)

「骨盤には坐骨という骨があるのですが、日本人はもともと欧米人に比べて骨盤が後傾しているので、坐骨が寝てしまう状態になりやすいんです。椅子に浅く座って背もたれにもたれかかっている状態と言えばいいでしょうか。そのため尾てい骨が接地面に当たっている。この状態が一番ダメだと思います。

そのため『坐骨を立てる』イメージ持つことが重要です。椅子に座って少しお尻を突き出すイメージでしょうか。そうすると坐骨が立って、自然と上半身もお腹周りに力が入ってスッと背筋が伸びますし膝も外側に開くのです。

『坐骨を立てる』ためには体育座りなどもいいですね。その際、坐骨がまっすぐ下に向いていること、腰を反りすぎず背筋を伸ばすことも重要です。ただし体が硬くて体育座りを正しくできず、膝と膝が離れたりすると意味がないですが」

■日本と外国では前十字靭帯断裂の原因が違う?

ではもし、膝が内側に入る癖ができてしまっている場合、具体的にどのようにすれば改善できるのでしょうか。

「小学生年代ではまだ必要ないかもしれませんが、もう少し大きくなれば、膝が中に入らないように開くトレーニングが必要ですね。例えばチューブを膝にひっかけて開くとか。他には着地の動作を確認しながら作ることです。ジャンプした後の滞空中に補助の人に押してもらい、体勢が崩れた状態で正しい着地をできるかを確認するなどですね。これはアメリカではよく行われています。

アメリカの大学サッカーでプレーしている黒崎優香選手とお話をする機会があったのですが、フィジカルコンタクトが日本より激しいので、どうしてもタックル受けて怪我をすることはあるみたいですけれども、やはりアメリカでは自身の着地ミスで前十字靭帯を切る選手はほとんどいないそうです」

とのことです。膝の怪我は選手生命を脅かすばかりか、日常生活にまで支障をきたすリスクもあります。治る怪我だったとしてもリハビリは大変です。痛みもつらいですし、何より大好きなサッカーができないことが辛いですよね。子どもたちに辛い思いをさせないためにも、家庭の中では正しい座り方やを意識付ける他、指導現場でも正しいトレーニングをしていきたいところですね。

女子がついやってしまいがちな「割座」(女の子座り)は、膝を痛める原因でもあるのです。ケガのリスクを減らすためにも、ぜひ日常の習慣を見直すことから始めてみましょう。

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奥村正樹(おくむら・まさき)
アスレティックトレーナー、メディカルトレーナー、鍼灸師
専門学校を卒業したのち、スポーツに特化した整形外科や接骨院に勤務して外傷治療や主義を学んだ後、2015年に渡英。イングリッシュ6部リーグのセミプロチームでトレーナーとしての経験を積む。イングランド在住時には元日本代表FWの岡崎慎司選手のパーソナルトレーナーも務めた。その後当時タイ2部リーグに所属していたシンブリーFCと契約。約1年間タイで現場経験を積んだのち帰国。現在はフリーランスのトレーナーとしてJリーガーのパーソナルトレーナーなどを務めている。

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取材・文:内藤秀明

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