健康と食育

2012年10月 8日

ケガが発生しても、もう慌てない!適切な初期対応でダメージを最小限にとどめる応急処置法とは

 サッカーをしている子どもを持つ親御さんの心配ごとのひとつが「ケガへの対処法」ではないでしょうか。毎日一生懸命練習に励む子どもたち。サッカーは身体的接触のあるスポーツですから、周囲がどんなに気をつけていてもケガをする可能性はあります。
 
「チームの練習を見ていたら、子どもが足首をひねってしまって座り込んでいる」
専任のトレーナーなどがいれば適切な処置を行ってもらえますが、周りには自分しかいない。こんなときあなたならどうしますか?
 
 育ち盛り、伸び盛りの育成年代でのケガはサッカーのプレーだけでなく、身体の発達にも影響を与えかねない問題です。治療は専門家に任せなければいけませんが、ケガをしてしまったときに適切な初期対応をしておくと、ダメージを最小限にとどめ、回復を早めることができます。それぞれの症状についての専門的な対処法は今後、トレーナーさんたちにご登場いただいて解説していただく機会を設けるとして、今回は応急処置の基本的な概念「RICE処置」についてお話しします。
 

■R.I.C.E(ライス)処置って何だ?

 サッカーに限らず、スポーツ医療の世界で一般的になっている応急処置へのアプローチが「RICE処置」です。これはRest(安静)Icing(冷却)Compression(圧迫)Elevation(挙上)の、応急処置に必要な処置の頭文字をとったものです。目の前でケガをしてしまった選手がいるとパニックになってしまうこともありますが、ケガをしたらまず行うのがこのRICE処置。まずはこれを覚えておけば、ケガの発生時にも慌てずにすむでしょう。
 
 
Rest 安静にする
 ケガをしてしまったらすぐにすること。それはケガをした選手にすぐにプレーを止めることを促し、患部を安静に保つことです。「ねんざをしていたのにそのままプレーを続けた」「ケガをおして出場した」というのは美談として取り上げられがちですが、専属トレーナーのケアと指示を受けながらプレーするプロ選手と、身体の発育段階にある子どもたちとでは、状況がまったく違ってきます。人間の身体は良くできていて、ケガをした瞬間から患部を修復するように作用します。ケガをした後、そのまま運動を続けてしまうと、その作業の開始時間が遅れてしまい、回復を阻害することになります。古くから「突き指をしたら指を引っ張ると治る」という都市伝説? がありますが、安静にするどころか刺激を与えてしまうやり方は間違いです。
 ケガをしてしまったら、すぐに安静にすること。もっとプレーしたい、まだできる、練習しないと遅れてしまう、という気持ちはよくわかりますが、休むことが結局復帰への近道になるのです。
 
Icing 患部を冷やす
 RICE処置の中でも特に重要だといわれているのが、「I」のアイシング処置です。現在ではだいぶ一般的になりましたが、患部を冷やすことで痛みを和らげることができ、血管を収縮させることで腫れを抑えることもできます。サッカーの試合後に90分激しく走り続けた選手たちがヒザをアイシングする姿はもうお馴染みですね。熱中症対策などでクーラーボックスに氷を満載していくチームもだいぶ増えているようですが、専用のアイスバッグなど、アイシング用に「冷やす手段」を準備しておくのも大切なことです。注意しなければいけないのは「冷やしすぎ」。氷を直接当ててしまうと冷えすぎて軽い凍傷になることもあるので、ビニール袋に入れた氷をアンダーラップと呼ばれるテーピングで巻いた患部に当てたり、タオルで覆ったりすると良いようです。
 
Compression 患部を圧迫する
 今後サカイクでもトレーナーの方にお願いして、ぜひ学びたいことのひとつですが、患部をテーピングなどで圧迫しながら巻くことで、腫れや炎症をコントロールできます。テーピングと聞くとなにやら難しそうですが、テーピングの巻き方の解説書なども書店に売っています。強く圧迫しすぎると血流を妨げる可能性があるので、知識と慣れは必要ですが、以前取材したトレーナーの方には子どもたちが自分で巻けるテーピング方法を教わったりもしました。応急処置時の圧迫だけでなく、ケガの再発予防にも役立つテーピングは覚えておいて損のないアイテムです。
 
Elevation 患部を持ち上げる
 ケガをした際に一番最初にすることは安静にすることだと先ほどいいましたが、このときできるだけ楽な姿勢でいることも重要な要素のひとつです。さらに、患部を自分の心臓よりも高い位置に持ち上げること。これが「E」にあたる「挙上」です。内出血を防ぎ、痛みを緩和する効果があります。手頃な高さのものに患部をのせて心臓より高くなるようにしましょう。
 
 今回紹介したRICE処置はスポーツ医療の現場ではスタンダードな方法として定着している応急処置法です。覚えておいて実践できれば、ケガの発生時に慌てることなく、早期回復にも役立てるサッカーの現場でも有効な方法ですが、もちろんこれに当てはまらない場合もあります。RICE処置を行うのは、受傷後すぐ、患部に痛み、腫れ、炎症があるときや慢性の症状があるときです。あくまでもケガをしたすぐあとの応急処置ですので、その後は勝手に判断せずに治療院、病院での受診が必須になります。また、応急処置に慣れているチームの監督やコーチの助言や指示に従うことも大切です。
 
「無事これ名馬」という言葉がありますが、ケガをしないことも名選手の条件。しかし、サッカーに励む子どもたちはいつケガをしてしまうかわかりません。プレーしたいのにプレーできない、ケガのせいでボールを蹴ることができない。ケガの回復具合や期間によって、子どもたちは身体的なものだけではなく、精神的にも大きな傷を負います。サッカーを思い切り楽しむためにも、ケガをしてしまった後の応急処置を覚えておきましょう。
 
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